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18 勇者とゆかいな仲間たち

 話が終わったあとすぐに、フィオナは馬車で勇者一行を迎え撃つ場所まで連れていかれた。


 そこは街道の十字路の中心である。しかし、普段ならにぎわっているはずの街道には人が1人もいない。

 話を聞くに半径500メートル内に人はいないらしい。つまりこの半径500メートルが戦闘可能範囲という訳だ。街道に被害が出る分には構わないという言質もいただいた。


 フィオナは魔法で土の椅子を作ってそこに座る。もちろん魔王城にあった魔王が座る用の椅子を真似している。気分は勇者を待つ魔王だ。だけど、勇者が全く来ないので、フィオナは暇していた……。

 

———————————————


「俺の配下になるのなら世界の半分を貴様にやろう」


「ちょっと違うな。あーあーコホン。それが貴様の全力か? 貴様は何のために剣を振るう?」


 暇を持て余しすぎたフィオナはもうすぐ来るはずの勇者に言うためのセリフの練習をしていた。魔王になったつもりで。

 

 しかし、傍から見れば完全に魔王のまねごとをする罰当たりな子供だ。

 

 フィオナがゆっくりしていると、街道のずっと向こうから4つの影を見た。こんな時に来るのは勇者しかいない。

 フィオナはしっかりとセリフの見直しと表情の準備をしていた。表情はお面に隠されて見えないのだがまたそれを気付いてはいない。



 彼ことアルバートは勇者だった。この世界で勇者とは異世界から召喚されたものにあらず、ただ強いものに与えられるものだ。

 だが、勇者の名を与えられたものには魔王の討伐という義務が生まれる。そして実力をつけるために旅をする。それがこの世界の一般常識であった。


 アルバートも例に漏れず各国を旅していた。ただ今までの勇者と違っていたのは実力でも、種族でもない。正義感だった。

 彼は様々なことに首を突っ込み強引に解決していった。それによって助かった人もいるが、落とされた人がいるのもまた事実。しかし、彼は気付いてはいない。


「もうすぐニップール帝国か? エルザ」


「そうね。もう目と鼻の先ぐらいよ」


 街道を先頭に歩いているアルバートがした問いに答えるエルザという女性。彼女はアルバートが勇者とウル王国で任命されたときからずっとパーティを組んでいた。


「もうすこし。だけど油断は禁物」


「ボクは分かっているよ。イルムは心配性だね」


 口数が少なく、ほとんど肌を見せないような服を着ている少女はイルムトラウト。愛称はイルム。そしてそれに軽口で答えるのはロベルティーネ。彼女たちはアルバートに救ってもらった側の者たちだ。


 彼女たち、エルザ、イルムトラウト、ロベルティーネは勇者ことアルバートのことを好いていた。そしてアルバートはそれに気付いていながらも不干渉でいた。そう、恋愛事になると彼はヘタレだったのだ。 

 女性3人の視線が交じり合い火花が散る。それを感じている男性1人がビクビクしながら先頭を行く。するとすこし先の十字路の中心地に誰かがいるのが見えた。


「なあ、見えるか?」


「うん、何かいるね。どうする? 戦う?」


「もうすこし様子を見てからでしょう。まずは近づきましょう」


「エルザが指図するの? いや」


「まあまあ、俺も近づいてみた方がいいと思う。俺とロベルティーネが前、イルムとエルザが後ろでいつでも撃てるようにしておいて」


 イルムが苦虫を噛み潰したような顔をし、それを見てロベルティーネが笑う。もちろんアルバートに見えないように。

 

 果たして、近づいてみると真っ白の外套を着た子供が椅子に座っていたのだ。アルバートは緊張の糸を緩めて、逆に彼女たちはもっと強く張る。


「俺の配下になるのなら世界の半分を貴様にやろう」


 目の前の少年だと思われる子供が発した言葉はこの場に似つかわしくない、おかしなものだった。


 少年は悠々と椅子から立ち上がり、アルバートの20メートル先に立つ。それはまるで強者の立ち振る舞いのようにエルザは思ったがすぐに自分の考えを否定する。こんな子供が強者なわけがない、と。


 それに先ほどの少年の発言によって4人は気にする相手ではないと油断していた。


「すまないが遊んでいる暇はないんだ。そこを通らせてもらうよ」


 アルバートは少年の頭をなでてその横を通り過ぎようとする。その瞬間、アルバートの数歩先に氷の壁ができた。


「残念だけどここは通せないんだ。ちょっと遊ぼうよ、お兄さん、お姉さん」


 といい少年はフードを捲り、お面姿をさらす。


 アルバートはすぐに気持ちを入れなおして少年との間をバックステップで広げる。戦士であるロベルティーネのところまで戻ったときに半径100メートルの炎の円がアルバート達を中心にできる。もはやそれは炎というのもおこがましい、完全に炎の壁だ。


「どうする? あれは手練れ」


「だが、勝機はあるだろう。さっき俺を殺せたはずだ。それなのに殺さないということは俺達を足止めする、ただし殺しはしないってことだ。そこをつこう」


「それがよさそうね。あと、お面をしているってことは視界が狭まっていると思うわ」


 アルバートとエルザとイルムの作戦会議が終わる。ロベルティーネは参加しない、というより作戦に興味がないともいえる。所謂脳筋だった。


「ところで君の名前はなんだ?」


「名乗るのなら自分からだろう? 習わなかったかい。坊ちゃん?」


「勇者のアルバートだ。さあ、君は?」


 少年はすこし、考え込んだ後。口を開く。


「フィオナだ。ちょっとだけここで足踏みしてもらう」



PVが1万を越えました。皆さまありがとうございます。それのお祝いというわけで今回のシーンでギャグを。

円状に炎上した。

ホームが炎上しそうですね(笑)

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