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海野正の第二の青春  作者: 天王洲アイル
プロローグ 3月某日
2/4

帰路

40年間通い続けた通勤路も今日で最後となると感慨深いものだなあ


僕は警備員さんに軽い会釈を済ませると夕凪の道を歩き出した

40年間を振り返りながら一歩一歩妻の弘子が待つ我が家へ歩みを進める


そうだ、今日は裕子と健一君夫婦も僕の退職を祝ってくれるんだったな

もしかしたら凪穂と愛海も来てくれるかもしれないな


弘子とは大学時代に出会った。当時僕と弘子は同じゼミであった事から意気投合し、大学卒業と同時に結婚した。その2年後には長女の裕子が生まれた。さらにその2年後に長男の耕一が生まれ、裕子が結婚して家を出るまでは4人で今の我が家で暮らした。


裕子は弘子に似て快活な女の子に育った。中学、高校とテニスを続けて、県で入賞するなど優秀な成績を収めながら、学業では生徒会長に就任するなど文武ともに自慢の娘である。その後職場の先輩である健一君と結婚して2人の子供に恵まれている。それが僕の孫娘となる凪穂と愛海である。現在4人は僕の住む町から5駅程度はなれた場所に一軒家を建てて暮らしている。裕子と健一君はしばしばウチに来て食事を共にすることもある。昔は凪穂と愛海も来て食事をしたものだけど、長女の凪穂が中学生になった頃から2人とも盆と正月に来るぐらいになってしまった。


裕子は非常に快活な少女だったのに対して弟の耕一はどちらかと言うとおとなしい男だ。今年で39になるが未だに結婚もしていないのは耕一がおとなしくて奥手なことも関係あるのかもしれない。勤勉で真面目なんだが自分の意見を言ったりするのが苦手らしい。今は在宅で仕事をしているが詳しい仕事内容は頑なに教えてくれない。収入はあることからも仕事はしているようだが、わが息子ながらなかなか気難しいところのある男なのだ。


今日はもしかすると海野一族(?)が全員集合するパーティーになるかもしれないな

そう考えると我が家へ向かう足取りも心なしか速くなる


弘子や耕一は毎日顔を合わせているが、せっかく娘夫婦と孫娘が来てくれるんだから僕も何か買って帰ろうかな


そう考えて僕は近くにあったコンビニに立ち寄る。明日は健一君も仕事は休みらしいから耕一と男三人で酒でも酌み交わそうと思ったからだ。





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