21 撤退戦
フィオナにとってこの場の選択は幾つかある。
1つ、戦う。この場でゾディアックの連中を始末すれば、この先、依頼難度が下がるだろう。だが、依頼難度が下がった場合は、報酬も下がる。それに全力を出さなければならないため却下だ。
2つ、おとなしく捕まる。一度様子見と思えば、いけそうな気がすることもない。しかし、捕まった場合は筋力がほとんどないフィオナは抜け出すことは至難の業だろう。却下だ。
3つ、逃げる。これはデメリットもメリットもない。報酬ももらったし、1番安全にこの場を切り抜けられる。
フィオナの0.01秒ぐらいの脳内会議の結果、逃げることに決定した。
そう決定するとすぐにフィオナはこの部屋の窓に向かって走る。この部屋の窓はフィオナの右側の30メートル先にある。がゾディアックとの距離は20メートル。何度かは交戦する必要が出てくるだろう。
「魔法。放ちます!!」
5メートル走ったところで、氷の龍と炎の龍がフィオナの側面から喰い千切ろうと迫ってくる。フィオナは横眼で流しながら先にきた炎の龍をジャンプし回避。後ろから来た氷の龍を空中で炎の壁で迎撃する。
このやり取りでさらに5メートル稼ぐ。
「避けられた!?」
「おらどけっ! 第二波いくぜ! 囲めよ!!」
氷と炎の龍を繰り出した彼女は顎をがくんと落とし、立ち尽くす。それを男が雑に横へどかし、床に両手を付ける。
床に着地した瞬間に床がフィオナの足ごとが凍る。フィオナが動けなくなったのを見て、一斉に魔法が殺到する。全てが致命傷であり、一般人なら1つでも当たると生死に関わると思われる。
フィオナに当たると思われた魔法の暴雨は全てが回れ右をする。そのまま、フィオナに接近しようと思っていた者達に襲い掛かる。
フィオナに接近しようと思っていた者達は手に持っている獲物で魔法を斬り落とす。なんとか対処はできているが足を前に動かすことはできない。それはこの場では致命的だった。
さらに、床を凍らせていた氷がフィオナを避けるかのように融け始める。すぐにフィオナと窓までに凍っていない1本の道ができる。
そのままフィオナは全力疾走をし、残り10メートル。
と窓とフィオナの間に女が立ちふさがる。きっとゾディアックの中でも強者の方だろう。なぜなら自信にあふれた顔、そして誰よりも速く魔法をすり抜けてやってきたのだから。
「強そうだね」
「当たり前だ! 私を他の者と同じと思わむぐっ!」
彼女ことタウルスはフィオナだけを視界に捉えていた。そのため、足元から這い寄ってくる黒の手にを視界に捉えることはことは叶わなかった。
フィオナは黒の手をタウルスが道を遮っているのが見えた時点で発動していた。そのまま足を拘束し、顔を黒の手で覆い、視線を外させる。
そこからフィオナは走り抜けていいところでジャンプをする。その0.1秒後にフィオナの足元の床から土でできた槍が床にいるはずのフィオナを串刺しにする。
きっとこれが最後の罠だろう。フィオナは余裕が無くなったゾディアックのメンバーの表情を見て結論付ける。
目の前にいるタウルスの顔に着地し、フィオナと最低でも10メートル離れているゾディアックのメンバーに振り返って手を振る。
悔しそうな表情を見て大満足なフィオナだった。
フィオナは窓に視線を戻し、窓を炎の玉で壊す。流れに乗って窓から飛び出す。
空中で身体を半身捻って、外側から窓の内側に小さい炎を数百個叩き込む。そして落ちて行って窓から見えなくなったであろう位置で羽を開く。
空中で体勢を立て直し、そのまま垂直に飛ぶ。幸いなことに本日の天気は曇り。フィオナはそのまま雲に届くまで飛んでいき、雲の中を進んで帰ることにする。
地上の風景を見ることもできない。フィオナは魔王城に帰るまで不機嫌だった。
今までの分の禁則処理をしました。
全く気付いていませんでした(笑)
あと、世にも奇妙な物語を見忘れてテンション下がり気味です。はい、どうでもいいですね。




