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ラジオ配信アプリ

作者: みくた

 テーブルの上には缶チューハイとスナック菓子、そしてスマホ。

 そのスマホからはラジオ配信アプリを通して友人の楽しそうな声が流れている。

 俺は缶チューハイを傾けながら、複数いるリスナーからのチャット形式で表示されるコメントを読みつつ、自身もコメントを送って友人の放送を楽しんでいた。

「昼間にふと思いついたんだけど、今夏だし時間帯もいい感じだから。怪談大会でもやらない?」

 話題が切れたタイミングで友人が提案する。

 その提案に対するリスナーの反応は俺を含めてみんな乗り気だ。

「OK。じゃあ、俺から話すから、ゲスト機能を使って一人一話ずつ話そうか。」

 ゲスト機能とはリスナーが放送に参加し声を乗せることができる機能だ。

「じゃあ、話すよー。・・・えーとね、これ先週の話なんだけどさ・・・」

 友人の声色のテンションが低くなり、BGMが不気味なものに変わる。

 さすがはラジオ配信をしているだけはある。なかなか怖い。

 友人の話が終わり独特な気味の悪さに身震いをしていると、リスナーの話が始まった。


「・・・彼は何処に行ってしまったのでしょうか?」

 最後のリスナーの話が終わる。

 感想としてはリスナーの話はどれも何処かで聞いたことのあるようなものだった。

 まあ、俺自身もネットで見つけたものを読み上げただけなのだが・・・

「はい、ありがとうございました。では、最後に俺からもう一話。」

 低いテンションのまま友人が語る。

「あのね、ゲスト参加中盤辺りから変な気配がするんだよね・・・」

 怖い話をすると霊が寄ってくるとはよく言うが、状況を考えるとさすがに胡散臭い。

 コメントも心配する者もいるが、茶化す方が圧倒的に多い。

「いや待って。マジマジ・・・あ、部屋の外になんかいる・・・」

 友人のただならぬ様子にコメントがどよめきを見せる。

 そして、スピーカーの向こうでドアの開く音とともに、友人の短い悲鳴のようなものが聞こえ配信が打ち切られた。

「え?マジ・・・?」

 突然のことに呆然とするも、慌てて俺は友人にSNSで安否確認の連絡を入れた。

 しかし、返事が帰ってくることはなく、それ以来友人がラジオ配信することもなくなった。

 友人とはネットのみの付き合いであるため、結局のところどうなったのか知る術はない。


 友人のSNSとアプリのマイページは未だに止まったままだ。

 あの日、友人の身に何があったのだろうか?

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