表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/48

40 暇な時間って皆何してる?

「それで、今回は貴族の会合ですか」


「そうだな。いや、依頼だからな? めっちゃ嫌そうな顔しても無理だからな?」


「いや、別に嫌ってわけじゃ、ッ!?」


 フィオナの発言に被る様に馬車が揺れる。舌を噛んだフィオナは涙目になりながら、ベンを睨む。全く怖くない。それどころか欲情というべき感情が湧き上がってくるその表情。


「いや、道路のせいだぞ。馬車のせいじゃないからな」


「あーもう、今日の護衛無理。もう寝る」


「いつも寝てるだろう」


 ベンの突っ込みを聞くわけでもなく、すぐさま寝る。

 しかし今回はいつもと違う。毛布をかけて枕を使用するガチ寝ということだ。


「振動で文句は言うのに、寝るのは大丈夫なのか……?」





 馬車が止まる。目的地に到着したのだろう。フィオナはベンによって叩き起こされる。


「うう、虐待だ。訴えてやる」


「いや、物理的にお前が虐待ってより俺が虐殺されそうなんだけどね」


「報酬貰ったら殺そうかな……?」


「やばい事聞いた気がするんだけど」


 馬車から降りるとすぐに案内役がやって来る。

 その少年と言えるぐらいの案内役はフィオナを見て、頬を染めるがすぐに正気を取り戻し案内をする。


「可愛いって罪だな」


「照れる(〃▽〃)ポッ」


「なんかこの世界に無い文字が見えた気がする」

 

 門を通り、だだっ広い庭を横切ってようやく屋敷の入り口に辿り着く。

 ふと、フィオナが庭を見ると自分と同じぐらいの少女と視線が合う。フィオナが軽く微笑みながら手を振ると、その少女は恥ずかしそうに近くの大人の影に隠れる。


「デヘヘヘヘ」


「うっわ、気持ち悪ッ!」


「はあ、依頼者があんな子だったらいいのに」


「悪かったな俺で」


「全くですよ。来世は可愛らしい少女に生まれ変わってくださいね」


「来世でもお前と関わるの? 嫌なんだけど」


 くだらない会話に興じている間に、もう会合場所である部屋の前に着く。案内役の少年はここで仕事は終了だ。フィオナはまた笑顔で「ありがとう」と言い、部屋に入るベンに続く。

 その少年が絶対に報われない恋をしたのは想像に難くない。


「おっとベン殿か。久しぶりだな」


「お久しぶりです。本日はどうも……」


「あーよいよい。そんなに固くせずとも、我々の仲だろう?」


 ベンは愛想笑いを浮かべながら椅子に座る。

 フィオナは全く打ち合わせしていないこの状態にオロオロしながらも、取り合えずベンの座った椅子の後ろに立つ。

 この場所にいる貴族の数はベンを含めて8人。そしてメイドの数もフィオナを含めて8人。つまり貴族一人につき一人のメイドがいるという計算になる。

 そしてフィオナを除いたメイド7人全員が、スタイル抜群のナイスプロポーションなのは、偶然ではないとフィオナは思う。


「それでは、会議を始めたいと思う」


 今回の目的である会議が始まったが、それを聞くフィオナでもない。暇そうな眠そうな表情で、手遊びを始める。他の者がやったら完全にアウトなのだが、フィオナは見えない。そう、身長が足りずに手遊びしていることがバレないのだ。


「今回の会議はこの辺りで終わるとしましょうか?」


 ベンに真っ先に話しかけていたリーダーらしき貴族が音頭を取って終わりの提案をする。フィオナは心の中でガッツポーズをしながら、その貴族に惜しみない拍手を送っていた。


 だが、貴族とは会議の後が本番なのだ。

 会議が終わり、各貴族は情報収集と相手の弱みを見つけるために会議が終わった後も残って会話をする。ベンもその例に漏れなかった。


 フィオナは護衛である前にメイド(仮)。ここで主人の周りに居ないわけにもいかず、仕方なくベンについて回る。


「そういえば、ベン殿はメイドを変えたのですかな?」


 ついに話は、フィオナの話になる。この展開はあまり良くないことだがこの話題に触れない貴族はいないだろうと、ベンは事前に腹をくくっていた。何も考えていなかったフィオナは挙動不審状態。


「はあ、まだ一人前とは程遠いのですがね」


「いやはや実に可愛らしいメイドだ。うちにはこのような幼いメイドはいないものでしてね」


 そう言い、フィオナを値踏みする貴族。その値踏みには下卑たものも含まれているため、フィオナは身震いをする。


(え? スタイル抜群のメイド連れてんのに、ロリコンの気質も持ってんの?)


 フィオナはその視線から逃れるように周りの貴族を観察する。

 フィオナもこれまで幾度となく戦場を渡り歩いてきた強者。目を見ることで、ある程度正確なイメージを想像することは出来る。


 その観察でフィオナは二人の貴族に目星を付ける。

 それは、ベンを否定的な視線で見た者。さらに時折、隠せていない殺気を感じ取れる者。ここまであからさまな殺気だと罠と思わなくも無いが、まあ素人ならこんなものだろうと、納得するフィオナ。


 丁度良く話も終わったベンはフィオナの睨みに負け、早々に会合場所を後にすることになった。睨みというよりは、ジト目のようなものであり、一部の者にならご褒美になりうるものだ。


 ベンにとってどうだったかは彼の名誉のため言わないでおこう。


Windows10で東方紅魔郷が出来ないんですがどうするんでしょうね?(何故か他人事)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ