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海野正の第二の青春  作者: 天王洲アイル
プロローグ 3月某日
3/4

帰路2

「っしゃせー」


店員のやる気のなさそうな歓迎を受けながらコンビニに入った僕はお酒コーナーへと向かう。僕と耕一はお酒が弱いため二人で飲んだ日には二人ともリビングで眠ってしまって翌日弘子に怒られてしまう。

健一君はそれに比べてかなりお酒が強くいつも三人で飲むと僕たち下戸親子に気を配ってくれる。


今日は贅沢にワインでも買っちゃおうかな・・・

うーん、日本酒も買っちゃおう!


いくつかのお酒をかごに入れて先ほどの店員のいるレジへ向かう。


「っしゃせー、ポイントカードはお持ちですか?」


「持ってないです」


「4560円になりまーす」


うっ、ちょっと買いすぎたかな


そんなことを考えながら財布から5000円札を出す。幸い今月は先月からの節約していた分を含めてまだ諭吉が2人も財布で眠っている


「5000円からお預かりしまーす。440円のお返しになりまーす。」


商品とおつりを受け取った僕は店の出口に向かう。


「あっ、お客様ちょっと待ってください」


さっきの店員が僕を呼び止める


「今キャンペーン中で1000円につき一回『かるおと!』グッズくじが引けるんですよ。引いてってください」


茶髪の男の店員はそう言って僕にくじの入った箱を差し出した


「『かるおと!』ってなんだい?」


僕が店員さんに問いかけると


「あー、アニメッス。今店内で流れている音楽がオープニングらしいっす」


言われてみるとずいぶんとかわいらしい女の子が歌う音楽が店内に流れていることに気がつく


「そうなのかい。じゃあアニメとかは分からないけどせっかくだから引いてみるよ」


そう言って僕はかわいらしい女の子が5人プリントされた箱へ手を伸ばす

そして4枚のくじを取り出した


「1枚目・・・2枚目・・・、外れですね」


残りのくじは二枚だ


「3枚目・・・お!B賞の結衣ちゃんフィギュアですよ!」


「4枚目は・・・すげー!特賞のイベント参加券っすよ!おじさんマジ引きツエーッすよ」


店員さんが興奮しながら当たりの商品を準備している


「これはそんなにすごいのかい?」


いまひとつすごさが分からない僕は店員さんに聞いてみると


「そりゃあもうパないっすよ。B賞もうちじゃ一つしかないですし、特賞は各県のコンビニに2、3軒しか配られないやつですからね、まじバカヅキすっよ」


「はい、B賞の結衣ちゃんフィギュアッす。これもネットだと8000円から10000円くらいで取引されるレアモンですよ」


「へぇ、そんな人形がそんな価値のあるものなんだねぇ」


僕は結衣ちゃんフィギュアを店員さんから受け取った


「特賞の参加券は後日郵送されますので、ここに住所と郵便番号をお願いします」


興奮気味の店員さんに圧倒されながら僕は記入を済ませた


「ほんとにおめでとうございます。マジあやかりてぇ~」


「ありがとう。お仕事頑張ってね」


興奮冷めやらぬ店員さんに見送られながら約5000円のお酒たちとその倍の価値のある結衣ちゃんフィギュアを持って店を出た


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