逝くならまずは
◆本選前 レクリエーションルーム
「ハイハーイ♡
合格者のみなさん、予選お疲れ様でした♡
こちらはレクリエーションルームになります♡
しばらく休憩ののち、本選に移りまーす!♡
の、ま・え・に、
何か言いたい人ー?♡」
みな、言いたいことはあるが、
先程のショックから抜け出せていない。
それはたぁぽむも同じで、どうしたらいいか、
判断が上手く出来ない。
と、一人のみすぼらしい格好の男が怒鳴った。
「ふざけんじゃねぇぞ!!このクソアマが!!
なーにが予選だ!?こんなん、ただの殺人だろうが!!」
そういうと、ぷまこに近寄る。
「大体なんだ!
主催の癖してふざけた態度にその言動!
ブスのくせに貼ってんじゃねぇよ!!」
掴みかかろうとした彼の手あっさりと振り払うと、
「募集にはちゃーんと自己責任って書いてありましたよねー♡
そ・れ・に♡
異世界に転生ですよ?て・ん・せ・い♡」
そこで言葉を切ると、
今までのふざけた雰囲気が一変、
冷たく言い放つ。
「気軽に身軽に、逝くならまず死ななきゃね?」
その言葉に全員が凍りつく。
「アレー?♡みなさん、気づいてなかったんですか?♡
さっきの予選で、
合格者のみなさんは死んだんですよ?♡」
「は?」
ぷまこの言葉に、思わず声が漏れた。
「イヤイヤ、おかしいでしょ!
だってさっきの、オレのいたスペース以外、
剣山が囲んでたし!
それに、目の前に死んでる奴いたし!
それに、手!オレさっきちょっと触れちゃって、
切れちゃったし!痛いし!
こんなんで死んでるわけないだろ!」
たぁぽむの言葉に周囲の人間も同調する。
「わ、私もそうです!スペースがありました」
「僕もだ」
中には、集合時にあったワンピースの女とスーツの男もいた。
二人も合格したらしく、ウンウンとしきりにうなづいている。
しかし、ぷまこは変わらず
「みなさんは、その死体の顔を見ましたか?♡
ふふーん、見てないですよね?♡
コレはシステム上の問題なので♡
誤解させちゃったようなので説明しますと♡
あの剣山に運良く刺さって死んだ人間の魂のみ、
別空間に移したんですよ♡
と言っても、自覚してもらえないと思うので♡
ハイ♡みなさんの死体でーす♡」
パチリとぷまこが指を鳴らすと、
白タイツに黒いお面を被った者達が何かを運んで来た。
それを、合格者達の前に置く。
そこには、乱暴に椅子に乗せられた、
ー血だらけの自分がいた。
「あ、あ、あああああ!!」
みな一様に悲鳴を上げる。
中には呆然とする者、泣き崩れる者もいた。
たぁぽむも目の前の自分を見つめる。
脳天から血を流す自分の姿。
頭がぐらつき、猛烈な吐き気が襲う。
「う、うぐっ」
〔おやおやー?♡みなさん、
随分と浮かない顔ですね?♡
せっかく異世界に転生できるんですから、
もっと喜びましょうよー♡〕
いつのまに姿を消したのだろう。
部屋に設置されたスピーカーから彼女の声が聞こえる。
〔ではではー♡
このままだと長くなっちゃいそうなので♡
本選の説明を始めたいと思いまーす♡〕