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第八話

おはようございます。第八話をお届け致します。北の国の逆襲が始まります。お楽しみに!


 「ファンタジー系4」


          堀川士朗



第八話



王暦38年9月。

ダスボエンディ少佐率いるタリホー帝国陸軍第5師団第7歩兵大隊を北の国の精鋭砲兵部隊ヤコブが駆逐していく!

新型の滑空砲なので直進せず、カーブを描き着弾破裂する。深く掘った塹壕もこれでは意味がなく迎撃体勢も取れないまま兵たちをミンチにしていく!

反撃も虚しく、ダスボエンディ少佐は泣く泣く部隊を撤退させた。

ロングレンジからの攻撃には無力である事を悟りながら……。



王暦38年12月。

エルトポ大森林には今日も大粒の雨が降り続けていた。

「止まない雨はない」と言うが、あれは嘘だ。

この地方ではもう既に1000年以上前から毎日雨が降り続けている。

森林に猫の群れがいた。

種族はティッシャー猫で姿は半透明だ。

遠くからやってくるただならぬ気配を察知してザザッと森の奥に逃げるティッシャー猫たち。

キャタピラの音が響く。

木々をなぎ倒し、50輌を越す多砲塔戦車ゲンブの第3戦車連隊が森林首都エルトポを攻撃する。

指揮するのは北の国の智将カワハラン・ズーランダー少将。

大魔王アルノからも全幅の信頼を置かれている。

戦車連隊は狂った蛇のように蛇行しながら、城や敵戦車部隊に飽和攻撃をかけている。

アマタイトを転用している視認カメラ搭載の徹甲弾は確実に目標物に着弾していく!


「傾注!対戦車地雷に気をつけろ!卑怯者のあいつらはかなりの量をばらまいている。功を焦らず絶対安全圏を守れ!この虎の子の連隊から出来る限り損害を出さずエルトポを完全攻略せよと、大魔王アルノ陛下から直接賜れたのだ!……諸君、おうちに帰るまでが戦争だよ(笑)」


カワハラン少将は北の国きっての名将だ。加えてユーモアも解する。

少将の指示の下、ゲンブの部隊は工兵を前衛にやらせ、対戦車地雷を撤去させてタリホー帝国の長距離砲『エアガーⅡ』に攻撃を加え、沈黙させた!

砲に張り付いている随伴歩兵は後続の狙撃部隊で皆殺しにした。

これで後方の戦車部隊も恐れる事なく縦深的に進軍し、前線が伸びる。

後は肝心な補給部隊だが、今回の対タリホー帝国戦争では世話役に徹している四天王ネスの師団が全面的に弾薬と燃料補給に当たっているので問題はないだろう。

武運は北の国に傾いてきた!



火力では北の国も断じて負けてはいなかった。

本国から急ピッチで輸送されてきた160チル(56センチ)砲は直接タリホーの森林首都エルトポを狙い、軍事基地や街を破壊していった。

爆撃鳥グロイデル隊の被害は、タリホーの迎撃戦闘機の格納庫を各個撃破する事により格段に減少した!

160チル砲兵部隊は四天王サンザ将軍率いる近衛兵旅団に配属され、大活躍している。

空からは度々、軍用鳥グロイデルの編隊、戦略爆撃隊が爆撃を行った。

一羽につき25エーカ(80キロ)爆弾を30個搭載でき、次々エルトポや周辺の街に落としている。



「まずいな……。潮目が変わっちまったな……。つまんなくなっちまったらもう戦争じゃねえな。仕方なかんべ。今度はへーカップ王国辺りにでも行って稼ぐとするか」


『黒騎士』の異名を持つハンダ・リョーヘー・オブライオスは兵長のバッチを爆撃で揺れる兵舎の机の上にそっと置き、鞭剣一本だけを携えて旅に出た。

もう彼がタリホー帝国に戻る事は二度となかった……。



用意周到なボタンの掛け違いから起きた戦争。

この二年以上に渡る戦闘で、お互いの兵らは練度を上げ歴戦の勇士となっていった。

そうでない者は敗残者の死体として戦場を去り、今頃は共同墓地の墓の下だ。



            続く



ご覧頂きありがとうございます。また来週お会いしましょう。

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