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第25話 パワーアップ

「くっ!?」


突如上空に現れた巨大な大岩は、私たち目掛けて落下してくる。

私だけなら躱すのは容易い。

アーニュやハイネも問題ないだろう。


だが、この場には大勢の人間がいる。

しかもその大半は私の攻撃で動けない。

彼らを見捨てる訳にも行かないので、私は素早く結界を張ってその大岩を受け止めた。


「おっも……」


受け止め続けるのはきついので、結界を傾けてから破裂させ、横へと弾いた。

弾き飛ばされた大岩――もはや小さな山と言っていいレベルの岩が地面に激突し、地響きと共に大地を大きく揺らす。


「何でこんな岩がいきなり」


「いや、只の岩じゃねぇみたいだぞ」


ハイネの言う通りだ。

これは只の岩ではない。

私にはわかる。


それが巨大な魔物だと言う事が。


「動いた!?」


大岩が震え、その表面に亀裂が走る。

そこから手足や頭部が飛び出し、魔物は真の姿を現した。


「亀……か?」


岩だと思っていたそれは、手や頭を甲羅の中に埋もれさせていた亀の化け物だった。

亀は私を見て、その口元を歪めて笑う。


「貴様が聖剣の使い手か」


その声は低く。

聞く物に不快感を与えるしゃがれた声だった。


「魔王様の命により、貴様を此処で殺す」


この魔物は捨て駒だろう。

いくら強力な魔物だろうと、魔王に対抗しうる聖剣を持つ私を単体で倒せるわけがない。

魔王が私の力を測る為に寄越したのだろう。


「全力で相手をするわけには行かない……か。ちょっとしんどそうな相手ね」


手の内を晒すつもりは毛頭ない。

だが私の力試しに寄越した程の魔物だ、手抜きではそう簡単に倒されてはくれないだろう。


しかも周囲には動けない人間も多い。

被害を出さず、かつ手の内を隠して戦うとなると、きつい戦いになりそうだ。


「なーに一人で戦おうとしてんだよ」


「そうそう、私達を忘れて貰っちゃ困るわよ」


「ありがとう、助かるわ」


本当に助かる。

私は二人と、それとガラハッド王子達にも素早く強化魔法をかけた。


「王子、動けない人達の避難をお願いします」


「ああ、わかった」


ガルザス王子は亀が動き出した時点でトンずらしている。

本当にどうしようもない男だ

追いかけて蹴り飛ばしてやりたい所だったが、下手に動くとその時点で大亀が動き出してきそうだったので我慢した。


「ふん、周りのゴミが気になるか。ならば気にせず良いよう、片付けてやろう」


魔物は手足を引っ込め、その場で回転しだした。

そして勢いよく、独楽の様に此方へと突っ込んで来る。


「あたし達に任せな!」


結界でその動きを弾こうとしたら、それよりも早くハイネが矢の様な速さで魔物に突っ込んでいく。


「どっせぇい!」


ハイネは突進してくる山の様な巨大な亀の甲羅を――素手で受け止めて見せた。

彼女の足元の地面が砕け、信じられない力でその旋回攻撃をハイネは押し留める。


「えぇ!?」


驚いて思わず声を上げる。

ハイネのそれはもう、どう考えても人間業では無い。


彼女、いつからこんな怪獣みたいになったの?


「ナイスよハイネ!」


アーニュが魔法を唱える。

大地から人の腕程もあるツタが大量に飛び出し、巨亀に絡みついた。

無数のツタに絡みつかれた亀の旋回は鈍り、やがてその動きを止める。


アーニュの呪文も、以前とは比べ物にならない程強力になっていた。


「ふ、二人とも。いつの間にそんな出鱈目に強くなったの?」


「何言ってるのよ、貴方の補助魔法のお陰でしょ?」


「え?」


補助魔法のお陰?

アーニュの言っている言葉の意味が分からなかった。


「話は後よ。今は兎に角亀に集中しましょう」


確かに彼女の言う通りだ。

亀はその動きを止めた。

だが、只止まっているだけでまだ倒せた分けではない。


私は頷き。

拳に魔力を集約させ、亀へと突っ込んだ。


「こんな亀、一発で決めてやれ!」


魔物を押さえているハイネが発破をかけてくる。

そんな風に言われたら、一撃で倒したくなってしまう。

私は拳へと更に力を込めた。


「任せて!」


力を出来るだけ隠してと思っていたが、なんだかどうでも良くなって来た。

魔王が此方の力を測るというなら、堂々と見せつけて、その上で倒してやればいいだけの事。

何せ私には、こんなにも頼もしい仲間が付いているのだ。

相手が誰であろうと負ける気がしない。


聖なる一撃(アガートラーム)!」


私は大地を力強く蹴って飛び上がり。

甲羅に着地すると同時に、全力全開、必殺の拳を叩きつけ

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