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11.抗いなさいっ!




 「……何だか犯罪者になった気分だわ……」


 お亡くなりになってしまった門番さんの懐を探りながら、ひとりごちる。


 まぁ、実際には。

 他人の屋敷に押し入るため、扉を警護する人間を(想定外だったのよ。って言い訳だけはさせて欲しい)殺害し。剰えその懐を探っているのだから……まぁ。現場を抑えられた時点で、何も言い返せない訳だけど。


 ……あった。やっぱり門番だもの、ちゃんと鍵は束で持っててくれた。

 その間、中の気配に変化は無し。


 一応、家から支給された装備品の中には、ピッキングツールも含まれてはいるけれど。

 冷静に考えたらさ、普通に親なら。自分の娘に、()()()()()を渡すものなのかしら?

 ……ああ。そもそもうちってば、世間一般の常識からは完全に()()()家だったわね……


 念の為、扉の蝶番付近に、サラダ油を垂らして。

 これも装備品のひとつ。

 例えそこら辺の雑草や木の葉であっても。油で揚げたり炒めたりさえすれば、それなりに食用に耐え得るからね。毒が無ければ……という大前提は必要なんだけど。


 うわぁ。減った筈の油が、みるみる内に瓶の中に満たされていくんだけどっ?!

 ……これが”反則(チート)”かぁ……


 今度、ドーナツでも揚げて売り歩いてみようかしら?

 俊明(としあき)叔父さんの大好物”異世界グルメで商売無双”をやるのも良いかも知れない。

 常識アプリさんの話では、砂糖は超高級品らしいし。わたしの手持ちの装備品(調味料)が”使い放題”なのは、今確認できたのだから。

 

 それを考えるのは、まず今抱えてる問題を”処理”してからだ


 音を立てない様、慎重に開けようと試みてはみるが。

 誰だって防犯を考えるなら、音が鳴る様()()()()()()()()()()()()に決まってる。盛大に軋む音が響く。


 中にいた人間が一斉にこちらへ注目したのは、もう気配だけで十分解った。

 潜入は完全に失敗。殺らなきゃ殺られる。


 仕方無い。こうなったら、腹を括るしかないっ!


 <盈月(えいげつ)>を抜き、気配の塊へ向け一気に躍りかかる。

 今は、両刀を使わない。咄嗟の為の”保険”は、常に備えていなきゃ。


 「なんだっ。テメェh……」


 誰何の声を無視し、男の首を刎ねる。皆まで言わせる訳、ないでしょ。


 だけれど、所詮はチンピラか。闖入者への対応が、あまりにもお粗末過ぎた。

 わたしへの対応に遅れた彼らが、その混乱から復帰する前に。


 「あ……わ、わわわ……」


 大半を、()()させることができた。

 ただし、狭い室内での大立ち回りを強制させらたせいで。かなりの騒ぎになってしまった気がする。

 奥の方にも幾つかの気配を感じる以上。大して猶予は無いかも?


 「……今日、()()()()()()()は。今何処に居るのかしら?」

 「わ、わ……」

 「素直に言わないと。アンタの首も刎ねちゃうよ?」


 怯えきったチンピラさんの首筋に切っ先を当てて。もう一度、


 「ねぇ、何処?」

 「……地下だ。そ、そこの扉に階段がある……なぁ、これで俺は赦してくれンだろ?」


 わたしだって、好きで殺しをやってる訳じゃないのだから。そりゃ、無駄な殺生はしないに限るでしょうが……それをこの男に言って聞かせた処で説得力は無いかも、だけど。


 「良いわ。ただし、今アンタが言ったことが事実と違ってたら……当然、解ってる、よね?」

 「は……はひっ、うそじゃありましぇんっ」


 ────顔は覚えた。次は殺すから。


 ここまで脅せば、たぶん大丈夫。


 今の証言が、嘘でも罠でも全然構わない。ここに居るチンピラさんたちが刃向かってさえ来なければそれで良い。

 奥にいる人間たちと挟撃される危険を回避できるなら、それに越した事はないのだから。


 生き残りのチンピラさんたちに背を向け、地下へと向かおうとした矢先。


 リィ……リィィィィ……


 『────美姫(みき)っ!』


 <盈月>が啼くと同時に。急激に襲い掛かってきた抗い難い眠気に、一瞬わたしの意識が飛びかけた。


 「うわっちぃっ!!」


 胸に忍ばせていた俊明叔父さん謹製の護符が、瞬く間に燃え上がり。その熱さに、みっともなくわたしは必死にのたうち回る。


 うっへ、熱かったぁ。

 今着ている服が、ダンディおじさま謹製の”反則”の塊でなかったら。絶対に延焼してたレベルの火が一瞬で立ち上ったぞ。

 ……乙女の柔肌が火傷してたら、一体誰に文句を云えば良いのさ?


 『”魔法攻撃”に気を付けて下さい、美姫っ! 今のは<睡眠術(スリープ)>です』

 『そっちの扉越しから魔法が飛んで来たよっ!』


 <盈月>? と<暗月(あんげつ)>? の声が脳内に響く。


 くっそ、今のが”魔法”って奴か。

 全く気配も。呪術に在る”念の凝縮”も、その一切を感じなかった。


 どうやらこの世界の”魔法”という技術は。

 ”異邦人(エトランゼ)”たるわたしには、対処ができない代物らしい。


 『そんな筈無いよっ! 半神(いま)の美姫に、ただの人間が唱える魔法なんか、絶対に通る訳無いモン』 


 そうは云うけどさ<暗月>、叔父さんの護符が身代わりに燃えちゃったんだから。コレって、バッチリ通ったって証拠だよ?


 『ええ。ですので”気を付けて”と』


 どうやら神霊の彼女たちも。主たるわたし自身に魔法防御力が欠片も無いせいで。対魔法戦のフォローができないらしい。


 「……もしかしてコレって。詰んだ?」



誤字脱字等ありましたら、ご指摘どうかよろしくお願いいたします。

評価、ブクマいただけたら大変嬉しいです。よろしくお願いします。

ついでに各種リアクションも一緒に戴けると、今後へより一層の励みとなります。

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