- 新人戦開始 -
今回の登場人物
主人公:宮地 文博
部員
2年 キャプテン 小宮 雄二
大竹 義人
田端 弓弦
山本 達也(たつや
1年 菊池 大輔
石川 大和
部活顧問: 秋元 隆二
副顧問: 常見 美奈子
その他:対戦校の皆さん、父兄の皆さん
新人戦が始まった。
これまでの練習や練習試合の結果を踏まえ、顧問の秋元先生から大会前日の練習後にスタメンとポジションが発表された。
秋元先生就任後からポジションチェンジが行われ、文博は-背番号5番-セッターとしてスタメンになり
キャプテンの小宮はもともとセッターだったが、ジャンプ力があり打点が高かったのと力のあるスパイクが打てたので-背番号1番-アタッカー(ウイングスパイカー)に、一年生の大和-背番号6番-と大輔-背番号7番-は身長の高さを生かしセンター(ミドルブロッカー)に、そして2年生の義人-背番号2番-がリベロで、残り二人の2年生弓弦-背番号3-と達也-背番号4番-はアタッカー(ウイングスパイカー)のスタメンになった。
「いよいよ明日、色々とゴタゴタがあった新チームだけどみんなの実力をいかんなく発揮して悔いの残らぬように頑張りましょうね!」
ここぞとばかりに副顧問の常見先生が先陣を切ってみんなの前で檄を飛ばす。
「俺がみんなを指導してまだ一か月ちょいしかたっていませんが、みんなの実力はほぼ確認できました。みんな自信を持って良い、今のみんなの実力なら県を突破するのも夢じゃない!俺が保証する!明日から頑張っていこう!それとスタメンじゃないベンチメンバーもどんどん出場させていくから常にメンタル作っておくように!」
続いて顧問の秋元先生がみんなに檄を飛ばした。
「ハイ!」
部員全員大声で返事をし明日に備え解散となった。
文博は明日からの新人戦に裕太が参加できないのがとても残念だったが
裕太なりに一生懸命復帰に向けて頑張っているので、一試合でも多く勝利しようと決意した。
新人戦当日、父兄たちの送迎で大会会場の中学校まで裕太を除き全員欠席者なく到着した。
文博達の学校は第三試合であったが、第一試合で1年生数名が得点係とラインズマンをやることになっていたので第一試合から会場に来ていた。
第一試合文博と大輔が得点係で試合をまじかで見ていた。その試合は前回の市優勝校で、県大会でも2位の実力を持つ学校だった。これから先、文博達が県大会に出場し全国まで出場するためには、超えていかなければいけない学校だった。
「代が変わってもやっぱり西中は強いな。」
大輔が文博に話しかける。
確かに一方的な試合展開で、相手校も全然歯が立たない状態だった。
「うん。西中もミニからやってるメンバーが多いから基本が早めにできてる分、応用が利くから強いよ。僕も何人か見覚えのある顔がいるし。」
文博が大輔に答えた。
やはりスポーツはなんでもそうだが、中学校から初めてその球技に触れる子よりも、小学生のうちから基本ができている子のほうが、その後の技の応用や戦術などが立てやすく、経験者のいない学校に比べると一歩先に出られとても有利だ。
勿論、文博は経験者だが、他の部員たちは裕太を除き皆中学から始めた経験の浅いプレイヤー達だったので、西中に勝てる学校だとはどこのチームも思ってはいなかった。
第一試合は、相手校に2セットトータルで6点しか取らせないという大差で西中学校は勝ち進んだ。
文博達の学校は幸いトーナメントでは西中学と別のリーグだったので決勝まで行かなければ当る事はなかった。
二試合目の女子の試合が終わりいよいよ第三試合、文博達の学校はさほど強くはないがそこそこの実力がある東中学校との対戦が始まった。
試合開始早々からキャプテン小宮のサービスエースが続き、その後もテンポ良く攻撃が決まり西中ほどの大差ではなかったが1セットも落とすことなく勝利した。
「取り合えず1勝!あと2勝して優勝するぞ!」
試合後、秋元先生の檄が飛ぶ。
その日は解散し、翌日第一試合に同じく1勝をした山中第一中学との対戦になった。
翌日1試合目、山中第一中学との対戦は1セット目をデュースまでもつれ込んだが相手に取られてしまった。
だがその後2セット目3セット目は、文博が今までの単調なゲーム運びから少し変化を加えてリズムよく得点を重ね、1セット目とは比べようのない大差で勝利した。
文博達の中学は来週の決勝戦へと進み、相手はやはり順調に勝ち進んできた西中学校と対戦することになった。
「よし!残り1つ!お前らなら西中だって絶対勝てる!がんばろう!」
今日も秋元先生から檄が飛ぶ
「みんなすごい!あともう一個勝って県大会行きましょう!」
昨日は女子バレー部の付き添いでこれなかった、副顧問の常見先生が今日は男子に付き添いし勝利を挙げた子供たちに檄を飛ばしたが
「もう一個?はないでしょ!もう一勝してでしょ!先生なんだから変な日本語使わないでください!それに準優勝が決定したので県には行けますから!」
笑いながら2年生の部員から訂正され、恥ずかし気に秋元先生の後ろに隠れてしまった。
気が張り詰めていた部員たちも、天然な常見先生の言動で気が和み笑顔で来週の決勝戦を見据えることが出来た。
決勝戦までの一週間は、西中学の試合を保護者の方がビデオに録画してきてくれたので、視聴し対策を考えることになった。
視聴した結果は、基本的に戦術があるとは思えず、セッターのトスアップの制度もあまり良いとは言えなかったが、小学生の頃からやっている長身のアタッカーが、前衛からでも後衛からでもどの位置からも確実に強打を打ち込み得点を重ねていた。それとやはり小学生の頃からやっているリベロの子ともう一人の経験者の子が大抵の攻撃は拾っていたので、戦術があるのではなく徹底的にエーススパイカーにボールを揚げ得点を挙げている印象のチームだった。
「この3番をいかに止めるかだな!」
秋元先生がつぶやく
「大輔と大和のブロックも有効ですが、やはりこの強いアタックを確実にレシーブできないと、リズムの狂った攻撃は確実に相手のリベロと6番に拾われますね。でもうまくレシーブが揚がれば、うちは多種の攻撃パターンがあるので、3人で回している西中には勝てると思います。」
文博が秋元先生に話す。
「そうだな!決勝戦までの一週間は徹底的に守備練習するぞ!でも試合前に体を壊したら元も子もないから短縮時間で早上がりにするからな。」
文博の意見に秋元先生も賛同し、練習メニューが決まった。
そして一週間、レシーブ練習ブロック練習を軸に練習が行われ、いよいよ決勝戦当日になった。
「いよいよ今日勝てば、市でナンバーワンになります。でもお前たちの目標はここで終わりじゃないはず、まだまだ先があるのでここは確実に取っていきましょう!」
準優勝の学校までが県大会に出場できるので、すでに県大会への出場権は獲得していたが、西中に勝たなければ県大会で優勝することは無論不可能なので、ここでは負けられなかった。
試合前の練習では、やはり西中3番の強烈アタックが体育館に快音を響かせていた。
「今日勝てますかね?」
今日も付き添いに来ていた常見先生が、秋元先生の近くに寄り尋ねる。
「どうでしょう。うちも大分強いほうですが、何しろ中学校から始めた子がメインですからね。宮地君を除き他の子達は、今までの練習試合では経験した事のない強打にどこまで対応できるかですね。でも、うちの子達はみんな、個のプレイの上達はもちろんですが、チームとしてのプレイの上達も考えながら練習してきたので、きっと勝てると思いますよ!バレーボールは団体競技ですから、一人のスーパースターがいても6人の団結力には歯が立たないはずです!...ってちょっと熱く語っちゃいましたね。あとは子供たちを信じましょうよ!」
ちょっと常見先生に熱く語ってしまったので、少し恥ずかしくなったが気を取り直し、試合前練習を終え秋元先生の元に集合した部員たちに
「今日はお前たちが主役だ!勝つぞ!」
と檄を飛ばしコートに送り出し。
「ハイッ!」
選手たちは気合の入った返事をし、コートに向かった。
常見先生は、そんな秋元先生を憧れのようなまなざしで応援席から見つめていた。
この物語とは関係ありませんが
この時期、高校生たちのインターハイが始まりました。
学生スポーツはみんな常に全力なので
プロスポーツを見るより面白いですね。
何かに一生懸命になる
とてもキラキラしててかっこいい!
皆がんばれ!




