- 再挑戦 -
登場人物紹介
主人公:宮地 文博
親友:鈴木 裕太
部員・キャプテン:小宮 雄二
部員・2年:大竹 義人 田端 弓弦
部員・1年:菊池 大輔 石川 大和
顧問:秋元 隆二
副顧問:常見美奈子
前回も書きましたが、3話くらい前からA中など中学校名をアルファベット表記していましたが
編集しすべて学校名を付けました。
今まで出てきた中学校の名前変更
A中学校=西中学校
B中学校=丸山中学校
C中学校=東中学校
D中学校=山中第一中学校
F中学校=山上中学校
R中学校=高山中学校
強豪校の西中に快勝した練習試合から数か月が経った。
日々練習や練習試合などをこなし、文博達の学校は県内では名前が知れるほどの強豪校へと、なり始めていた。
そんなさなか、年末に行われる県の協会長盃が開催される時期に、大変な情報が入ってきた。
「えっ?西中バレー部協会長盃参加しないんですか?」
副顧問の常見先生が秋元先生に尋ねた。
「うん。なんだか顧問の先生と部員の保護者間でトラブルがあった見たいで、バレー部の活動自粛になったみたいなんだ。」
秋元先生は答えた。
「トラブルって?」
再度、常見先生が尋ねる。
「人伝に聞いた話だと、体罰みたいだね。」
神妙な面持ちになり、秋元先生が答えた。
以前より西中学校男子バレー部は、強豪校だけに指導が厳しいという噂があった。
また、強豪校だから厳しい指導も致し方無いという保護者の暗黙の了解みたいなものもあり
公立高校であるのにも関わらず、離れた地域からバレー部へ入部させるために転校させてくる保護者もいた。
だが、少し前の練習の際に事件が起きた。何人かの部員が顧問の指示がうまく理解できなかった為
顧問が思う行動と違う行動をしてしまった。その事に顧問は腹を立て、その部員の子供たちにビンタをし
練習中ずっと体育館のステージの上で正座させるという事があった。
その体罰を受けた子供が親にその事を話、その親が教育委員会に相談したことで今回の事実が発覚した。
事実関係を調べていくと、その事だけではなく以前から、沢山の体罰が顧問により行われていた事実が発覚し
西中学校は顧問の懲戒免職を決め、子供たちへの心のケアと次の指導者を決めるまでの間、活動自粛をする決断をした。
この事は、すぐに他校の生徒たちの耳にも入り、文博や裕太など男子バレー部の中でも大きな話題だった。
「文博!西中バレー部潰れたらしいぜ!」
珍しく神妙な顔で裕太が話しかける。
「いや!潰れてはいないよ。少しの間、活動自粛だって。」
地元の新聞記事でみた内容を裕太に伝えた。
「でも、3番とか6番の選手は可哀そうだよな。俺らの一個上だから早く再開しないと大会に出られないまま中学終わっちゃうじゃん。」
「そうだね。西中のメンバーもみんな結構できる選手だから、このまま終わっちゃうのもかわいそうだよね。」
なんだか二人とも、西中の選手たちの事を考えると心が沈んだ。
「西中のメンツは可哀そうだけど、俺たちは俺たちで今度の協会長盃頑張らないとな!」
急に二人の話に横から割って入るように、キャプテン小宮が二人に投げかけた。
「そうだね。」「そうだな!」
「西中のやつらの分まで俺たちが大暴れしてやっか!」
小宮の一言で神妙な二人が前向きに戻り
裕太はいつものように笑顔で自分を奮い立たせ、キャプテンの小宮にお前は極端だなと突っ込まれていた。
そんな様子を見ながら文博は強くなっていく自分のチームへの期待と今後も人生でバレーボールとかかわっていければいいなと思っていた。
その後、協会長盃は県内最強の山上中学校に大会初回の方で当たってしまい、健闘はしたもののやはり文博と裕太だけの実力では今一つ決め手に欠けてしまい負けてしまった。
そして年が明け数か月が過ぎ、2年生たちは3年、文博達は2年に進級し、新入生の1年生たちが入学してきた。
バレー部への入部希望者は、文博や裕太が所属していた小学校のリトルチームから3人入学してきたので、そのままバレー部に入部するかと思われたが、1人以外はバスケット部へ入部してしまい文博と裕太は落胆していた。
「俺たち先輩として慕われてなかったのかな。」
悲しそう裕太が文博に問いかける。
「そうかもね…ケンジとノブのほうが慕われてたのかもね。」
文博も悲し気に答えた。
バレーボール漫画の影響も大分下火になってしまい、やはり根強い人気のある野球やサッカー、バスケットボールなどに入部希望が集中し
意外と遊び感覚で楽だと思われがちな、バドミントンも入部者が増えていた。
結局、新入生でバレー部に入部したのは経験者1人と未経験者3人の4人だけで、存続が危ぶまれる人数になってしまった。
現在、3年生4人、2年生8人、1年生4人という形で新年度男子バレー部はスタートした。
顧問の秋元先生と副顧問の常見先生も引き続き継続になり
日々練習や練習試合、地域限定の大会等こなして行き、あっという間に月日は流れて行った。
そして、3年生たちには最後の大会となる総体連が始まった。
以前のライバルで、活動自粛中の西中学はその後再開することは無くこの大会にも出場はしなかった。
「いよいよ俺たち3年はこの大会が最後の大会になる。俺たちのチームになった初旬は、いろいろと問題が起き、このままバレーボールを続けられるのか心配だったけど、その後とても良い顧問の先生が来てくれたおかげと、最強の下級生がいてくれたおかげで、こんな頼りないキャプテンのチームが県大会上位常連校にまでなって俺はとてもうれしいです。でも、どうせなら最後に全国制覇する事を目標として今回挑んでいこうと思いますので、みんなもぜひ全力で付いてきてください。よろしくお願いします。」
大会前の練習後に、キャプテン小宮から最後の一言という形でみんなに檄が飛んだ。
勿論、文博や裕太など下級生も皆気持ちはキャプテンの目標通り、全国制覇を夢見て大会に挑んだ。
文博達の学校も大分評価が上がり、確実に県大会まで出場できる事はみんな予想していた。
その前評判通り、同じ市で唯一苦戦を強いられていた西中がこの大会に出ていない為
ストレートで一セットも取られることなく、市の大会は優勝し県大会に進出した。
そして県大会が始まり、順調に勝ち進みやはり当初の予想通り、決勝戦で今まで一度も勝てた事の無い山上中学校と対戦する事となった。
総体連では、県大会での3位入賞学校までが次の関東大会に進出する事が出来るので、文博達の学校も関東大会行きは決定していたが
やはりここで、全国制覇を成し遂げた事の無い山上中学校を倒すことが出来なければ関東大会に出場しても全国制覇は到底無理な事なので
ここで何としてでも、山上中に勝利し自信をつけて関東大会に挑みたかった。
そして、山上中との試合が始まった。
両校ともに素晴らしいプレイの連続で拮抗した試合だった。
文博達の学校の3年生たちも、最後の大会にかける思いで、皆それぞれ自分のできる最高のプレイを最大限発揮し
イップスで苦しんでいた、リベロの義人もイップスを克服し見違えるほどのプレイを見せていた。
勿論、2年生のレギュラーメンバーの文博や裕太それに大和や大輔も奮闘した。
結果は最終セットまでもつれ込んだが、文博達の学校が勝利し県大会を制覇した。
「よっしゃー!」
勝利の瞬間、ベンチや応援席の保護者や応援に来た生徒等が皆、飛び上がり歓喜した。
その後、表彰式が行われ優勝旗やトロフィー等が贈呈され、皆一様に優勝の喜びに酔いしれた。
大会終了後顧問の秋元先生の元に集合し秋元先生の話を聞いた。
「皆よくやった!お前らはこの県で一番バレーボールが強い中学チームになったんだぞ!でもここがお前たちのゴールじゃないよな?みんなが目指すところはなんだ!」
秋元先生の檄に
「全国制覇!日本一です!」
部員たちは大声で答えた。




