渓谷へ
俺たちはミンメイさんに挨拶をしてから渓谷へ向かった、
渓谷へ向かうのは簡単だがとにかく道が険しくなっているんだ、普通の旅人はあまり入って来ない所だしね、この渓谷を抜けても更にもう3つほど山を越えないと街道には出られない、
麓を回っていった方が早いし安全なのでこっちの道は殆ど使われていないんだよね、
そんな所に俺の生まれた渓谷が有るんだ、テンシンから更に北へ向かうとダンジョンが有る、スタンピードを引き起こしたダンジョンだ、
更にそこから北へ行くもう獣道くらいの道しかなくなるんだよねこの辺って、
俺は歩く、藪をかき分け少しづつ、仔カッパにエサをやりながらね、
「ガサガサ」と藪をかき分ける音が聞こえる、ゴブリンだ、取り敢えずパコと一回鳴らしてから俺は念話で問いかける、
「僕はこの先の渓谷のカッパなんだけど貴方は何処から来たの?」
「ん?キミはこの間の?」
「あ~メイジさんじゃないですか、どうしたんですかこんな所で」
「この間人間たちがやって来ていきなり攻撃されたんだよ、それで皆散りじりになってしまったんだ」
「キングは?、大丈夫なの?」
「キングは...この近くの洞窟に、」
「行こう、キングに会いたいんだ、」
川の近くの洞窟に行くと満身創痍で槍が2本腹を貫通して左腕がもげかかって、このまま放っておいたら確実に死んでしまう状態に有った、
俺は背負子を降ろし薬を取り出す、キングに薬を塗り止血をする、とにかくキングには死んでほしくないと、手当てをしていたんだ
そんな時急に父カッパが発光して現れる、
念話で「キングを死なせたくないんだな?本当に願う心は全てを癒せる」
そう言うとキングの腕を元の位置に置くように言われ、腕を繋ぎたいと傷を塞ぎたいと一心に願うように指示されたんだ、キングのもげかかっていた腕を元の形に戻るように抑えていると、
頭の中に映像が浮かんでくる、それは凄まじい速度で細胞が増殖していき、傷口を癒着させていく、更に神経節が伸びて繋がり骨も接合され健も修復されていく、
それと同時に俺の魔力が一気に無くなる感覚に陥る、このまま俺意識が飛んでしまうかと思われたとき、父カッパが俺の手の上に自分の手を乗せた、
回復速度が急激に増し腕は繋がった、その他体中の刺し傷切り傷は治っていく、と同時に父カッパの発光が薄くなっていく、
「もう安心だ、俺はこのキングに後を任せる、この地でのんびり暮らしていくんだぞ、父らしいことは何もしてやれなかったが、母を頼んだぞ」そう言ったと思ったら発光体は既に消えていた、
キングが目を覚ました、
「俺はお前とカッパ父に助けられたのか、夢の中で全部聞いた」
「キング!治ったんだね」
「ああ、そのようだ、」
「キングよくぞ生き残られた、」
「メイジ、坊主、聞いてくれ、俺はカッパ父に一つ頼まれごとをされたのだ、それを実行していこうと思う」
「それはどの様な?」メイジが問う
「それはこの地を守り平和に暮らすと言う事だ」
「判りました、私は常にキングと共に」
「じゃあ母の所にキングも行こう」
「うむ行こうか、しかし気になる事が一つだけあるのだが」
「え?なんだろ?」
「その仔カッパはお前の兄弟か?」
「ああこの仔たちは旅の途中で拾った子分だ」
「そうか」
俺たちは更に上流へと上っていく、途中に寂れた無人の小さな古城が有った、
それを過ぎて更に上流へ、ここから渓谷が更に厳しくなっていく、
そして俺の住んでいた洞窟が見える、俺は川に向かってパコを大きく一回鳴らす、
するとすぐに返答のパコが返ってくる、
洞窟の奥から見慣れたカッパが出てきた、念話で伝える、
「今帰って来た」
何も言わず涙を流しながら母カッパが迎えてくれた。
母カッパに今までの経緯と父がさっきまでいた事、子分の事、キングとメイジの事全てを伝え終わった俺の事を何も言わずただ抱きしめている母カッパ、その周りをはしゃぎながらくるくる回る仔カッパ達、
俺は思った、この場所を奪われない安住の地にしなければと、
そこで思ったんだ、あの城を買い取ってこの辺り一帯を私有地にすれば何の問題も無くなるんじゃないかと、
って事でここから一番近い街テンシンの役場へいって所有者を探してここを買い取る事を考える。
「じゃあ皆これから街に行って交渉してくるよ」
「おいおいちょっと待て、カッパが一人で行ったら食材になってしまうだろう、」
「いや、実は俺人間の言葉練習して喋れるようになってるし、街に自由に入れるんだ」
「ええ?そんな事ができるのか?」
「出来るよ、帰ってきたら声の出し方とか教えるよ、だから安心して待っててね」
「おう、そういう事なら俺もついていくぞ、」
俺はしばし考える、
「じゃあさ、街に入れるようにこれ付けて、」
俺は隷属の首輪を出して首に巻く、当然締め付ける機能は外してある、
「キング、これをつけてれば人間に襲われないんだ、その代わり絶対にこっちから手を出しちゃだめだよ」
「お前は何でも知ってるんだな」
「そんなことないよ知ってることだけしか知らないんだよ、
俺たちは山道を駆け抜ける、と言っても俺はキングの肩に座っているだけなんだけどね、
俺たちは半日で街についた、渓谷までいくのに3日ほどかけたんだけど、何故だ、
街に入ろうとすると、いきなり警戒されたが、キングの首を見て安堵したようだった、
「やあこんにちは、この街の役場はどちらですかいのぅ?」
俺は相変わらずの爺さん口調で問いかける。
「やあ爺さんスゲエ獣魔を使役してるんだな、」
「ふぉふぉふぉ、ついこの間仲良くなったんじゃよ」
そう答えて役場の場所に向かう、やがて役場が見えてきた、冒険者ギルドの3間隣だった、
「ごめんよ、」そう言いながら俺たちは建物の中に入る、
いかにも役所と言う感じの建物と内装だ、入り口近くの受付に尋ねる、
「テンシンの街の北ダンジョンの先にある古い小さな城があるんじゃが、何方の所有物件かのぅ?」
「少々お待ちください」そう言って資料室に入って行った。
暫くすると資料室から出てきた係員は
「ああ~そこはモロー氏の所有だった幽霊城ですね」
「え?幽霊城」
「何でも誰もいないのに声が聞こえたり光る人が浮いてたりとかそんな噂がある所ですね、」
それって俺たちなら問題ないかも、見えるし話も念話で出来るから同居人がいると思えば何と言う事は無いね
「それで城と土地はどの位の広さですかいのぅ?」
「え~とダンジョンの入口近辺から奥の渓谷までがモロー氏の所有となっておりましたから、この地域一帯ですね」
そう言って地図を広げられた、かなり広大な土地ではあるが殆どが山と渓谷で平地が殆ど無いと言った所だ、
「ちなみに価格は如何程ですかいのぅ」
「金貨50枚となっております」
「ほう50枚ですか、ではそれをお願いしますかのぅ」
「え?本当にあそこにするんですか?」
「うむ、ここでもギルドカードで引き出し出来るのかいのぅ?」
「はい出来ますけど...本当に?」
「ほい、ギルドカード、所有者も儂でそのカードで登録も出来るのかいのぅ?」
「はい、このカードの登録情報で土地の所有も全部できます、」
「じゃあそれでお願いしますかのぅ」
俺は役所を出てその他必要そうな物を買いに街に出る、
沢山買い込んだ、大工道具と酒、乾物、甘味 調味料それを積み込む荷車、荷車はキングが引っ張るから馬は必要ないしキングも酒を樽で仕入れたから上機嫌だ、
「さあキング俺たちの城に行こう」
「おう酒を飲もう♪」
俺たちは城に向かうその途中で子分と母に念話を飛ばすキングもメイジに念話を飛ばし全員城に集合する、
続く




