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木刀一つでなんでもするよ

 「はあ・・・・・・」

理由もなく僕はため息をついていた。ため息をついた僕を見て女の子が声をかけてくれるかもしれないし。まあないだろうけど。そもそも女の子に興味ないけど。

だからといって男に興味があるわけじゃないぞ。三次元に興味がないだけだ。

オタク、じゃないはずだ。そもそもどこからがオタクでどこまでがオタクじゃないのかを説明してくれ。そうすればおれがオタクかオタクじゃないかはっきりするから。

そんなどうでもいい事を考えながら自分の家に向かって歩いていた。

 今日の夕飯の事を考えながら歩いていたらひっそりと目立たなそうなところに一つ気になる看板がたっていた。


─木刀一つでなんでもします。


 看板にはそうとだけ書かれていた。どんな事件も木刀一本で力づくで解決するのか、それとも木刀いとつを報酬としてどんな以来も引き受けるのか。よくわからなかった。

僕は毎日が退屈で仕方がない、だから僕はいつでも刺激を求めている。テスト中に携帯をいじったりファミレスで踊ってみたり。まあいつも気づかれないか注意されるだけで終わるのだ。何が起こるかわからないようなスリルのある事をしてみたかったが僕の脳では何も考えられない。

だからこそ僕は看板が出ている店へ入っていった。


 店の中は質素でお世辞にも儲かっているようには見えなかった。

「いらっしゃい」

店員っぽい高校生ぐらいの男が言ってきた。僕は小さく礼をしてみた。

「で、君は何の用? 」

「あの、このお店はなにをやってるんですか? 」

「この店? 看板見なかったのか? 木刀一つと引き換えになんでもする。という店だ」

正直よくわからなかった。スリルがほしいと頼めばスリルがもらえるのだろうか。


「まだよくわかんないって顔してるな」

「えっ、そんな顔してました? 」

「見りゃわかるんだよ、てかこの店は店員が町を回って困ってるやつを勝手に探して勝手に無茶やってるから木刀あつまんねえんだよね。だから君には木刀10本くらい持ってきてほしいなぁ。修学旅行のおみやげの木刀なら一本1300円程度、10本なら1万3000円ぐらいで買えるでしょ。」


 なんて無茶なことを・・・・・・  というかそんなに木刀を集めて何をするんだ? 


「あの、そんなに木刀を集めてなにをするんですか? 」

「特に目的なんてないよ。ただ木刀が好きだから」

「そうですか。店員さんたちは何を報酬にもらってるんですか? 」

「うーん。なんだろうな・・・・・・」

「あ、わかった。人の不幸だ」

「人の不幸? 」

「まあ深読みはするな。その点本店なら木刀一つだけでいいんだぜ? 安いだろ? 」

「まあそうですね」

そうなのか? それに人の不幸ってどうするんだよ。


「で、どうする? 頼みはあるのか? 」

「はい。僕の人生にもっとスリルがほしいんです」

「スリルねえ、木刀は? 」

「ちょうどさっき買いました」

「なんでちょうど買ってるんだよ」

たしかに。

偶然木刀を買っていたなんてほとんどないだろう。まあスリルを求める僕からしたら普通かな。知らんけど。


「じゃあスリルをプレゼントしたよ。死なない程度のスリルだから思う存分楽しみな」

「わかりました」



 思う存分楽しみな、といわれたけれど特にスリルはない。とりあえず銀行で金でも下ろしてこようかな。強盗とか来るかもしれないし。


 んで、予感は的中。銀行に入った途端強盗が入ってきた。強盗の人数は7人。こりゃあいいスリルだ。でも死んだら意味ないよな。あ、でも死なない程度って言ってたし大丈夫か。

「てめえ! なに一人でごにょごにょ言ってやがる」

「あ、聞こえてましたか」

「ああ、聞こえてたよ! 」

強盗は懐から銃を取り出しそれを僕に向ける。この強盗はずいぶん短気なようだ。もうすぐ引き金を引きそうな勢いだった。あれ? 僕このまま死ぬんじゃないか? そんな疑問とともに恐怖がどんどんこみ上げてきた。

ちょっとあの店員を信じすぎたか。死なない保証なんてないのに。


「うらぁっ! 」

男は引き金を引いた。

僕は死ぬ。生きることをあきらめていた。

そんな時体に違和感が起こった。体がまったく動かないのだ。周りの人や物も。銃弾も。

「なんだこりゃ」

なぜこんな状況でもこんなに冷静なのか、まあ悪くはないと思うけどもう少し人間らしい感情がほしいねえ。なんてのんきに言ってる場合じゃないな。

そんなことを考えていたとき木刀好きな店員が俺を見下ろすようにたっていた事に気づいた。

「お前いつからいた? 」

「今からだよ」

「ああ、そうですか」

「どうする? 助けてほしい? 」

「まあ、そりゃ助けてほしいよ」

「オッケー。助けてやるから木刀一本くれよ」

「命と木刀なら安いもんだ。何本でも買ってやるよ」


 そういうと店員は軽く頷いた。すると壊された壁や棚は元に戻り、銀行の周りの警察、強盗も消えた。客の位置も変わり普通に金を預けたり引き落としたりしていた。

つまり完全にいつも通りの風景になっていた。

僕は銀行から出て途中、店で木刀を買ってからあの店に行った。漫画とかならもう一度行くとなかったりするが普通に店はあった。看板もそのまんま。

僕は店員に報酬の木刀を渡し店を出て家に帰った。


それからもその店にはよく通っている。あいかわらず客の出入りは少ないがそれなりに客は入ってきているらしかった。

正直これはある意味本気で書きました。

なにが目的で何を伝えたかったのかもよくわかりませんが楽しんでいただけたら幸いです。

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