表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/15

第3話「彼が教えた悪い癖」

煙草を吸うたびに

彼の笑顔が思い出せた。


「ほら、指はこう」

手首を軽く添えられるだけで

心臓が跳ねる。


彼は、わたしの癖を

ひとつずつ作っていった。


頬杖をついて彼を見る癖。

名前を呼ばれるだけで

嬉しくなる癖。

夜が来るほど会いたくなる癖。


「俺がいないとダメになるよ」

冗談めかして言う声に

むしろ安心してしまっていた。


彼はわたしの寂しさを知っていた。

弱さを見透かしていた。


だから、触れ方が絶妙だった。

離れられなくなるギリギリを

完璧に計算していた。


毎回の指名が

愛の証だと誤解した。


金額が、想いの深さだと

思い込むようになっていった。


気づけば

煙草の煙だけが

わたしを落ち着かせていた。


彼が教えてくれた癖は

みんな悪かった。

でも、全部好きだった。


「もし俺が消えたら困るでしょ?」

彼は笑った。


その言葉は、未来の予告状だった。


わたしはまだ気づかず

彼の横顔に

恋の続きを求めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ