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第2話「初めてのシガーキス」

彼が火をつけたのは、煙草じゃなくて

わたしの心だった。


「吸う?」

差し出された煙草は、知らない銘柄。

細くて、少し辛い匂い。


彼はライターに火をともすと、

わたしの唇に煙草を優しく当てた。


カチッ

小さな音がした瞬間

視界が彼だけで満たされる。


「こうやってね」

その声は、薄暗いVIP席を

さらに甘い闇へと沈めた。


彼は先にひとくち吸って

赤く灯った先端を、わたしの唇へと近づけた。


火が移る

煙が混ざる

呼吸が重なる


それを、彼は

「シガーキス」

と笑った。


煙が肺に落ちた瞬間

胸がぎゅっと苦しくなる。


恋に似ていた。

むしろ恋そのものだった。


彼に褒められる度

もっと吸いたくなる。


「上手。…全部教えてあげるよ」

その囁きがあまりにも優しくて

この夜の続きが、永遠にあると思った。


でも、人は気づかないまま

落ちていくことがある。


わたしはまだ知らなかった。

煙草の吸い方と一緒に

依存の仕方まで教えられていたことを。


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