- 快勝 -
登場人物紹介
主人公:宮地 文博
親友:鈴木 裕太
部員・キャプテン:小宮 雄二
部員・2年:大竹 義人 田端 弓弦
部員・1年:菊池 大輔 石川 大和
顧問:秋元 隆二
3話くらい前からA中など中学校名をアルファベット表記していましたが
編集しすべて学校名を付けました。
今まで出てきた中学校の名前変更
A中学校=西中学校
B中学校=丸山中学校
C中学校=東中学校
D中学校=山中第一中学校
F中学校=山上中学校
R中学校=高山中学校
初戦、文博達の学校は高山中との試合だった。
今回練習試合に参加した、高山中学校と丸山中学校は、文博達の市とは隣の市になる中学校だった。
そしてこの両校とも、先日の新人戦で県大会まで勝ち進んできていた学校だった。
試合開始の笛が鳴り、高山中サーブから試合が始まる。
高山中がサーブに入る前に裕太が文博の元に駆け寄り耳打ちした。
そして文博は笑いながらうなずき、裕太が自分のポジションに戻る。
今回、文博達のスタメンは
セッター:文博、センター:大輔と大和、スパイカー:キャプテン小宮と弓弦、オールマイティープレイヤーでセッター文博の対角線上に裕太というメンバーで
取り合えずリベロを使わずに、文博のセッターカバーに裕太が入れるようにした。
高山中サーブをキャプテン小宮がレシーブで揚げる。
高山中はセンターの大輔がアタックを打つと思い、大輔の前でブロック体制に入った。
文博は高くやさしいトスを後衛に揚げた
”バンッ!””ボン!”
その後一瞬の間に軽快な快音と共、相手コートにボールが叩きつけられた!
高山中はまさかの攻撃にブロックすらできなかった。
「よっしゃー!景気つけの一発!」
裕太の雄たけびのような声が上がる。
「ナイス!裕太!」
「ナイスピー!」
チームメイトからもベンチからも、裕太の意表を突いた豪快な攻撃に歓喜が揚がった。
先ほど裕太が文博の元に駆け寄り
「文博、もし試合進行上問題が無ければ一発目俺に揚げてくれないか?」
「えっ?バックアタックって事?」
「そう!景気つけと俺の復活祝いってことでダメかな?」
「良いよ!じゃあ一発ド派手にかましちゃってよ!」
「おう!任せとけ!」
という会話を試合直前に文博と交わし、一発目から意表を付いた攻撃を繰り出したのだった。
この攻撃以降文博達は波に乗り、そして裕太の守備力やまさかの攻撃など多彩な戦術で、県大会に出場している高山中を完全に圧倒しストレートで快勝した。
第二試合目は、先日の新人戦で大敗させられた西中との試合
西中3番エースアタッカーも絶好調のようで、試合前練習から快音を響かせていた。
西中も、前回の新人戦では惜しくも準優勝で終わってしまい優勝は叶わなかったが、そのおかげといってよいのか悪いのか、セッターのトスアップが新人戦の時より数段向上していた。
文博達のチームは前回の高山中との対戦時と同じスタメンで試合に臨んだ。
西中サーブから試合開始
キャプテン小宮がレシーブし、文博の元にトスが揚がる。
コート前衛中央より、文博はトスアップの体制に
レシーブで揚がったボールと同時に、前衛の大輔がクイック入ると見せかけ、西中がブロックに入ったところをバックトスで弓弦がライトからアタックを決めた!
「よっしゃー!出だし好調!」
「ナイピー弓弦君!」
「もう一発行こうぜ!」
コートにいるメンバーから歓喜が揚がる。
そして文博達のサーブ
弓弦がジャンプフローターでサーブを相手コートに入れる、少しレシーブが乱れたがセッターにトスが揚がった。
・・・来る!・・
裕太が咄嗟にレシーブ体勢に入り身構える。
西中3番が、豪快な助走と力いっぱいのスイングで裕太の正面にアタックを打ち込んできた。
”バンッ”
新人戦の時よりトスアップの制度が上がっていたため、アタックの威力も増していた。
”ボンッ”
とても中学生とは思えない威力のスパイクを、裕太は真正面から反発の力を殺しお手本のようなレシーブでセッターの文博の元に揚げた。
「ナイス!裕太!」
文博はとっさに叫んだ、そしてさらに
「裕太!GO!」
声を掛け
裕太は後ろに下がり、高山中戦同様に文博の絶妙なトスアップから、バックアタックを西中のコートに叩き込んだ!
「いっよっしゃー!!」
裕太はガッツポーズをし文博とハイタッチをする
「ナイス!裕太!」
「お前最強!」
さらに仲間からも歓喜が上がる。
顧問の秋元先生も、椅子に座った状態で小さくガッツポーズをしていた。
西中にしてみると意表を突かれた。
先日の新人戦でそこそこの力を発揮していたチームであったが、自分たちのチームには手も足も出ない学校だと思っていた。早いうちに叩きのめして、メンタル的に自分たちには勝てないんだと思い込ませるために今回申し込んだ練習試合だった。
それに一発目から弾丸スパイクを叩き込んで更なる恐怖心を与える作戦でもあった。
・・取りやがった。まぐれか?・・
西中顧問は心の中で思った。
「わりー!今のは芯で捕らえられなかった!次は決めっから!」
西中3番は、負け惜しみのように仲間のみんなに叫んだ。
その後さらに西中3番のアタックは、後衛に裕太がいる際には裕太が、文博が後衛に下がった時は文博がレシーブし裕太がトスアップする形で攻撃を阻止し
その結果、先日の新人戦からでは考えられない結果となり、西中が一桁台で抑えられ文博達の学校が快勝した。
「マジかよ!」
「裕太が入っただけでこんなに違うのか!
「お前ほんとに最強じゃん!」
チームメイトみんなから褒められ裕太は持ち前の明るさでおちゃらけて喜んでいた。
その後、丸山中との試合も全く負ける気配が無いまま完勝し、この日の練習試合は終了した。
生徒たちが後片付けをしている際に、秋元先生たち顧問は談笑し
次の練習試合の予定などを話し合っていた。
「秋元先生のチームはお強いですね。」
秋元先生は西中の顧問から声を掛けられた。
「小学校からの経験者が2人いますが、今日勝てたのはまぐれですよ。」
謙遜しながら秋元先生が答えると
「そんな事ないですよ。まさかこんなに強いとは思ってなかったんで、うちも次に当たる時までに強くしておきますから、その時はお手柔らかにお願いしますよ。」
悔しさをにじませながら西中顧問は話した。
「もしよければまた近いうちに練習試合でもどうですか?」
秋元先生が尋ねると
「次は大会の時にしましょうや。お互い手の内を見せないで大会の時に全力で勝負ってことで。」
何となく引きつった笑顔で悔しさをにじませながら、西中顧問は会釈をし体育館外で集合している生徒たちの元へ向かった。
・・・なんだか感じ悪い人だな・・・
秋元先生は思ったが、他の学校の顧問達とは直接の連絡先を交換し、いつでも都合が合えばという事で話をした。
片付けも終わり、来校してきた生徒たちは体育館の外で集合し顧問の話を最後に聞き解散していった。
文博達は体育館の中で秋元先生から、今日は練習試合であったが、全勝できた事への励ましと、今後どのチームもさらにレベルを上げてくるのでみんなももっと向上していこうと叱咤激励していた。
そんな中体育館の外から
「おめーら何負けてんだよ!強豪校が聞いてあきれるな!明日から俺は指導しねーからおめーらで勝手に練習しろ!」
大声で西中顧問の怒号が響いていた。
体育館の中にまで響いた怒号に、秋元先生や文博達も顔が引きつったが、強豪校をそこまで追い詰めた事への嬉しさと西中に行かなくてよかったと思う安堵感でみんなにやけていた。
その後、怒鳴られるだけ怒鳴られて西中は解散していったようだった。
文博達も解散し帰路に就いた。




