16 他勢力
今回はほとんど説明回です。分かりにくいと思うので、こちらをご利用ください。
http://ncode.syosetu.com/n9522dh/
フィオナは魔王城へ帰るとすぐにクロエの部屋に直行する。もちろん扉から入る。
「どうでした? 初めての依頼は?」
フィオナは今回の依頼を事細かくクロエに話す。アルカディア王国の貴族からの依頼だったこと。同行人の執事が裏切ったこと。素顔を見せた代わりにコネを獲得したこと。
そしてフィオナは本題に入る。
「ゾディアックってのに襲撃されたんだけど」
クロエは顔をしかめる。その反応だけでまずい相手だということが分かる。
「ゾディアックはニップール帝国が所有している軍部のトップたちのことです。合計で12人いてそれぞれに星座の名前を与えられています。アリエスが1番強く、ピスケスが1番弱いと言われています。詳しくはこれを」
クロエは、一枚の紙をフィオナに手渡す。
———————————————
01 牡羊座 アリエス
02 牡牛座 タウルス
03 双子座 ゲミニ
04 蟹座 カンケル
05 獅子座 レオ
06 乙女座 ウィルゴ
07 天秤座 リブラ
08 蠍座 スコルピウス
09 射手座 サギッタリウス
10 山羊座 カプリコルヌス
11 天秤座 アクアリウス
12 魚座 ピスケス
———————————————
「じゃあ、俺が倒したのは3番目に強いやつだったのか」
「初依頼でゾディアックのゲミニを屠ったんですか。流石ですね」
ここでフィオナはさっきの会話にあった聞きなれない単語を思い出す。
「そのゾディアックを所有しているニップール帝国って?」
「ニップール帝国は近くの国を片っ端から併合して生まれた独裁的な国です。最近は隣国のぺトラ公国と争っているようですね」
またもや聞きなれない単語がクロエの口から発せられる。
「ぺトラ公国?」
「ぺトラ公国は小さな国ですが天然の要塞に囲まれています。あと各国から追い出された亜人が集まってできた国とも言われていますね。職人気質な国です。メンフィス共和国と協力関係にあります」
メンフィス共和国とは?と聞こうとする前にクロエが発言する。
「説明を続けます。メンフィス共和国というのはここ、魔の地と接しています。そのため日々、魔物と小競り合いを起こしています。精鋭ぞろいで。ぺトラ公国に魔物の素材を渡すかわりに独立部隊ソレールを借りているようです」
「ソレールというとゾディアックみたいなもの?」
「その認識で大丈夫だと思います。これも紙に纏めてありますよ」
クロエはさっきとは別のところから紙を引っ張り出しフィオナに渡す。
「ちなみにソレールは太陽系の惑星の名を与えられています」
———————————————
01 太陽 サン
02 水星 マーキュリー
03 金星 ヴィーナス
04 地球 アース
月 ムーン
05 火星 マーズ
06 木星 ジュピター
07 土星 サターン
08 天王星 ウーラヌス
09 海王星 ネプチューン
10 冥王星 プルート
———————————————
「この数字がつけられていないムーンってのは?」
「彼女はアースの右腕という扱いなので数字は持っていないんですよ」
フィオナはげんなりする。まさか、ここまで人類にめんどくさそうな奴らがいるとは思っていなかったのだ。
「これで全部? もういない?」
フィオナは本当にめんどくさそうな顔をしてクロエに聞く。それをクロエは苦笑いで返す。
「あとカラミティーがいます」
「いらない」
「いらないと言われても……」
フィオナは気持ちを落ち着かせてクロエに説明してくれと言う。
「はい。カラミティーはウル王国が所有しています。ウル王国は交通の要所です。そのため人が集まりやすく、ギルドが発達しています。あと教会の力が強く、勇者などにも関係してきます。また異世界から人を召喚させると聞いたことがあります」
フィオナはピクリと眉を動かす。クロエは気付いたが、あまり深く詮索しないようにした。人には関わってほしくないところが存在することを知っていたからだ。
「説明を続けます。カラミティーは自然災害の名を与えられており、人数は1番少ないです。ですが、個人個人の力は高いですね」
クロエはフィオナに説明しながら紙にカラミティーの情報をさらさらと書いている。今回は用意していなかったようだ。
だがすぐに書き終わり、フィオナに渡す。
———————————————
01 地震 テッレモート
02 噴火 アオスブルフ
03 竜巻 トルナード
04 台風 ティフォーネ
05 雪崩 ラヴィーネ
06 洪水 フラッド
07 日照り ドラウト
———————————————
「今まで説明した者たちは全て、一筋縄ではいかない、と一応は言われています。がフィオナには関係ないでしょう?」
「まあ、筋肉痛がなかったら楽勝だったしね」
「筋肉痛なんですか? 訓練のときはそうでもなかったのに」
クロエが疑問にもつ。これはフィオナ自身も疑問に思っていた。
リライトとの訓練の方が何倍のハードだったのに、今の方が筋肉痛がひどいのだ。
「憶測ですけど、お兄様を吸収したのが問題かもしれませんね」
「かもね」
理由は無いが、変わったことといえばそれしかないのだ。
「それじゃあ、今日は寝るから明日に依頼をお願い」
「はいはい、分かっていますよ」
クロエからの返答を背中で受けて、自分が使っていた魔王城の部屋に戻る。そして眠りにつくのだ。それがフィオナが昔からやっていた筋肉痛に対する対処法だった。
これからの依頼はクロエに紹介されるシーンと目的地まで行くシーンは特別なことが無い限り端折らせていただきます。ご理解のほどよろしくお願いします。




