表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海野正の第二の青春  作者: 天王洲アイル
プロローグ 3月某日
1/4

会社にて


処女作となります。別のサイトで投稿してましたが今回からこちらのほうで投稿させていただきます。ヲタ道を進むジジイに笑っていただけると幸いです。

 2017年3月某日、私は晴れて約40年間勤め上げた会社を退職することとなった。


「それじゃ、最後に海野課長から一言いただきたいと思います。」


 そう言って音頭を取ったのは私の後を継いで新たに課長となる上野だ。上野は入社してからずっと私の部下として精力的に働き続けた情に厚い男だ。


「えー、本来なら還暦で退職の所を僕のわがままで5年も会社に残していただき、本当に太田社長には感謝しています」


 私はそう言って太田社長に軽く会釈する。太田社長は目に涙をためてグッとこらえている。私のために泣いてくれるなんてなんていい社長なんだろう。20年前にバブルがはじけて倒産の危機に陥ったこの会社の建て直し役としてやってきたのが太田社長だった。それから私と太田社長は会社の建て直しのため東奔西走した仲だ。今でも月に一度程度飲みに行く間柄でもある。


「そして今日まで僕の部下としてついてきてくれたみんな、明日からは上野が課長となるが、みんなも知っての通り、上野は熱い男だがつい周りが見えなくなってしまう男だ。だからみんなで上野を支えてやってくれ。上野は僕と違って冗談も通じる色男だから、フレンドリーに話しかけてやってくれ」


 私を取り囲む周囲から小さな笑いが起こる。上野は照れたようなもどかしそうな表情をしている。


「これからは隠居のジジイとしてこの会社を見守りながら中学生と高校生の孫娘のお守りをさせてもらいます。本当にお世話になりました!」


 私がそう結ぶと大きな拍手が起こった。太田社長が花束を持ってやってきた。


「海野課長、これからは同じ年頃の孫を持つジジイとしてまた飲みにいきましょう!」


「いつでもお相手させてもらいますよ社長」


 私は涙をこらえ切れなかった太田社長と固い握手をして、40年以上勤め上げた会社を退職した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ