表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Yahooニュース コメント欄のススメ

作者: 上馬祥

私は仕事の合間にYahooニュースを読むことが日課になっている。

それもコメントにまで目を通すのである。

「仕事中になにやってんだ」と怒られそうだが、退屈な仕事をさせている会社に問題があると開き直っている。


聡明な方は「あっ」となるかもしれないが、窓際ではない。たぶん。

Wikipediaの王翦の項に次のようにある。

『英気が余って遊びに興じる兵達を見て、王翦は「我が兵は、ようやく使えるようになったぞ」と喜んだという。』

Yahooニュースに興じる私を見て、経営陣もさぞ喜んでいることだろう。

(ところで上記の逸話について、どの資料に書かれてあるかご存じの方がいれば教えていただけないでしょうか? 史記 白起王翦列傳第十三には記載がなさそうで ※追記:2025/2/23 白起王翦列傳第十三にきちんと書いてありました。『王翦使人問軍中戲乎?對曰:「方投石超距。」於是王翦曰:「士卒可用矣。」』 教えていただきありがとうございます)


さて、そんなYahooニュースだが、コメントまで読むようになったのには理由がある。


昔、ある増税のニュースで、何の気はなしにスクロールしたら「政治家は南洲翁遺訓を百遍読め」といった旨のコメントを見つけた。

私は恥ずかしながらこの「南洲翁遺訓」を読んだことがなかったので早速読んでみたのだが、とても良いことが書いてある。


Wikipediaより引用

租税を薄くして民をゆたかにするは、即ち国力を養成する也。故に国家多端にして財用の足らざるを苦むとも、租税の定制を確守し、上を損じて下をしいたげぬもの也。能く古今の事跡を見よ。道の明かならざる世にして、財用の不足を苦む時は、必ず曲知小慧きよくちしようけいの俗吏を用ゐ巧みに聚斂しゆうれんして一時の欠乏に給するを、理材に長ぜる良臣となし、手段を以て苛酷に民を虐たげるゆゑ、人民は苦悩に堪へ兼ね、聚斂を逃んと、自然譎詐狡猾きつさこうかつに趣き、上下互に欺き、官民敵讐てきしゆうと成り、終に分崩離拆ぶんぽうりせきに至るにあらずや。


さすが西郷さん。エエこと言いますわ。

私は某コンビニの商品を思い浮かべた。上げ底容器などを用いて少しでも内容量を多くみせかけようとする手練手管は、まさに曲知小慧の俗吏を用ゐ巧みに聚斂する様に等しいのではないか。

以前、コンビニで練乳いちごミルクという商品を見かけたことがある。

透明な容器に瑞々しいイチゴの果肉があふれる様に感動し、大変楽しみにして買って帰ったのだが、プリントだった。

机の上。空の容器。瑞々しいイチゴのプリント。

ふと祖母のことを思い出した。

人形のようなあられを買って来た時「あら、かわいいねえ」なんて祖母が包装用紙を取ると、人形の顔はプリントだったのだ。

のっぺらぼうになったあられに私は感心していたのだが、そのとき見せた祖母の無念そうな顔ときたら幼心にも感じるものがあった。


そう私はYahooニュースのコメントを読んだことで亡き祖母を偲ぶことができたのだ。

決していい思い出とは呼べないかもしれないが、それでも思い出せたことがうれしくて、そうした体験からコメントまで読むようになったのである。


維摩経に直心是道場という言葉が出てくる。

わざわざ自己啓発セミナーに足を運ばずとも、直心をもってYahooニュースのコメントを読めば、そこに潜む聖賢から学びを得られることもあるのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
初めまして。 王翦の逸話ですが、お書きになっている「史記 白起王翦列傳第十三」に記載があります。 原文(?)ですと「士卒可用矣」とあるところのようです。 書籍で確認できるのは    小川環樹・他 『史…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ