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36 メイドのフィオナ

「はあ、暗殺者ですか」


 フィオナの口から紡がれる言葉は、歯切れが悪く要領を得ていないような回答だった。


「そう! 暗殺者! そいつが俺を狙ってんの」


 目の前の男。ベンと名乗る男はフィオナに唾を飛ばすために話しているのではないのかと思えるような距離で、捲し立ててくる。


「被害妄想じゃないんですかね?」


「そんなことがあるわけないだろ!! 俺は貴族だぞ! 俺の言うことが信用できないのか!?」


「信用と貴族とは関係ないので」


 フィオナは辛口に受け答えをする。ベンは怒鳴るような口調に変わり、怒っているであろうことが分かるがフィオナは意に介していない。

 依頼を受けていない段階でご機嫌を取ることは無価値と理解しているからだ。

 現代で例えると商品を買わず立ち読みをしている人を店員が追い出すということだろう。それをしたい店員は一体何人いることだろうか。


「それで依頼内容は?」


 フィオナは脱線した話を無理矢理に修正する。


「俺の周辺の警護を頼みたいんだ」


「報酬はいくらで?」


「白貨5枚でどうだ」


「へえ、結構羽振りいいですね。……あ、ちなみに期間は?」


「1年「論外!!」」


 フィオナは一言大声で拒否の意を唱えると座っていた公園のベンチから立ち、そのまま帰ろうとする。

 1年で白貨5枚。『普通』の人なら即座に飛びつく内容だろう。だがフィオナは普通ではない。国相手に商売をしているのだから、フィオナが効率度外視で頑張れば1ヶ月でそのぐらいは稼ぐ。


「ふざけるな! 1年で白貨5枚。十分だろう!!」


「俺にとっては十分ではないので。それでは」


 フィオナは歩みを止めることなくその場から立ち去ろうとする。だがその足取りはゆっくりとしており、まるで何かを待っているようだ。


「分かった!! 半年でどうだ? 半年で白貨5枚」


「そんなに俺を帰らせたいのならそう言ってください」


「な!? これ以上たかるか!? このハイエナが!!」


「1ヶ月ならいいですよ。1ヶ月で白貨5枚」


「ぐっ! 貴様ぁ!!」


「嫌ならいいんですよ? あなたは勝手に暗殺者とかいうやつに殺されていてください」


 ベンは様々なことを考えていたのだろう。フィオナはベンの目が泳いでいることからそれを察した。目まぐるしく動いていた瞳が死んだかのように動かなくなったところでベンは掠れた声でフィオナと答え合わせをする。


「どうします?」


「……いいだろう。1ヶ月で白貨5枚だ」


「オーケー、依頼を確認しますね。期間は1ヶ月で報酬は白貨5枚。依頼内容はあなたの護衛。以上で?」 


「ああ、それで間違いはない」


「はい、これからよろしくお願いしますね。『オーナー』」


 フィオナの皮肉が混じった言葉に、ベンは「ははは」と乾いた笑いをすることしかできなかった。



「あ、俺が護衛を雇ったってばれたくないんだけど」


「なるほど。じゃあ俺はこの服装のままで」


「話聞いてた?」





 ————もうちょっと報酬もらっときゃよかった。

 フィオナは今の状態を死んだ魚のような目で確認しながら思う。

 今のフィオナの服装はメイド服だ。もちろん仮面も外している。だがしかし、その姿は似合っているをゆうに通り越してもはや完成された芸術のようだ。

 メイド服のアンダースカートは黒色に統一しており、その上から優しく黒を包むように白のエプロンを重ね着している。フィオナの場合はその上からさらに銀の髪によるデコレーションをしているので、さらに可愛さが凶悪なことになっている。中身も凶悪なんてことは言ってはいけない。


「予想以上に可愛いな。俺の嫁にならないか?」


「何かの罰ゲームですかね?」 

 

「1ヶ月、白貨8枚でどうだ?」


「言ってて悲しくなってきません?」


「言うな……」


 フィオナの設定は、最近になってこの屋敷の主人に拾われた子供がメイドになったというところだ。この設定でいくしかなかったのだが、フィオナは最後まで拒否していた。

 たまに頭を働かせるフィオナが思うに、最近拾われてメイドというのはつまり一番の新参者というわけだ。そんな奴が、主人の傍付きのメイドになったなんて他のメイドから良い印象をもらえるわけがない。この設定を受け入れた時点でフィオナは1ヶ月間、いじめ倒される覚悟を決めたということである。

 実際は、嫁候補として連れてこられたとほとんどのメイドは考察したという。それと同時に、ベンはロリコンという噂も流れた。


「これからの日程は?」 

 

「まあ、ちょくちょく様々なところに買い物に行くのと、貴族の会合のようなものに行くだけだな」


「へえ、結構面倒ですね」


「そういうな。ところで何か、お前から要望のようなものはあるか?」


「要望ですか? 、そうですねぇ。困ったら俺を中心とする直径5メートルの円の中に入ってください。そこがこの世界で一番安全な場所です」


「……ああ、分かった」


 すでにベンはフィオナについて考えるのを止めていた。考えても意味がないが2割。考えても理解できないが8割だ。


本当にお待たせしました。

いや、本当に今回のテストは大変でした。

テスト勉強に並行して検定の勉強。さらに職場体験の打ち合わせとその合間の休憩に夜廻と別の息抜き用の小説を書くという多忙なスケジュール。

なんとか乗り越えましたが、1日1本は難しそうです。

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