8 クロエにも吠えろ!
「本当に、行くのですか?」
「うん、ここに居たら思い出しちゃうしね」
フィオナはクロエからの呼び止めにも応じる気はなかった。言葉通り、ここに居たらずっと頭のなかでリライトの存在がチラつくのだ。
魔王の討伐からは何もかもが慌ただしく、そして流れるように日々は過ぎ去っていった。
1番問題となったのは魔王を誰にするかというものだった。
魔の地でのルールでは魔王を倒したものが次の魔王になるのが普通だが俺はそれを拒んだ。
そのため、次の魔王の座はクロエが就くことになった。魔王を倒した俺からの指名なのでぎりぎりアリらしい。
まあ、それでも文句を言って俺を襲った幹部も大勢いた。今ではこの世に存在している幹部の数は半分になったが。
そんなことはどうでもよかった。
1番辛かったのはリライトが俺を庇って死んだのをクロエに話すことだった。
クロエはいつもはあんな態度だが、人間の一生以上の時間を支えあってきたのだ。俺では推し量れないぐらいの仲だったのだろう。
クロエの家族を奪ったようなものだ。それなのに
「よかった。フィオナは無事だったんですね」
すっと、クロエはそんな俺を許してくれた。そしてこれ以上は何も言うなと目で語ってくる。俺が泣きそうだった。
元々俺はここで罵られても、殴られても。極論、何をされても受け入れる覚悟があった。
俺は自分の全てを使って償うつもりだったのだ。
許してもらい、気が抜けた俺は
「許してくれるの?」
といい、ハッと俺が言ったことを後悔する。
俺は別に許してもらいたいわけじゃない。ずっとクロエに恨まれながらでも生きていこうと決めていたのになぜ、こんな言葉が出てきたのか分からないかった。5秒前の自分の口を押さえたかった。
クロエはフィオナの顔をジッと見つめながら諭すように話し始める。
「フィオナはもうすでに私達の家族です。そして家族で1番上のお兄様がフィオナを守ったのなら、私もあなたを守ります」
結局泣いた。
▽
クロエは泣いているフィオナを抱きながらリライトとの最後の会話を思い出していた。
クロエは銀の牢屋の中に居た。今回の件に介入させないようにリライトから入れられたのだ。そこで銀の格子を挟んでリライトと会話していた。
「本気でフィオナを鉄砲玉にする気ですか!?」
「お前が拾ってきた当初ではな。今はそんな気はない。すでにアイツも大事な家族になってしまった」
「じゃあ、どうして私を牢屋に入れているんですか?私が介入したら困るからじゃないんですか?」
「どんな犠牲を出しても今の魔王を止めないといけない。たとえそれが自分の身でも」
といい、リライトは牢屋から去っていく。そしてようやくクロエは気付く。クロエがフィオナを守るために動くことが困るのではなく、リライトを守るために動くことが困るのだと。
すでに彼は死ぬ気なのだ。
ここで何かを言えば、リライトは止まったのかもしれない。だが、クロエは、ここまでリライトの覚悟を決めた姿を見たのは初めてだった。
そしてそんな姿を自分の言葉で穢したくないと思い何も言えなかったのだ。
そのため、フィオナに謝りたいのはクロエだった。
1番苦しい役を引き受けさせてごめんね。お兄様のことは許してあげてね。
▽
フィオナは1日だけ自分の部屋に引きこもった。それは現実から逃げるためじゃなく、現実と向き合いこれからのことを考えるためだ。
今までの目標は、人の地で過ごすことだったがそれを白紙にした。
そして誰かのために行動することを目標とした。別に今までの罪を償うなんて言うつもりはない。
そう、自分のため。自分が傷つきたくないから。
▽
そして出発の日となり、初めにつながる。
「これから人の地に行くんですよね?それなら少し、吸血鬼について話をしましょうか」
「なにか俺に関係があるの?」
フィオナの返答を聞いたクロエは珍しく府抜けた声で「え?」と困りだす。そしてようやく思考が追い付き、説明することをまとめる。
「まずはステータスを見てください。話はそこからです」
といわれて初めて魔王を討伐してから1度もステータスを見ていないことを思いだす。ちょっと怖くなりながらステータスオープンと心で叫ぶ。
名前 フィオナ・アシュリー
年齢 12
性別 女
種族 吸血鬼
Lv 1426
HP 527,694
MP 999,999,999
STR 24
DEF 54,635
AGI 146,486,551
DEX 165,397,852
INT 388,915,439
MDF 94,698
LUC 2
スキル
再生
飛行
影化
スキル吸収
アイテムボックス
危険察知 Lv10
隠蔽 Lv10
鑑定 Lv8
STR強化 Lv10
DEF強化 Lv10
AGI強化 Lv10
INT強化 Lv10
MDF強化 Lv10
HP強化 Lv10
MP強化 Lv10
消費魔力半減
詠唱短縮 Lv10
火魔法 Lv10
水魔法 Lv10
風魔法 Lv10
土魔法 Lv10
闇魔法 Lv10
聖魔法 Lv10
なんじゃこりゃぁあ!!!
A.ステータスです。
え?タイトルが似てる?話の終わり方も?
・・・世間一般ではこれをデジャヴといいます。




