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13 簡単な依頼

 フィオナに対しての説教はようやく試合終了のホイッスルが鳴る。


 カフェの集合時間まであと1日と3時間。普通に考えたらここからアルカディア王国に行くのには1週間はかかる。しかしフィオナには関係のないことだった。羽があるからだ。


 ちなみにだが、スキルの飛行は羽を生やすことが発動のトリガーとなっている。そのため羽を生やし動かして飛ぶわけではない。


 クロエからもらったお面だけを持ち、出発しようとした直前にフィオナの脳は今日一番の働きを見せる。

 あ、俺ってこの世界の服装分かってないじゃん。魔の地の服装が一般なわけないし、周りから浮いてたら依頼者が逃げるかもしれない。と


「なんか、外套みたいなものとかない?」


 こんな森の中にあるわけがないと思いながらもフィオナはダメ元でショタジジイ妖精に聞いてみる。


「あるぞ」


「あるの!?」

 

 ショタジジイ妖精はどっから取り出したのかフード付きの真っ白の外套を取り出した。

 

「最近はいらない物を森にすてる輩もいるのじゃ」


 なるほど、だから持っていたのか。と納得する。

 

 白いローブを譲ってもらいフィオナはすぐさま羽織る。

 確かにこれで衣服面では大丈夫と言えるだろう。外套も大人用のためフードで顔まで隠れる。ただし、フードの1/4が地面を引きずっている。その姿はまるで大人ぶった子どもということをフィオナは理解していなかった。


 羽を生やして飛ぶ準備をしていたとき、妖精から呼び止められる。


「外套のついでにこれを」


 といいこの世界の貨幣をフィオナ渡す。その価値がどれくらいなのか全く分からなかったがその材質が金であることから上等な貨幣だろうと結論付ける。


 フィオナは軽く礼をし、飛翔する。



 フィオナは空を飛びながらその眼下に存在する絶景に見惚れていた。

 一面に花が咲きピンクの絨毯が敷かれている。その遠くには青の絨毯、つまり海が見える。魔王城に居た頃には絶対に見れない光景だろう。いや、元の世界でも見れないと思われる光景にフィオナは感動しつつも元の世界よりもこっちがいいと思っていることに少し罪悪感のようなものを感じていた。


 ピンクの絨毯を越えた先には緑の絨毯。さまざまな自然が自分達の色を自己主張している。


 急に目の前に現れる黄土色のでこぼこ。町だ。町を見てみるがあまり生活レベルは高くなさそうだ。


 町を3つほど過ぎたあとにようやく、アルカディア王国の首都が見えてくる。

 遠い。それがフィオナの脳の大半を占めていた。


 見えてきた時点でフィオナは近くの森に着陸する。羽が生えている状態を見られるなんて考えただけでフィオナは寒気がした。まるで、自分のことを吸血鬼ですって発表しているようなものではないか。


 目に見える範囲の外套の皺を手で直し、お面をつける。そして近くに見える舗装された道に合流する。

 首都近くの森のためか道の舗装もしっかりとしている。これなら魔物なんて出てくるわけがない。安心だな。



 おかしい。俺は魔物とエンカウントしたくてフラグを建てたはずなのに虫にすら出会わない。もしかして俺のフラグは道の舗装に負けたのだろうか。

 商人や旅人は幸福に感じることも、この変人のフィオナにとっては不幸だった。


 少し歩いただけでアルカディア王国の首都に到着する。

 首都は10メートルの城壁に囲まれている。しかし、兵士が見当たらない。どこかにいるのかもしれないがフィオナは目視で確認することはできなかった。


 町の入り口である門にも兵士はいない。おかげですんなりとフィオナは侵入することができた。


 町は結構にぎわっている。

 店や屋台の人がが客を呼び込もうと必死になって声を張り上げている。

 町人は食べ歩きなどをしており、そのほとんどが笑顔だ。まさにアルカディアの名にふさわしいと言えるのかもしれない。

 見た目に関してもアルカディア王国は寒いのでフィオナのような外套も目立たなかったのは幸いだった。


 集合まであと24時間。集合するまでの間フィオナはすることはないため集合するためのカフェを下見に行くことにした。

 

 ……フィオナはようやく目的のカフェを見つけることに成功した。

 カフェは小さく、こじんまりとしていた。まるで何かから隠れるかのように建てられている。フィオナは少し苛立っていた。それもそのはず、首都にくるよりもカフェを探す時間の方が長くかかってしまったのだ。


 カフェの中も、外から見て抱いたイメージと一致していた。敷地が狭いにも関わらず個別の部屋になっている。

 それを見てフィオナはピンとくる。きっとここは『そういうところ』なのだと。あまり大っぴらにできない案件を話すためのところなのだろうと。


 と、ここで店員と目が合う。そして店員は


「傭兵の方ですね。あちらの部屋にどうぞ」


 と笑顔でフィオナをせかす。

 どうして俺のことが分かったのだろう。とフィオナは珍しく焦っていた。


 しかしこれを断る理由はない。フィオナは小汚い通路を通り、指定された部屋へと向かう。

 部屋はすぐに見つかった。しかし、すでに依頼人は待っているのだろうか?店員の発言的には待っていそうだが、1日前から待つなんて日本人でもしないぞ。


 フィオナが部屋の扉を開けると、中には椅子に座っている初老の執事がいた。

 この人が今回の依頼人なのだろうか?


 執事は少しだけフィオナを見て、不安が混じった視線を向けるがすぐに元の視線に戻す。

 不安になるのも無理はない。想像していたよりもずっと小さい傭兵だったのだから。


「よく来てくださいました。早速ですが今回の依頼を説明してもよろしいでしょうか?」


 フィオナは頷き肯定の意を示す。


「ありがとうございます。今回の依頼は、彼らを守ってほしいのです。しかし、要人警護というわけではありません。彼らが行う魔物狩りを最大限サポートしつつ、危険が迫ったら全力で排除してください」


 フィオナはかしげる。全く意味が分からなかった。フィオナは今まで命がけのレベリングをリライトに強要されていた。

 魔物狩りに安全なんてまさに対極に存在しているといっても過言ではない。


「どういうことでしょうか?もうすこし詳しくお願いします」


「意外と高い声をしているのですね、と戯言はここまでにして。彼らとは貴族の息子たちのことです。彼らの魔物狩りを助けて欲しいのです」


 やっとフィオナは理解する。大方、貴族の坊ちゃんの遊びに付き合わされるのだと。


「ふむ。何人ほどで?」


「あなたと私、そして貴族の息子たちが3人の合計5人となっております」


 フィオナは冷静に思考しようとしたがやめる。どうせこれを断ることはできないという結論に行きついたからだ。


「いいでしょう。依頼開始時間は何時からに? あと場所は?」


「明日ということでどうでしょうか? 場所は門の前で」


「了解です。それではまた明日に」


 といいフィオナは部屋から立ち去る。


 どうやら最初の依頼は子どもの御守になりそうだ。と1人ごちりながら。


今回の見どころってどこでしょうか?

次回には見どころはあるんで。多分。

ところどころ修正しました。依頼の場所を追加しました。

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