表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/24

二人きりの逃避行

 王宮を後にした心春とアルベルトを乗せた馬車は、夜の闇を「ざんざん……」と切り裂き、辺境の街へと向かっていた。窓の外を流れる景色は、まるで「無音の映画」のようだった。完璧なまでに整えられた街並みは、心春の心を「ちりちり……」と刺す。


 心春の胸の中にある、小さなパンのレプリカは、まるで心臓のように「どくん、どくん」と脈打っていた。それは、アルベルトの温かさ、そして、彼女の「心を込める」力が、この世界の運命を左右する「鍵」であることを示唆していた。

 馬車の中は、静寂に包まれていた。だが、その静寂は、決して居心地の悪いものではなかった。二人の間には、言葉にはならない深い絆が流れていた。それは、互いの孤独を理解し、支え合う、温かい絆だった。


 心春は、疲労からか、アルベルトの肩に「どさっ」と頭を預けた。彼の肩は「硬い石」のように硬かったが、その温かさは、彼女の心を「とろり……」と溶かす。


 「……すまない」

 アルベルトの掠れた声が、彼女の耳に「ざらり……」と響く。

 「大丈夫です。アルベルトさんのおかげで、助かりました」

 私の言葉に、アルベルトは、無愛想な顔を「ぴくり」と動かす。その仕草が、彼の心の奥底に潜む、かすかな安堵を物語っていた。


 だが、安堵は、一瞬にして打ち砕かれる。

 「ばりん!」

 馬車の窓ガラスが、大きな音を立てて砕け散った。

 「追手だ!」

 アルベルトの言葉に、心春の心臓は「きゅっ……」と縮こまる。


 馬車は、「がたがた……」と激しく揺れ、車体を「こつ、こつ……」と叩く音が聞こえる。それは、王都の騎士団が放った、完璧な魔法の攻撃だった。


 アルベルトは、窓から身を乗り出し、完璧な魔法を唱え始める。彼の指先から放たれた魔法は、完璧なまでに計算され尽くされており、追手の攻撃を「がちゃん、がちゃん……」と無効化していく。


 だが、追手の数は、アルベルトの想像を遥かに超えていた。

 「……くそ!」

 アルベルトの声が「ぐつぐつ……」と煮え滾る。彼の完璧な論理が、この絶体絶命の状況を打開できないことに、彼自身の心が「ちりちり……」と燃えていく。


 心春は、震える手で、バッグからパンのレプリカを取り出した。

 「……私の番です」

 彼女は、目を閉じ、パンに、心を込める。

 その瞬間、彼女の手から、「ぽかぽか……」と温かい光が放たれた。それは、アルベルトの完璧な魔法と「からまり合い」、彼の魔法を増幅させる。


 温かい光を放つアルベルトの魔法は、追手の完璧な魔法を「ぱりん!」とひび割れさせ、追手を一掃する。


 追手から逃れ、二人がたどり着いたのは、辺境の街から少し離れた、森の中にある廃墟だった。

 「……ここは?」

 「俺の、昔の隠れ家だ」


 アルベルトの声は、どこか懐かしそうだった。

 火を焚き、パンを焼く。パンから立ち上る香ばしい匂いが、廃墟を温かい光で満たしていく。

 「……心春」

 アルベルトの声が「ざらり……」と私の耳に響く。


 「俺は、君を、完璧な道具として、利用しようとしている」

 彼の言葉に、心春の心臓は「きゅっ……」と縮こまる。


 「……王都の貴族たちは、『心を込める』力と『大地の魔力』を融合させ、この世界を完璧な魔法で支配しようと企んでいる。君の力は、その『鍵』になる」


 「……」

 彼の言葉は、まるで「ドキュメンタリー映画」のように、心春の心を深く「ちくり……」と刺した。


 「……でも、私は、アルベルトさんと一緒に、この世界の完璧と戦いたいです」

 私の言葉に、アルベルトの無愛想な顔から、わずかに「ぽかぽか……」と湯気が立ち上る。それは、彼の心の奥底にある、凍てついた心が「とろり……」と溶け出す瞬間だった。


 「……そうか」

 彼は、それだけ言うと、私に、温かいココアを差し出した。

 「……飲むか?」

 私は、ココアを一口飲む。その甘さが、私の心を「じわじわ……」と温めていく。


 「……美味しい」

 私の言葉に、アルベルトは、無愛想な顔のまま、わずかに微笑んだ。その微笑みは、彼の「完璧」な人生の中で、初めて見せる、温かい笑顔だった。


 それは、ただの恋心ではなかった。それは、互いの使命を共有し、共に生きる、新しい物語の始まりだった。


お読み頂きありがとうございます。

この作品を「面白かった!」、「続きが気になる」という方は、ブックマークの登録ややじるし↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれると励みになります。

この小説は、単なる恋愛ではなく 文芸、ファンタジー、スローライフ、グルメなど多岐にわたるジャンルを詰め込みました。その為、色々な方に楽しんでもらえると思っています。


どうか、宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ