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9 エンカウント

「クロエ! 俺が化け物になってるよ!!」


 フィオナの驚きの一色に染まった顔と声色を確認しながら


「初めて見たんですか?」


 といい、クロエは呆れていた。と同時に、思い出したかのように近くにいた魔族を遠くに追いやっていた。

 本当に今更だがこの話を聞かれると都合が悪いのだ。

 

「それじゃあ、説明を続けますね。まず、吸血鬼が狩り尽くされたのは、スキルにある『スキル吸収』のせいです。これは相手のスキルを奪うことができるスキルです。で、スキル吸収によってお兄様はスキルを奪っていき、お兄様を吸収したフィオナが受け継いだ。ってわけなんですよ」


「スキル吸収ってなんか条件が存在するの?」


「もちろん発動にも条件があります。対象に身体のどこかが触れている必要があるんです。時間は自分と対象との実力差によって決まりますが、最低でも2秒は掛かります。」


「というより俺ってリライトを吸収したの?」


「光の粒子がフィオナの身体に染み込んだでしょう? あれが吸収です。といってもフィオナが吸収したわけでは無く、お兄様が吸収させたに近いんです。お兄様は奪えるのなら渡すこともできるのではないかと言っていましたので、スキル吸収について実験を繰り返していたらしいです。それによってスキルどころか、自分のほとんどを渡すことができるようになりました。自分の命を引き換えに」


 フィオナは耳をクロエに、目をステータスに向けながら話を聞く。


LUC 2


「……」


LUC 2


「………」


LUC   2


「…………」



「私のせいじゃないですよ?」


 フィオナから向けられたことのない視線を一身で浴びながらクロエはおずおずと答える。

 フィオナも分かってはいるのだ。分かっているけど、この気持ちを誰に向けていいのか分からないのだ。


「えっと、説明を続けますね。スキル欄に再生 飛行 影化 スキル吸収があるでしょう?それらは全て吸血鬼の固有スキルです」


「あれ? なんで俺が持ってんの?」


 フィオナは一抹の不安を抱きながらクロエに祈るように尋ねる。


「もちろん、お兄様が吸収させたんですから種族も吸血鬼になっているに決まっているじゃないですか。」


 ああ、ホントだ。ステータスのところでバッチリ吸血鬼になってた。

 完全に能力の方ばっかり見てたから気付かなかった。


「ええっと。あのですね。吸血鬼が狩り尽くされたのはスキル吸収のせいなんですよ」


 説明に戻ったクロエは困りながら語り始める。


「スキル吸収というのは、相手のスキルを奪うんですよ。奪って初めて、吸血鬼は強くなるので。ですが奪われた本人は堪ったものじゃありません。それで、狩られ始めたんです」


「それって、吸血鬼ってばれちゃいけないってこと?」


「ばれたら全世界を敵に回す覚悟をお願いしますね」


 とんでもないことを笑顔でさらりと口走るなこの天使は。つまり常時、指名手配ってことね吸血鬼は。


「今回の説明は忠告ってことなんだよね?」


「はい、そうなりますね。ですがスキルに隠蔽があるでしょう? それがあれば、相手に見られたら困るもステータスを隠すことができます」


「それってもしかして、???ってなったりする?」


「よく分かりましたね。経験が?」


 リライトあの野郎!! なにがレベル差が開きすぎだ! そのスキルを使っただけじゃねーか!! 息を吐くかのように嘘を吐きやがって!!

 後で呪っておこう。

 

「ま、いいや。忠告ありがとう。それじゃあね」


「あ、待ってください。目的地が決まっていないのでしょう? ならこれを」


 クロエは4つ折りにしてある紙を取り出し、フィオナに渡す。

 

 受け取ってみたら見た目の割に重い。やはり、向こうの紙とは違うのだろう。というよりこの世界でも紙は希少だったりするのだろうか?魔法によって作れるのならそこまで希少ではないのだろうが、魔王城では見たことが無かったしな。

 と、話が逸れた。


「これは?」


「吸血鬼は妖精の仲間なんですよ。これは妖精の長が住んでいる場所の地図です。とりあえずはそこに行ってみてはどうでしょうか?」


 フィオナは目的は漠然と決めてはいたが、目的地は全くのところ決めていなかった。目的も誰かの役に立ちたいというもの。

 なら、俺と元々同じ種族の妖精のために頑張るのも悪くないかもしれない。

 

「うん、行ってみるね。それじゃあね!!」


「いつでも帰ってきてもいいんですよ~!!」


 クロエの後ろに控えている魔族の皆も別れを惜しんでくれている。クロエの側近の皆は全員がリライト派で構成されており、平和主義者らしい。


 なんかちょっぴり寂しい。



 魔王城から出発して2日が経った。

 あれ? おかしいな。ここらへんのはずなんだけど?

 地図を見てみても場所は合っているようなのに妖精が全く姿を現さない。それどころか木々の揺れる音や動物の鳴き声も聞こえない。不気味。

もしかして警戒されてる?どうしようか?吸血鬼って分かったら現すかな?


 フィオナは背中から羽を生やし、広げてみる。

 するとフィオナの周りからさっきまでなにも聞こえなかった森の騒めく音。そしてかすかに聞こえる人が話し合うような声。


 そんな状態に呆然としているフィオナの目の前に急に小さい子どもが姿を現す。


「あなたは吸血鬼ですか?」


 かわいい。小動物的なかわいさがある。リスやハムスターのようなかわいさだ。声も高い。総合的に判断すると120/100点が妥当だろう。

 え? 点数が限界突破してる? 気のせいだよ。


「リライトって分かる?俺はそれの妹ってところ」


 リライトを話に出すと、森がまた騒めきだす。どうやらリライトのことを知っているようだ。


「ちょっと話を聞かせてくれんか?」


 いつの間にか周りにたくさんいる妖精をどかしながら1人の妖精が現れる。見た目はあどけない歳の男の子だ。

 なるほど、これが噂のショタジジイってことか。


「お主はリライトの妹というのは本当か?」


「はい本当です。リライトに関しての話もあります」


 フィオナにとって今、大事なのは自分が安全な吸血鬼であることを証明すること。そのために手っ取り早いのはリライトとの関係性を話すことだろうと結論付ける。


「まあ、待て。儂の家で話さんか?立ち話もあれじゃろうて」


 ここで急ぎすぎはまずい。心に余裕を持たせて


「お言葉に甘えさせていただきます」


「うむ。分かった。案内しよう」


 俺は目の前のショタジジイの後ろについていった。周りにいる妖精の視線を浴びながら。


なんか、傭兵の話まだ書けそうにないです。申し訳ありません。

9話時点でまだタイトル詐欺をしておりまする。

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