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38 奴隷オークション(2)

「あれとかどうです? キュートな瞳をしてますよ!」


 主人よりもテンションが上がっているメイドのフィオナ。人身売買のオークションを心の底から楽しんでいるようだ。その姿はまるで遠足途中の小学生。ある意味残酷である。


「言った条件は覚えているか?」


「できるだけ可愛い子って言ってた気がします!」


「お前が指した奴、男なんだけど?」


 フィオナが今現在指していたのは、瞳がキュートなムキムキの男性。その立ち姿はまるでゴリラ。


「例えば、どんな感じがいいんですか?」


「あん? 例え言わないと分かんないのかポンコツか。あーあれ、この大陸からちょっと離れたところの王女さま居ただろ? あんな感じ」


 その者をフィオナは知っていた。世間知らずのフィオナが知っていたぐらいの有名人だ。

 

 その美しさは見た者を圧倒させる。

 その儚げな姿と対照的な自を持った美しき翡翠の瞳は世の男性の心を掴む。

 普段来ている純白のドレスと、それによって魅せられる純粋な金の長髪。 


「それに似た人がこんなオークションにいるわけないでしょ。現実見てくださいよあとつまみください」


「おいこら返事をするまえに食べるな」


 フィオナはつまみをひょいと指で掴むとそのまま、自分の口に放り込む。つまみを掴んだ手で次にステージに現れた新しい人を指さす。


「あ、あの人とか似てませんかね?」


「どこが?」


 フィオナが指さした人は、こう言っては何だがとてもたくましい女性だ。とても頼りがいのある、ある意味素晴らしい女性だろう。


「ほら、似てるじゃないですか。……性別とか」


「前提条件って言うのもおこがましいぐらいの当たり前の条件だわ!!」


「ほら、あの二の腕。全然脂肪がついていませんよ!!」


「だって筋肉だもんな!」


「太腿とかすごいじゃないですか」


「いや彼女の片足の太腿が、俺の両足の太腿ぐらいの太さなんだけど」


「あの存在を忘れそうなぐらいの儚さとか丁度いいんじゃないんですか?」


「いや存在感パないわ。人込みのなかに居ても一瞬で分かるぐらいあるわ。どこが儚いだ、絶対戦場とかで姉御って言われるやつだろあれ」


 結局彼女は、最近警護を探していたというどこかの御曹司に買われていった。それを二人は、いや会場中が生暖かい? 視線を送っていた。


 その後、それなりにオークションが進み、ベンが競り負けたりフィオナがつまみの8割を食べてしまったりいろいろあった。

 そして予定終了時刻の三十分前ぐらいになったところで、オークションの司会者の元に一人の舞台裏と思わしき者が近寄って二人で話し始める。

 急に慌ただしくなるオークション会場。なにが起こったのかフィオナとベンは理解していなかった。


「憲兵がこの会場に向かっているようです。皆さんは、地下の避難所で待機してください!」


 司会者がそう発するや否や、会場にいた参加者たちは我先に避難所に殺到する。それをベンとフィオナは座って眺めていた。

 なぜここまでの余裕があるか。フィオナは自分の力を、ベンはフィオナの力を知っていたからだ。知っている。それだけで、心に余裕が生まれる。無知は罪とはよく言ったものだ。


 会場のほぼすべての人が避難してガラガラになった会場を悠々と歩いて避難所に向かう二人。その足取りは避難しに行くとは到底思えないような歩きであった。


本当遅れてすいません!

あれ?こんな小説ブクマしてたっけ?みたいなこと思っていることでしょう。

休んだ期間は長いのに小説は短いね笑 と思っているのでしょう。

待った方がいるのかは分かりませんが改めて申し訳御座いませんでしたー!!

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