僕の始まり。
「僕は、いつから死に興味を持ったのだ。」
「そう、そうだ、あの日から…」
目を瞑り、手を胸の上に起きて指を絡めて握った。
布団に体を沈め小さく息をする。
カーテンの脇から見える月は光を放っていた。
僕は、頭の奥にある小さな記憶の扉を開ける。
あれは、2歳の時の記憶。
目を開けると車の中で後部座席に横たわる僕。
運転座席に座る父。
助手席で父の肩を叩く母。
2人はとても楽しそうに笑っている。
僕は、2人をみて安心して眠る。
それが僕が意思に目覚めた瞬間だった。
僕は、保育園を変え家から近くの保育園に通った。
僕の周りには4人人が居た。
1人は、幼児にして出来上がっていた立派な顔した女の子のみき。
1人は、子供らしい顔したかわいい女の子のれな。
1人は、僕に意地悪ばかりする男の子のたくま。
1人は、最初の1人に従順に従う男の子のりき。
この4人はいつの僕の周りにいた。
特に、れなとは仲がよくいつも一緒に居た。
両親もれなのことを知っていた。
プールで遊ぶ時、砂場で遊ぶ時、お湯議会の時いつも隣に居た。
れなは僕にとって親友という立場にいただろう。
でも、みきは僕の事をすごく嫌っていた。
いつも意地悪ばかりする。
おままごとをする時いつも仲間外れにされていた。
れなが僕も仲間に入れてというとりきが僕を押し倒して「じゃま、あっちにいけ」と仲間に入れて貰えなかった。
そして、たくまは、謎だ。
仲間外れにされた僕をサッカーに誘った。
「ゴールの前に立ってろ」とゴールキーパーにされた。
僕は、仕方なく立っているとボールが飛んできた。
僕は、ボールがゴールに入るのをただ見ていた。
すると、たくまは「なんで、ボールとらないんだよ」と怒るが僕は、立っている事しか言われていないのに何故怒られているのか分からなかった。
たくまが怒ったかと思うと突然、僕の肩に腕を回して、僕の耳に「おれ、さきのが好きなんだ、だけどななもすきなんだ」と小さく言う。だから何という顔を僕がするとたくまは笑ってどこかへ行く。
たくまは突然、無意味な突っかかりをする。
そんな日々を送っていると時は流れ卒園式を迎える。
みき、れな、りきとは同じ学校だったが、たくまだけ違う学校だった。
僕が通う保育園は私立で色んな校区から子供が来ていたから別に珍しくもなかった。
卒園式は無事に終わり母と保育園の帰りにスーパーに行った。
僕は、母と離れお菓子のコーナーでお菓子を選んでいた。
僕は、誰かに見られているような感覚になり横を見るとそこには明日からはもう会えないたくまがいた。
僕は、お菓子を持ったまま逃げた。
母のカゴにお菓子を入れスーパーの端にあるお惣菜コーナーに逃げた。
辺りを見渡してもたくまの姿はなく、安心して冷凍コーナーに歩いた。
すると、僕の数センチ前にたくまが現れた。
僕はたくまから逃げようと背を向けたがあっけなく捕まってしまった。
たくまは僕の制服の袖を掴むと僕の方に腕を回し後ろから抱きしめた。
僕より背の高いたくまに僕は包まれていた。
たくまは僕の耳元で何かを言い残しその場を去った。
それが、僕とたくまの最後になった。
何を言われたのかは僕は、覚えていない。
でも、抱きしめられたことはとても嬉しかったと同時に複雑な気持ちがあった。
たくまは以前に別の子を好きだと言っていた。
だから、何故僕を抱きしめたのかが不思議だった。
でも、それは大きくなるにつれ不思議ではなくなった。