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1.兄妹
今日の朝食は、トーストにあの人の好きなゆずジャムとベーコンレタスに半熟の目玉焼き。
「もうそろそろ起きてくるかな・・・」私、越名陽はあの人が降りてくる階段の音がして、すぐ朝食に着けるようにした。
「おはよう。 いつも食事をありがとう。」とのんびり云うあの人。「じゃあ食べよ!もうそろそろ出ないと、今日大雨だから遅刻しちゃうかもよアズ兄」若き期待の大学教授であり、イケメン眼鏡男子ともっぱらの噂がある越名亜純は私のお兄ちゃんである。
「今日も美味しそうだな。さすが、陽!」亜純は、妹の頭を撫でる。「もういいから、食べよう!時間がないんだよ!もう!」「ごめん、ごめん。そうだね、頂きます。」2人は毎朝恒例のやり取りをして、朝食を食べる……。
とても仲がいい、越名兄妹。
だが、ある小さな出来事から全てが元に戻れなくなる事を、まだ彼女たちは知らないのだ……