俺は...
今日は朝からヅイさんのレストランに行く、昨日忙しかったから今日も大変なんだろうなと思いやって来たんだ、でも本当の理由は賄いで出してくれたご飯がとっても美味しかったからなんだよね、それになんだかあの夫婦に親近感を覚えるんだ、だってテンシンのギルマスのデイさんとそっくりな雰囲気だからね、
「おはようございます、今日も私らを使ってください、報酬は3食食べさせて頂ければ何もいりません、」そう言って押しかけ従業員をやっているんだ。
っで俺は相変わらず洗い場だぜ、ファミレスでバイトした時も洗い場だったから何だか気が楽なんだよね、っで乙女のおっさんはフロアで清掃から始めてるよ、俺も手が空いたから手伝う、乙女のおっさん更にテーブルに花まで飾り始めた、気合い入ってるようだな。
「マスター、ナナさん開店準備出来ました、確認して下さい、」と俺は言う
「おお!凄いな、花まで飾ってくれたのか、しかもこれは香りの殆ど判らない花じゃないか、料理に香の干渉しない心配り、いや~凄いですね」
「お褒め頂、有難う御座います、」とにっこり微笑む、おっさんじゃなければ惚れちゃうよ、この笑顔。
「さあ、準備が出来たようなので、開店しましょうか、」ナナさんが言う、店のドアの札をCLOSEDからOPENに裏返して開店だ。
時間は朝10時この時間帯はお客さんがあまり来ない、どちらかと言えばコーヒー、紅茶等を注文される方が多い、
そしてお昼、まさにここは戦場さながら注文の雨が降り注ぐ、乙女のおっさんはそれを確実にこなす、そして俺は皿洗い、カッパファンネル食洗器バージョン大活躍、そんなこんなで一日が終わり美味しい賄いに舌鼓、ナナさんから告げられる、明日は定休日だから観光でも行って来たらどうかと、
俺達は観光の案に乗った、名所、旧跡はあまり興味が無い、って事でスラム街の方が面白そうだから行ってみる事にした、第一印象が良かったからなんだよ、スラムキングが親切だったからね、悪い印象は無いんだよ、って事で俺達はあの枯れ井戸のある所へ来た。
俺達は井戸の底から抜け道を使いスラム街の出口の小屋に着く、小屋の番をしている人が昨日の人とは違う人になっていた、どうやら見張りは交代でやってるらしい、軽く挨拶をして小屋を出る、
「おう、あんたらが昨日街に行った爺さんと孫だな?引継ぎはしてるから次に移動するときは俺の名を言って通してもらってくれよ、俺の名はアモンだ、」
男はそう言って笑って見送ってくれていた、
「ありがとう、アモンさん」 そう言って俺たちはスラム街へ入る、
とてもスラム街とは思えない位活気の有る街にいる、俺達は賑やかな街並みを見て、
「なあ、乙女のおっさん、なんだかこっちの方が活気がある様に見えるんだが」
「私も同感ですよ」
「じゃあその原因とやらを探索してみますかのぅ」
俺達は雑踏の中に紛れ込む、このスラム街って、下手すると城郭都市の中より品ぞろえが良いかもしれないんだよ、だけど良い面が有れば悪い面もある、スラム街のはずれの方に行けば行くほど危険が増して来るって事なんだ,乙女のおっさんも深緑色のローブのフードを被って歩き出す、
俺達はスラム街の奥地の探検に出かけた、大抵のことじゃやられないと言う妙な自信があったからだね、
「どうやら地下があるようじゃのう、」
「そうですね~、行ってみますか?」
「ちょっとおりてみますかのぅ」
俺は魔法で爪の先に火を灯し先行する、その後を乙女のおっさんがついてくる、奥の方に人の気配がする、あまり元気そうじゃない感じの雰囲気が伝わってくる、
「大丈夫ですかのぅ?」 俺はそこに寝ていた人に声をかける、
「・・・・」
「安心してください私達悪い人じゃありませんから」乙女のおっさんが言う、
悪人が自分の事を悪人だとは言わない位怪しいと思うよね、こんな所に来るなんて、
「わしらは旅の老人とその孫なんじゃが、間違えて此処に来てしまった様なんじゃよ、」と言ってみた、
炎のあかりで照らすと其処に居たのは牛獣人の妊婦さんだった、
「儂はカワタ、そしてこっちは孫のエリーと言いますじゃ」
怯えた声で「私はミルと申します、ここに暮らす者です、」と言っていた
「ミルさんや、失礼じゃがあまり顔色が良く無い様じゃが大丈夫かいのう」
「見た所妊婦さんの様ですがちゃんと栄養は取れているんですか?」乙女のおっさんが聞く、
ミルさんはただ首を横に振るだけだった、
「エリーさんや儂らもここらで飯にしようかのう」
「そうですね、この場をお借りしてそうしましょう、この場所を使わせて頂くにあたってお食事ご一緒していただけますか?」笑顔でミルさんに問う、
「え...いいんですか?...」
「この場を使わせて頂くんじゃからそれは当然ですじゃ」
「さて何を作りましょうかのう」そう言って鍋に水を出し分子振動で加熱する、そしてアイテムボックスから次々と食材を出す、栄養が有りそうな物をどんどんぶち込む、基本穀物の雑炊っぽくなっているが鳥肉と野菜がメインを務めている、急激に重い物は良くないだろうと思いとりあえず鳥雑炊だ、
干ししいたけも入っているし出汁の素も入れた、それを塩で味を調える、うん。優しい感じで出来てるよ、それを椀によそってミルさんに渡す、
「さあ儂らも頂くとしますかのぅ」
「はい、」「「いただきます」」
そう言って食べ始める、落ち着いて来たのかどんどん鍋が減っていく、余程空腹だったんだろうなと、それに赤ちゃんが生まれるから余計に栄養が必要なんだろうなと思った、
「ミルさんはなぜここにすんでいるんですかいのぅ?」俺は食後に話しかけてみた、
「私達は王都の街に捨てられたんです、父が宰相に逆らって税を減らしてもらえる様談判しに行ったところ問答無用で極刑にされ一家は全員都から追放されたんです、そして母は心労で...」
「それで赤ちゃんの父親は?」と俺が聞いたとたんに悔しそうに泣き崩れた、やべえ俺地雷踏んだみたいだ、
「これはすまん事をきいてしまったのぅ、いや儂が悪かった、」
俺は改めてスラムの過酷さを知った、気楽にここにやって来た自分を殴りたいくらいだった、
俺はミルさんにありったけの保存食を渡した、
「これで栄養付けてしっかり生きていきなさいよ、」
俺はこんな事しかできない自分を恥じた、幾ら個が強くなっても何もできない事に、自分がどれ程のぼせあがっていたかって事に、 そしてまた俺にこんな正義感って物があったのかと...
【ピンポンパ~ン業務連絡です】
あ、これは又白い部屋の人からの連絡だ、
続く




