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第七話

おはようございます。第七話をお届け致します。劣勢が続く北の国。四天王トウマート死す!お楽しみに。


 「ファンタジー系4」


          堀川士朗



第七話



一進一退を繰り返している激戦地、センドロ大平原。

タリホー帝国の、拡声器を載せた車輌が北の国陣地に向けて叫んでいる。


「聞こえるかーっ!北の国の馬鹿どもーっ!大人しく我が軍門に下ると良い。はっきり言ってお前らは生ける人間ゴミだーっ!軍門に下らなければ一匹残らず駆逐してやるゴミ虫どもーっ!」


はるか前方から、北の国のスナイパー部隊の一人が拡声器を持つタリホーの将校を狙い撃つ!

弾丸は心臓を貫いた。


「ぐえっ!」

「ははは( ´∀`)。ゴミ虫はてめーらの方だよ。笑」


スナイパーは笑ってその場をそそくさと後にした。



いかなる戦況にあっても、お茶とお菓子を欠かさないアルノ。16歳の女の子だから。お年頃。

そんな彼女だが、最近ふと、なぜ人間は死に急ぎ生き急ぐのかと思慮するようになった。

そして、人間ではない、無限の命を授かった自分は何者なのだろうと思いを馳せた。

邸宅の蔵書でギッシリ埋め尽くされた『本の部屋』でアルノは様々な分厚い研究書を読み耽ったが、自分が何者であるか明確な答えは見つからなかった。

亡き父に自分を託していった高次元の存在とは誰なのだろう。

それが本当の両親なのだろうか。

今日もアルノは、独り『本の部屋』にこもる。



☆王暦38年。3月。

人口1158500。金1682200。

食料1748800。鋼量468500。

兵力227500。文明度2650。


北の国は南西のマナウス地方を六割も侵攻されていた。

タリホー帝国第7砲兵部隊は同盟国ネルネ共和国から供与された新型長距離砲『エアガーⅡ』で北の国の前線にいる兵力を狙い撃ちする。

有効射程距離は250タルコ(65キロメートル)もある!

陣地は次々と破壊され、多大なる損害を与えた。

また、『エアガーⅡ』は射角を変えて北の国のパニシル地方を直接的に砲撃した。

軍事施設にではない。

人が住む、生きた街だ。

街は破壊され、市民に多くの犠牲者が出た。

タリホー帝国は予備役である囚人部隊『コクロチス』をパニシルに攻め込ませ、当然軍規はゆるゆるの彼らコクロチスはそれこそ薬物や酒をやり放題にやりながら、略奪や凌辱を繰り返した!

恩赦を約束されていたはずの囚人部隊は四天王サンザの近衛兵旅団によりパニシルの地から排除、駆除された。

要するに全滅である。

コクロチス(ゴキブリ)は一匹残らず。


パニシル地方の市民は復讐を誓い、志願兵が殺到した。

元々は平和憲法を遵守したパニシル市国出身の彼らが兵役を希望したのはむしろ意外だった。

静かに闘志を眠らせていざという時に解き放つ、国民性の表れだろうか……。

北の国が以前パニシルを交渉による無血開城によって手に入れていたのは、ここにきてむしろ大正解だったと言える。



戦死者が出る。

戦死者が出る。

戦死者が出る。


これは戦争だ。

これは戦争だ。

これは戦争だ。



北の国の劣勢が続いた……。

戦局は芳しくない。

センドロ大平原に展開する他の部隊を生き残らせるため、囮に立ってくれた四天王トウマートの重騎兵部隊。

『エアガーⅡ』の集中砲火を浴びて、トウマートの部隊は全滅した。

彼女の最期は勇壮果敢だったという。


「トウマート……すまない……」


大魔王アルノは長年の付き合いだった四天王の一角、トウマートの死を心の底から深く悼んだ。

トウマートがアルノの前でヒップホップダンスを披露する事は、もうない……。



北の国議場。

国務大臣も兼ねる魔導博士ザコシュが大魔王に対して熱弁を振るっている。

大魔王アルノも熱気を帯びた返答をしている。


「……キョンタム商人から購入して国内で猛訓練させておいた多砲塔戦車ゲンブの部隊を投入しましょう。グロイデル戦略空軍と連携しての総攻撃よ!」

「しかし大魔王様、あの戦車部隊は虎の子!最後の砦でございます!負ければ全てを失います!87パーセクチョ(%)の確率で失敗しますぞ!」

「私は賭けたいの。この北の国の国土を田舎者のタリホーなんかに蹂躙させてなるものですか!」

「大魔王様……」

「わがままを許してちょうだい」


なおも進言するザコシュ博士であったが、大魔王アルノは聞く耳を持たなかった。

ここが、この局面が大チャンスなのだとの直感があったからだ……!

まさしく『正念場』、この言葉しかなかった。



            続く



ご覧頂きありがとうございました。次回またお会いしましょう。

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