10・犬のぬいぐるみに埋もれて現実逃避するしかないと剣聖将軍はぬいぐるみ相手に落語をし
ミニスカサンタ筋肉堕天使紫水晶は走った。
ブーメランパンツでマチョマチョポージングしながら追ってくるナルシス変態ドM王アララギ王に、ねっとりじっとり濃厚な全回復キスをされては時間の無駄であると、全力で逃げた。
警棒と右手を下に下にと振ってスピードダウンを呼び掛ける動作をする沙羅と、『時速60キロ以上ゎスピード違反ですょ。口止めして欲しかったらぉ菓子くださぃ』と書いたスケッチブックを掲げる零を無視して走った。
窓から飛んで、後ろのアララギ王が雪景色効果で自覚的に消えている白い大神殿にぶつかり、壊れて大神殿が視覚的ではなく物理的にも消えた。
「あー、怖かった。
身長1メートルと体重300キロの差を殿は考えないし時間概念無いから、キスしたくないんだよね。
首もげちゃうし」
「紫水晶!
お前なにやったんだよ!」
「あら、若」
紫水晶の視線の先には、破壊されて爆発した強化ガラスの窓から紫水晶のミニスカの中を凝視しつつ怒鳴るシン。
「全面物理強化ガラスを意図的に割るんじゃねー!
破壊される時に爆発すんだぞ!
そんな常識幼稚園で習うだろうが!」
「若はミラ姫様に園児バッグに詰められて、リリカちゃん人形代わりに幼稚園に持っていかれて死にかけた事はあるけど、幼稚園に通った事ないじゃないですか」
「そういや、そうだった。
毎日のように俺よりデカイ着せ替え人形のお嫁さんにされてぶん投げられたり、ビニールプールに沈められて溺れたしてたから通ってた気になったわ。じゃなくて、建物破壊すんなよマジで」
「別に若が建て直すからいいと思う」
「そういう問題じゃねーの。零の前で窓ガラスが爆発したのが問題」
「え?」
空中に浮いていた紫水晶は、大神殿の瓦礫に埋まるアララギが気になるものの、シンに近づく。
「見ろよ零の奴、嬉々として地獄と大神殿の渡り廊下を空気ごとブッシュ・ド・ノエルにしてるし、沙羅の奴は現実逃避して自分の部屋の天井まで詰め込んでいる犬のぬいぐるみの山を魔方陣描いて出して、山籠りしやがった」
「あ?」
「渡り廊下は全部オリハルコンにしたから、零の魔力は漏れずに全部ブッシュ・ド・ノエルになるだろうけど、これが沙羅の犬のぬいぐるみまで巻き込んでみろ。
プハラ滅びるぞ」
沙羅が犬のぬいぐるみ喪失で家出する→タケルがお笑い芸人の修行をする沙羅をストーカーする→そのタケルをワシントン卿がストーカーする→そんなタケルとワシントン卿をBLネタ取材としてホーク卿がストーカーする→野放しになった零が全てを自由気ままにお菓子にして食べる→惑星ごとプハラ国消滅。
「アッー!」
非常に困ったとシンと紫水晶は青ざめる。
「どうしよう。プハラが滅びたら毎日の通勤帰宅と職務上の移動時に無料で全身エステ受けれないじゃない!」
「そうだよ!
自分でエステシャン用意しなきゃいけねーんだよ!
どうすんだよ!
俺、毎日交尾可能エステシャンゴーレム合成した上で、ポンポン建築物を作り出すほどの根気がねーんだぞ。
14歳で風俗店を無限に使えるように法改正してくれるか、中学校か高校進学祝いで国が交尾し放題ハーレムを贈与するように法改正してくれないとやる気でねーよ!」
小学校入学直後でクビという理由から大学を卒業し、公務員試験をコネで正規受験し合格して公務員になったシンには、高校進学の予定が残念ながら全くなかった。
「美容と交尾と豪遊はとっても大事なのは紫水晶でもわかる。そこは同意する。
タケル様からのクリスマスプレゼントを質屋かフリマで売却する為にもこの国を守らないとね!」
モグモグとケーキまみれになって、ブッシュ・ド・ノエルという丸太みたいなケーキを中からピンクハートのお玉で掬って食べている零は、シンと紫水晶と沙羅ちゃんはプハラの事は、心底どうでもいいと思ってる仲間だと確信して、ブッシュ・ド・ノエルの中でにっこり笑うのだった。