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14 護衛任務

 フィオナが目を覚ましたとき、自分の身体に違和感があった。

 身体の節々が痛む。そう筋肉痛だ。

 前日、緊張して疲れたフィオナはボーっとしながら宿に行き、受付で部屋を借りてすぐに寝たのだった。


必死になってフィオナは記憶の断片を拾い上げる。

どれだ?首都まで飛んだからか?いや、スキルを使って飛んだだけで筋肉なんて使っていない。

でもそれ以外に筋肉を使ったことなんて……。一昨日の戦場か!? アレぐらいで筋肉痛!? てか一昨日の筋肉痛が来るって俺は中年か!


 自分に突っ込みながらフィオナはひょこひょこと足を引きずり、受付で部屋の鍵を返し、宿をあとにする。


 思っていたより朝早くに起きてしまったので町を散策していると、屋台から肉の香ばしい香りがする。そして急に食欲が存在をアピールを始める。


 屋台にはお兄さんとは言えず、おじさんとも言えないぐらいの男が1人いた。

 宿の時は適当に金を払ったので結局のところフィオナは金の価値をいまいち分かっていなかった。


「その肉を1つちょうだい!」


「おお、元気がいいな坊主! ほら、1個おまけしてやるよ」


紙に包まれた肉が2個渡される。それを受け取った後、フィオナはお兄さん(仮)尋ねる。


「ところで聞きたいことがあるんですけど……」


—————


 肉は美味しかった。焼き加減も、味付けも完全にフィオナの好みだった。そう、完全に悪いのは朝に肉をガッツリ食べたフィオナの方だった。


 胸焼けと筋肉痛のダブルアタックですでにフィオナは瀕死状態だ。いや完全に両方ともフィオナの自業自得なのだが。


 さっきの屋台のお兄さん(仮)から教えてもらったことを反復してフィオナは暗記に努める。


「銅貨100枚で銀貨1枚。銀貨100枚で金貨1枚。金貨100枚で白貨1枚」


 ぶつぶつと1人ごとを発しながら歩いているフィオナはちょっと危ない人になっている。いい意味でも悪い意味でも集中したら周りが見えないフィオナは町人がちょっと引いているのを気付いてはいないようだ。


 朝ごはんを食べると時間もそれなりになってくる。明日としか時間指定しなかったのは地位が高いと時間に急な不都合が出てくるかもしれないと思ったフィオナの心遣いだった。


 ゆっくりと歩きながらフィオナは門を目指す。


 10分も歩かずに門にたどり着いたフィオナは一気に帰りたくなる。

 門には完全に大貴族が使いそうな馬車が佇んでいた。門を通る人が全員遠巻きにその馬車を見ている。

 

 もしかしたら関係無い馬車かもしれないというフィオナの期待も、馬車の隣に昨日の執事が立っていた時点でもろくも崩れ去った。

 執事がフィオナに気付く。

 

「待っておりました、傭兵様。中に今回の護衛対象がいますので早くお乗りに」


 フィオナは急かされるまま、馬車に乗る。

 馬車のなかは広く、10人は乗れそうだ。椅子はバスのような感じではなく電車のような並びになっている。天井も高く、椅子も昨日の部屋のベットよりもふかふかとしている。


 護衛対象である3人は一言でいうと生意気そうに見えた。

 歳は17~20ぐらいで、フィオナを見下しているようだ。確かにフィオナの精神年齢は25を超えているが外見年齢は12歳の小さいほうだ。10歳に見えるかもしれない。

 

「金払って雇ったやつってこんなガキかよ? 大丈夫か?」


 貴族は侮蔑と嘲笑の混じった声でフィオナに聞こえるように隣の貴族と話す。隣の貴族も同じような態度を示す。

 残りの1人は完全に寝ている。フィオナはゆとりか!の突っ込みを全力で抑えている。

 執事は貴族の態度を咎めようとしない。まあ、身分的にも厳しいだろう。


「今回の護衛にあたって名前を知りたいんですが」


 とフィオナは名前を聞こうとするが、それすらも貴族は拒否する。


「身分が低いものに教えるような安い名前は持ってないもんでねぇ」

 

「というよりお前が名乗れよ」


「グーグーzzz」


 フィオナは殺意の波動に目覚めた。ここで貴族と執事を始末すれば誰も気づかないのではないか?という思考に辿り着きそうだったが、執事が必死になって謝っているのを見て何とかこらえた。


 と馬車の中でひと悶着あっている内に目的地に到着したのか馬車が止まる。

 そこは草原だった。視界が開けているので、森などに比べると護衛は楽だろう。


 フィオナは御者に軽く会釈をし馬車から降りる。


「しかし、なんで貴族の子息が護衛をほとんど引き連れずに魔物狩りなんて?」


「貴族の中で禁止されているのです。ですが行きたいと申されますので……」


 執事の人とこそこそと話をしてみるとどうやらこの執事も結構かわいそうな人だということが分かった。


 貴族の皆さんは、馬車の後ろ側から金属でできた剣を取り出し、そそくさと3人の団体様で歩いていく。それにフィオナと執事は嘆息しながら追いかける。


 

 目の前には1体の魔物に3人がかりで戦っている貴族。しかも、魔法でしか戦わないフィオナでも分かるぐらい剣の扱いが下手だ。

 剣で斬るのではなく叩いているし、魔法も欠伸がでるくらい発動が遅い。それなのにフィオナに向かってどや顔を決めている。

 まるで「これが俺の実力だ。」ドヤァ。といいたいような感じだ。はぁ、魔物に半殺しにされればいいのに。




 ん?


 フィオナが何かを感じた瞬間。考えるよりも早く、魔法陣を起動し貴族の付近に移動し結界を張る。

 金属のような物が当たり砕ける音と同時に結界から火花が飛び散る。


 結界を閉じ視界が開ける。そこにはさっきまで話していた執事が明確な殺意を持ち、立っているのが見えた。


傭兵で主人公最強って書くの難しいですね。しっかりと書くのが大変で。え?それ以前の問題?・・・え?

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