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出発

 一歩踏み出して仕舞えばもう戻れない。

 どれだけ後悔しても、どんな未練があっても現世に帰ってくることは二度と叶わない。それでも皆、一様に晴れやかな顔をしてやる気満々に蒸気を吐き出す列車にスルスルと吸い込まれるよう乗り込んで行く。

 不安や恐怖がないわけではない。

 未知の世界に踏み出す恐怖や残してきたペットが無事に生きていけるかという不安。しかしそれよりも目の前の列車が放つ言い表しようのない甘美な魅力に心踊ってしまう。

 ゴツゴツとした岩のようなもので作られた凹凸の激しい歪な車体。中間車両にいるはずなのに先頭が目に見えないほど遠い不自然なほど長い体長。曇り窓の先から漏れ出てくる楽しげな雰囲気。

 こいつは一体どんな場所で、私をどんな世界に連れて行ってくれるのだろう。

 発車五分前のベルが鳴る。気づけばホームに残っているのは私一人になっていた。

 覚悟は決まった。勇気の蓄えも十分だ。あとは全力で楽しむだけ。

 最後になるであろう現世の空気を腹一杯に吸い込んで、私は列車に乗り込んだ。

『鈍行地獄行き列車まもなく発車します』

 最後の乗客を吸い込んで、列車は戻れない旅路を進み始めた。

 

勢いだけで楽しんで続けたい

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