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22 休めない休日

 フィオナにとって休日であるこの日は貴重な日だった。

 普段から休みが無いことは当たり前として、前世でもよく土日はゴロゴロしていた。


 前日で終わった出張もとい、勇者一行の足止めの依頼によってフィオナは疲労がたまっていた。

 そのため、たまたま依頼が来なかった今日は思いっきり休もうとフィオナは画策していたのだ。


 フィオナが部屋で四度寝をしていると扉がノックされる。


「起きていますか? フィオナ」


「寝てる。無理。やだ。それは違う」

 

「考えうる全てのことを否定しないでください」


 クロエは呆れている。そして改めてクロエは実感する。相手の裏を読むときと、こういうときのギャップが激しすぎると。


「今回は依頼じゃないですし、私も一緒に行きますよ」

 

「一体何をしに行くの?」


 全くフィオナは身に覚えがなかった。別にクロエの分のお菓子を食べたこともないし、ちゃんと扉から入っている。

 フィオナがうんうん唸っていると、クロエが心配そうに見つめる。

 何秒か経って、フィオナは自分が何も怒られることをしていないと確信すると心配しているクロエに気付く。


「どうしたのそんな変な顔をして? ところで今日は何をするの?」


 フィオナの発言でクロエはフィオナに対する心配を丸めてゴミ箱へ捨てる。


「ようやく大量の収入が入ったのでしょう? 早く土地を買いに行かなくていいんですか?」


「あ、そうだったね。どうやって買うの?」


「そのために、私も行くんですよ」


 クロエはため息を吐きながらフィオナを部屋から連れ出す。フィオナは手を引っ張られながらよたよたと歩いてく。

 

「でも俺、ちゃんとした服を持ってないよ」


 フィオナはいつも寝るときは下着姿で寝ていた。幸か不幸か女性物の下着を着てもあまり抵抗感がなかった。

 おかしいな。俺、別に前世で女装癖とかなかったんだけどな。

 つまり、普段の依頼を受ける時のフィオナのローブの下は下着姿という訳だ。痴女ってレベルに当の本人は気付いていない。


「私が最近少し大きい服を買ったのでそれを貸しましょう」


「これ以上成長すると思ってたの!?」


「なかなかに失礼ですよ……。失礼ですよ………」


 クロエのガチ凹みである。フィオナはクロエを慰めながら、服を着せてもらう。

 

 フィオナがなんとか立ち直ったクロエから借りた服は、所謂ワンピースだった。袖はなく飾り気もない。スカートは足元まである長いタイプ。腰のところにワンポイントのリボンがある。そして目立ちはしないがなぜか背中にボタンがある。

 まあ、子供の服といったらこんなものという感想が出てくることだろう。

 とここでフィオナの心に何か引っかかると思ったらクロエと色違いということに気付いた。フィオナは触れないようにしたが。

 

「じゃ、いこっか」

 

「はい、そうですね。場所は妖精たちがいる森から南に歩いて3日、飛べば1時間のところです」


「じゃあ、ここから3時間もかからないんだ。ラッキー」


 クロエは器用に背中についているボタンを外して羽を出す。なるほど、背中のボタンはそういうことか。とフィオナは感心する。

 フィオナはクロエほど器用ではないので黒の手をつかって背中のボタンを外し、おっかなびっくりで羽を広げる。

 ゾディアックにはビビらないが、借りた服を汚さないかどうかをビビるフィオナであった。


 フィオナとクロエは飛翔する。フィオナは言うまでもなく空を飛ぶことは大好きだ。しかし、フィオナよりも空を飛ぶことが大好きな人が隣に居た。

 

 空を飛ぶと魔王とか仕事とかの全てのしがらみを振りほどいて、どこまででもいけそうな気がする。お兄様と一緒に飛んで、見た朝日は私の一生の思い出だ。次はフィオナと一緒に見に行こう。クロエは横で涼しい顔をして並走している少女を見て微笑みながら心に決めた。


 楽しい時間とはすぐに過ぎていくもので、それはフィオナとクロエにも平等であった。

 都会と田舎の中間ぐらいに位置するであろう町が見えてくる。クロエは近くに森があり、さらに人が通っていないことを確認し、着陸する。フィオナはそれに続く。


 森から町へ向かうためにはまず森から街道に出て、そこから町に街道沿いに行かなければならない。

 クロエは何度か来たことがあるのだろう、めんどくさそうに。フィオナは新しいおもちゃを与えられた犬のように目をキラキラと輝かせていた。


 しかし、町に入ると高かったフィオナのテンションは右肩下がりになる。

 新しい体験大好きのフィオナのテンションが下がったのにはわけがある。今までフィオナが行った町は全て首都。つまり、贅沢な慣れをしてしまったのだ。


「あの子たち可愛くないか?」


「姉妹かな。お前声かけて来いよ」


「無理無理。他の奴らも見てる中で特攻なんてできねえよ」


 周りの視線を集めていることにテンションが下がっている2人は気付くことは無かった。仮に気付いたとしても、クロエは興味はないし、フィオナはホモではないので彼らに恋した彼らは不幸としか言えないだろう。

 


これからステータスが出ることは少なくなると思います。スキルは出ますがね。

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