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第22話 再会

「あそこね」


朝靄の中、こじんまりとした神殿が立っているのが見える。

そこが私の目的地(ゴール)だ。


ガレーン王国の外れ、国境付近にある神殿。

私はレアの予言でここまでやって来た。

彼女の予言では、そこに私の運命を決定づける出会いがあるらしい。


「ん?」


神殿から人影が二つ出て来る。

まだ距離がある上に靄が酷く良く見えないので、少し近づいて目を凝らす。

するとそこには――


「ハイネ!アーニュ!」


懐かしい二人の姿を見つけ、嬉しくなって思わず駆け寄ろとする。

だが、直ぐに彼女達の記憶を操作していた事を思い出した。

今の彼女達にとって、私は憎むべき魔女なのだ。


私が足を止め立ち止まると、向こうから二人が歩いて来た。

どうしようかと迷っている内に、彼女達は目の前まで迫って来る。


「あ、あの……」


「よう!元気にしてたか」


私が声を掛けるよりも早く、ハイネが屈託のない笑顔で手を上げて挨拶してくる。

その爽やかな様子に私が戸惑っていると――


「貴方のかけた魔法なら、とっくに解けてるわよ」


そう言ってアーニュがウィンクする。


「え?どうやって!?」


思わず聞き返す。

聖女である私の魔法は、そう簡単に解く事は出来ない。

それこそか、なり高位の神聖魔法の使い手でもなければ。


「お久しぶりです。アリア」


彼女達の背後から、聞き覚えのある声が聞こえて来た。

それは私が子供の頃からよく知る声だ。


森に捨てられ――転生先が森だった――ていた赤子の私を拾い、神殿で育ててくれた。

私の育ての親ともいうべきその声を私が、聞き間違える筈がない。


「大神官……さま……」


二人の背後から現れた、優しい笑顔で微笑む初老の壮年。

それは紛れも無く大神官様だった。


「でも……どうして……私は夢でも見ているの?」


大神官様は処刑されて無くなっている筈。

ハイネと言い、アーニュと言い。

夢を見ているとしか思えなかった。


「夢や幻ではありませんよ。処刑の直前に、ガラハッド王子が救って下さったんです」


ガラハッド王子。

ガルザス王子の弟で、とても優秀な人格者と聞いている。

でも何故その王子が大神官様を?


「あたしらだって夢じゃないぜ」


アーニュとハイネが微笑んだ。

それが逆に夢落ち臭を匂わせて仕方がない。

私は試しに力いっぱい両手で頬を叩いた。


「いったー。って事は、やっぱり夢じゃない」


頬がじんじんと痺れる。

この感覚は本物だ。

つまり目の前の二人も、そして大神官様も本当という事だ。


「大神官様!!」


感極まって私は大神官様に飛びつく。


「おやおや、まるで子供の様ですね」


「だって……だって……」


胸の奥から熱いものがこみ上げてくる。

目から自然と涙が溢れ、言葉が詰まって上手く喋れない。


「よかった、よかったよぉ」


大神官様の処刑が聞かされた日から、今日までずっと後悔して来た。

なぜもっと早く脱出しなかったのかを。

国や国民など信じず、さっさと動いていれば助ける事だって出来たかもしれなかったのにと。


私はそれをずっと悔やみ続けて来た。


だけど、大神官様は生きていてくれた。

それが嬉しくて嬉しくて。


「貴方には随分辛い思いをさせてしまいましたね」


大神官様は優しく私の頭を撫でてくれる。

私はその胸元に縋りつき、只々泣きじゃくった。

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