- 謝罪 -
今回の登場人物紹介
主人公:宮地 文博
部員:2年 宮田 正博
:2年 津久井 樹
顧問:常見つねみ 美奈子
生活指導の先生・主人公の父親・裕太の親・樹の親
ちょうど体育館履きに履き替え体育館の扉を開けた男子バレー部顧問の常見先生と生活指導の先生が突然の大声に慌ててそちらを凝視する。
”ドカッ!”
体育館に鈍い音が鳴り響く
文博は必死に体を回転させ支柱の直撃を避けた。
「正博!てめーなにしてんだ!」
文博はあまりの恐怖に身がすくんでいると
文博に危険を叫んでくれた人物が正博の元に走り詰め寄った。
「それじゃお前ほんとに犯罪者じゃん!お前怖いよ!何してんだよ!」
自分の計画を阻止されてしまった為、とっさに大声で
「樹!てめー邪魔すんのかよ!」
正博は叫んでしまう。
そう。とっさに文博に危険を伝えたのは樹だった。
顧問の常見先生と生活指導の先生が慌てて駆け寄る。
「宮田!何してんだ!」
正博の元に生活指導の先生が駆け寄り
「今見てたが、宮田!お前今わざとこの支柱をぶつけようとしたな!」
「あっ...いや...わざとじゃないっすよ...手が滑って...」
我に返った正博は生活指導の先生に叱責されると動揺を隠せず言い訳した。
「話を聞くから取り合えず職員室に来い!」
生活指導の先生は正博に強い口調で伝え一緒に職員室に連れて行った。
「宮地君!津久井君!大丈夫!?」
常見先生が問いかける。
「俺は何ともないけど文博は大丈夫か?」
樹が心配そうに倒れている文博に話しかける。
「あっ!はい。大丈夫。樹君が叫んでくれたからとっさによけれたから。」
文博は恐怖と驚きで心臓の鼓動が早くなって声も震えていたが
特にケガをしている様子もなかった。
「津久井君間一髪のところで宮地君を救ってくれてありがと。」
常見先生が樹に話しかける。
「昨日..正博からスマホにメッセージが来たんで、心配で監視してたんです。」
樹は常見先生に話した。
「宮地君に何かするって言ってたの?」
常見先生の問いかけに樹は頷く
「文博が気に入らないから今日痛めつけるって...もうこれ以上正博に悪いことをさせたくないから止めないとと思って..正博は保育園の頃からの友達だから。」
落胆した表情で樹の話を常見先生は聞いていたが
「そうなんだ。きっと宮田君も津久井君の気持ちわかってくれると私は思う。」
その後、常見先生監督の元部活動は行われたが、職員室に連れていかれた正博は戻ってくることはなかった。
翌日、正博は学校に登校してこなかった。
前日問題行動後、職員室に連れていかれた正博だが、生活指導の先生がいくら行動を見ていたので正直に話をしなさいと言っても
「わざとじゃない!手が滑っただけだ!」と言い張り反省の色がうかがえないので、親を呼び出すこととなった。
しかし親も「子供がやっていないというのだからやっていない!」と電話で言い張り学校に顔を出さず
それどころか、市の教育委員会に自分の子供が学校で教師から不当な扱いを受けていると抗議の電話を入れる始末だった。
翌日の夜、文博の父親と樹の親とケガを負わされた裕太の親が学校に呼ばれ現状を説明された。
文博の父親は、裕太のケガの事もあるので最悪の場合は警察に被害届を裕太の親と文博の父親で出す話を学校側に伝えた。
文博は未遂で済んだが裕太はケガをしているし
裕太がケガをしているのに正博の親は一度も裕太の親にお詫びの連絡を入れていないことや
今回、明らかに計画的な行動が樹とのメッセージのやり取りで分かっているのに
完全に否定し反省をしない態度に文博の父親は頭に来ていた。
学校側は、教師と保護者とのトラブルが多々あるので最近は市で学校専属の弁護士がいることを伝え
その弁護士を交えてもう一度正博の親と話をしてみるので
警察沙汰にするのは少し待ってほしいと伝えられた。
その後一週間が過ぎた。正博はその間学校に一度も来ていなかった。文博と樹と裕太の親がまた学校に呼ばれ
正博の親と弁護士を交え話し合いが行われ、正博と樹のメッセージ交換の記録や樹の証言があるので
万が一正博が被害届を出された際に、今のままでは正博の為にならないことを正博の親に説明し
やっと正博の親が自分の子供の非を認めたことを伝えられた。
学校からの説明を受けた翌日夕方に正博の親と正博本人が文博の家と裕太の家を訪ねて謝罪をし
文博の父親と裕太の親は謝罪を受け入れ被害届を出すのを止めた。
正博はその後、別の学校に転校してしまい、樹もこの出来事を機に顧問の常見先生やほかの部員が止めたが
バレー部を退部した。
次回新生バレー部スタート