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心霊研究サークルが行く!  作者: ぼっち
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1章 探索 【検体検査室①】

今回は何というか、まぁ最後の方ふざけ過ぎた感が否めませんが…先に謝っておきたいと思います。ごめんなさい。今回前回のあとがきで言った通り、若干エロい感じの所がありますが、大丈夫!直接的にはま・だ・出ておりません!

 そして、目的地である検体検査室の目の前に来た俺たちだったが、

「さてさて、じゃあ誰か一人だけが入ることにしようか」

 という 由那(ゆな)先輩の提案により、入り口前で戦いが繰り広げられていた。・・・まぁただのじゃんけんな訳だが。

「うわぁ、負けたー」

「うぅぅ」

 4人で一斉にじゃんけんをした結果、俺と 卯瑠璃(うるり)先輩の負けが決まった。

「ふふふのふ。さ〜て、どっちが一人で入ることになるかなぁ?」

 勝者うぜぇ。何て悪運の強い先輩なんだ。

「よーし、じゃあ今度は勝ったほうがアウト!一人で突入ね!」

「ぜ、絶対負けます!」

 震えながら拳を握る卯瑠璃先輩。かわいい。

 さて、まぁ俺も男だ。さすがに女性を1人で中に入れるってのは気が引けるわけで、どうにか勝たなきゃいけない。ということで、

「じゃあ俺はパーを出します!」

「おぉ!心理戦に持ち込む気かい!?」

 ふっ、馬鹿め!これは心理戦などではないわ!何を隠そう卯瑠璃先輩は圧倒的純粋天使!こう言ってって宣言すれば俺がパーを出すと信じ必ずグーを出すはず!悪しき心を持つ邪鬼由那先輩には分かるまい!

「え?え?じゃあ私はぐ、グーを出しますよ?」

 そうです。それで良いんです。という意味を込めてウィンクをする俺。・・・怯えられた。

「いよーし!じゃあ掛け声いくよ〜」

「最初はグー!じゃんけん!ほい!」

 握りしめていた拳から解き放たれる五本の指!完全なるパーがそこにあった。

そして逆側には俺のパーと相対するように2本の指が存在していた。

 なっ!?チョキ、だと!?

「あぅ、勝っちゃいましたぁ」

 残念そうな顔をする先輩。な、なぜだ!?俺の理論は完璧だったはずだ!?

「こ、怖いですけど、勝ったからには勇気を出して行ってきますね!」

あぁ先輩が!先輩が行ってしまう!!

「し、失礼します」

 丁寧に挨拶しながら1人部屋へと入っていく先輩。計画外だ。

「少年よ。君は今何故?何故?と思っているのだろう?」

 肩にポンと手を置きながら話しかけてくる由那先輩。

「君は大きな勘違いをしていたんだよ。彼女はね、卯瑠璃はね。とっても純粋で良い子なんだよ」

 それぐらい知ってる!知ってるからこその作戦だったんだ!

「ちっちっち」

 ちっちっちと実際に発音する由那先輩。普通に舌で出されるより腹立つな。

「彼女が君の気持ちを()み取ることができないとでも?」

 なっ!?まさか!?

「そう。そのまさかさ。君がわざと負けてくれるようとしているとわかった彼女は、先輩である自分が後輩に守られていてはいけない。自分が後輩のために頑張らなければ。そう思ったんだよ」

 なんてことだ!そこまで卯瑠璃先輩は・・・。ぐぅ。良い人にもほどがある!

「まぁうるりんが良い映像を撮ってくることを願おう」

 悔しいが、俺の負けだ。やはり俺はまだまだ卯瑠璃先輩を理解し切れていないようだ。

「とかやってる間に2分くらい経ったけど、全然反応ないね」

「そんなに大きな部屋なんですかね?」

「う〜む。そこまででっかくはないと思うんだけどね」

「どうします?入ります?」

「そうだね。あのうるりんが悲鳴の一つも上げないのはおかしいし、そろそろ私たちも入ろうか」

 そう言って扉に手をかける先輩。そして、ゆっくりと扉を開いていく。

「うるりーん。だいじょーぶ?」

 室内に呼びかけるもなぜか反応はなく、沈黙だけが返ってくる。

「・・・誰もいませんね」

「ちょっとー。もしかして驚かそうとしてる〜?うるりんがやっても怖くないよ〜。可愛いことになっちゃうだけだよ〜」

 俺たちを驚かそうとする卯瑠璃先輩・・・いいな。

「待って」

「ん?どうしたレイ」

 突然俺の服を掴み、立ち止まるレイ。

「どしたの急に?なんかあった?」

 俺たちが止まったのに気づいた先輩が駆け寄ってくる。

「そこ。嫌な感じがする」

 そう言ってレイが指をさした場所は、部屋の奥。扉を(へだ)てた暗闇の中だった。

「ここになんかあるのか?」

「わからない。でも、何か感じる」

 嫌な感じってことは悪霊か何かでもいるのか?

「って!なら卯瑠璃先輩が居ないのは、そいつに何かされてるんじゃ!?」

 まずい!そう感じた俺は即座に扉を開け、奥の部屋へと入る。

「卯瑠璃先輩っ!」

 果たしてそこには卯瑠璃先輩が居た。

「大丈夫ですか!?卯瑠璃先輩!」

 直立したまま動かない先輩。肩を揺らしてみても、どこか上の空で焦点が合っていない。

「先輩!?卯瑠璃先輩!?」

 何度も呼びかけるが何の反応もない。

「レ、レイちゃん!うるりんどうなっちゃってるの!?」

 由奈先輩もさっきまでのおちゃらけた雰囲気は無くなり、声色に焦りが混じる。

「卯瑠璃先輩。取り憑かれてる」

「取り憑かれてるって霊にか!?」

「うん。しかもあまり良くない霊かも。よく分からないけど」

「そ、それって大丈夫なの!?死んだりしないよね!?」

 大声でレイを問い詰める由奈先輩。

「死ぬことはない。ただ良くないことがあるかもしれない」

「良くないこと?」

 良くないこと、だと?どういうことだ?

 とその時、卯瑠璃先輩が突然倒れた。

「卯瑠璃先輩!」

 肩を掴んでいたこともあり、どうにか床に体をぶつける前に支えられた。しかし、いきなり倒れたけど大丈夫なのか?

「う・・・ぅん。んっ」

「うるりん!」

 ゆっくりと(まぶた)を開く先輩。

「ここ、は?」

「検体検査室ですよ!反応がなかったんで入ってみたら、先輩がおかしくなってて」

「私が、おかしく?」

 うぅん、と頭を振りながら立ち上がる先輩。どうやら普段通りの先輩に見えるが。

「あっ!そ、そうでした!部屋を全部回ってすぐ出ようと思って、奥の部屋に入った時、女性の霊みたいなのがそこにいて!」

 慌てた様子で意識を失うまでの経緯を語る先輩。

「それで、その霊がこっちに気がついたと思ったら、すごい勢いで近寄ってきて、それからは記憶がないんです」

 なるほど。で、現状に至った訳か。卯瑠璃先輩が見たという霊はここにはもういないようだ。でも、レイのいうことが正しいなら。

「レイ。卯瑠璃先輩別に取り憑かれてる感じとかないけど、本当に霊が憑いてるのか?」

 小声でレイに尋ねる。

「うん。確かに憑いてる。でも、今は深い所で(しず)まってる感じ」

「でもそれってまずくないか?今は鎮ってるってことは、突然その霊が出てくるってこともあるわけだろ。やっぱり除霊とかした方がいいんじゃないか?」

「それはそう。でも私は除霊とかできない」

「えっ!!まじか!?」

 俺の驚いた声に、さっきまで由奈先輩と話していた卯瑠璃先輩がこちらを向く。

「ど、どうかしましたか?」

 不安そうにこちらを見つめる先輩。うぅん。霊に取り憑かれてますよと言うべきなのか、それとも言わざるべきか。変に不安を(あお)るより、現状問題ないわけだから言わない方がいいのかね。と言うか下手に伝えると、卯瑠璃先輩かなり動揺して可哀想なことになりそうだしな。

「あー!そう言えばうるりん。なんか取り憑かれてるらしいよ」

 おぉい!!人がそっとしとくという選択肢を選んだ直後に、何盛大にバラしてるの!?

「取り憑かれ、てる?わ、たし、が?」

 動きが止まり、語調が変な感じになる先輩。あぁ、これはまずいな。

「うん。でもでも大丈夫でしょ!レイがいるんだし除霊して貰えば」

 ・・・ふむ。卯瑠璃先輩が急転、ホッとした顔をしているけども。

「レ、レイちゃん。もし取り憑かれてるなら、除霊お願いします」

「私。除霊とか、できない」

 笑顔のまま凍りつく先輩。隣で楽しそうにしてた由奈先輩も表情筋が固まってる。まぁそうなりますよね。

「えっと。じゃあもしかして、私は取り憑かれた、まま?」

 未だ笑顔を崩さず問いかける先輩。

「そう、なる」

 その一言を聞くや否や、卯瑠璃先輩の顔から血の気が引き始める。あっ、まずい。

「だ、大丈夫だようるりん!別に取り憑かれてる感じとか今んとこないしさ!ね?大丈夫なんだよね?レイ」

「うん。現状は問題ないし、死ぬとか、そういうことはない。だから、安心、して」

 上目遣いで卯瑠璃先輩に説明するレイ。すると、卯瑠璃先輩も少しは落ち着いたようで、顔の強張りが緩んだみたいだ。

「あっ!そう言えば意識を失う前、何か聞こえたんです」

 そう言って考え込む先輩。数秒間の沈黙が続き

「け、させろ?ううん。けんさ、させろ?そうです!けんささせろって聞こえた気がします!」

 けんささせろ?消させろ、じゃなくて検査させろってことか?

「じゃあおがちゃんが言ってた、消させろって聞こえったていう話は、検査させろの聞き間違いってことかな?」

 突然出てきたおがちゃんってのは、話を聞いた友人の名前ですかね?

「ん〜。でも検査させろってのもどういうことなのかな?」

 正直消させろにも違和感はあったけど、検査させろって、もっと謎が深まった感じあるな。

「レイ。なんか分からないか?」

 幽霊の除霊はできないらしいが、幽霊の意識とかそういったものは感じられるらしいレイなら、何か分かるかもと思ったんだが、

「今は卯瑠璃先輩の奥にいるから。よく分からない」

 ダメみたいだな。でも、ならどうすればいいのか?このまま続けるのも危なそうだし、早く撤退して除霊してもらった方がいいんじゃないか?

「うるりん。今日はもう切り上げて、除霊とかできるところ行かない?別に今日全部回る必要はない訳だし」

 由奈先輩も同じ考えみたいだな。これは、今日はお開きって感じかな。

「それが、いい」

 レイも後を押すように続けて言う。

「すみません。私のせいで」

「いやいや!こればっかりは卯瑠璃先輩のせいじゃないですって。まず1人で行かせたのがまずかったです」

 と言ってしまってから、しまったと思った。言い出しっぺは由奈先輩。あぁ、へこんでる。

「ま、まぁ。普通、男の俺が行くべきでしたし、俺も悪かったですよ!」

 全くフォローにはなってないが、自分にも非があるということは確かだろう。なんでじゃんけん負けたかなぁ。

「とりあえず!出ましょうよ!ね?」

 そう言って部屋から出ようとした瞬間。何かが俺にぶつかる感覚がした。そして続けて、中に沁み込んでいくように、どこか冷たい感覚が全身を満たしていく。

 あ、れ?そう感じた瞬間、意識はあるが突然体が動かなくなった。自分では動こうと思ってるのに全く体がついてこない。もしかして、金縛りってやつか?でも何でこんな時に

「うぉぃ。つなぐん。いきなり立ち止まってどしたの?」

 由那先輩が俺の背中をつつく。声を出そうとするも、喉に何かがつっかえているかのように一言もしゃべることができない。と言うよりも、声を出そうと力を込めている感覚さえない。

「由奈先輩。l維倶つなぐも霊に取り憑かれたみたい」

 レイの冷静な声が聞こえる。やっぱり取り憑かれてるのか。何とも不思議な感覚だが、自分の体が自分のものではないと言う感覚がする。何かを想像している時のように、意識だけが体から離れたように存在しているような、そんな感覚だ。

「え!そんな!つなぐんまで取り憑かれちゃったの!?」

 わたわたと落ち着きがなくなる先輩。そして、その時

「ゆうく~ん。逃がさないわよ~」

 聞き慣れた声で、聞き慣れてないセリフが耳を震わせる。どこか甘ったるいような話し方はらしくないが、どう聞いてもこの声は

「う、うるりん!?突然どしたの!?」

 卯瑠璃先輩だ。体が固まっているせいで後ろを確認できないがそうだろう。

「何でそんな所に隠れてるの~?」

 声が近づいたかと思うと、突如背中に柔らかい感触が生じる。そして、腕が俺のお腹にまわされたと思うと

「ひ、人違いじゃないですか?僕は、ゆ、ゆう君じゃないですよ?」

 うぉぉ!?きめぇ!すごく気持ち悪い!!自分では声出そうとしてないのに体から勝手に声が出てくるぅ!!!

「ふふっ。そんなバレバレな嘘。私がわからないと思ってる?」

 そう言ってお腹にまわされていた手が徐々に下がっていき

「ほーら。ゆう君って、ここ弱かったよね~」

 そう言いながら、股の内側の何とも際どい所を撫でてくる先輩ぃぃぃぃ!!!しゅごひぃぃぃ!!!

「はぅっ!うっ、ふっ、っあぁぁああ!!」

 うおぉ!俺からエッチな感じの声が出てる!恥ずかしい!こんな展開誰も望んでないですよ!!

 くすぐったいような、じれったいような刺激に反応して、ビクビクと震える俺の体。

「あれ~。お股、すっご~い熱くなってきてるね?まだ、ほんとに敏感な所を触ってるわけじゃないんだけどな~」

 くすくすと笑いながら、突然、さっきまでの撫でるような軽い刺激から、揉みほぐすような強い刺激にシフトする先輩。ふぉぉぉおお!!

「あーあ。すっご~く硬くなっちゃって。緊張してるのかな~」

 一応言っておきますが硬くなってるのは筋肉ですよ!勝手に動くとはいえ、感覚としてはまだ金縛り状態だからね?きっと筋肉が強張ってるよね!?決してぶら下がってる棒のことなんかじゃなくて!ねぇ、信じて!お願い!

「ちょ、ちょ、ちょっと!な、なな、何してるのうるりん!!」

 かなりテンパってらっしゃる声の発生元は、もちろん由那先輩。きっと漫画とかだったら、顔面真っ赤で煙が出てることでしょう。

「え~。何って、ナニをナニしてるのよ。あと~、私はうるりんじゃなくて、左近さこんよ。下の名前はちょうね。気軽に澄ちゃんとでも呼んでね」

「な、ナニがナンだか分からないけど!と、とりあえず離れて!と言うか、うるりんから出て行って!!」

 若干の怒気をl孕はらんだ声で言い放つ先輩。しかし、相手は全く動じてないようで、手の動きはもうどうにも止まらないぃぃ!!

「この子から出て行くっていうのは、まだちょっとできないかなぁ?久々の生の体なわけだし、もう少しだけは手放せないんだよね~。今、ゆう君の検査してる真っ最中だし」

 ぎゅっと肉を包み込むかのように優しく握ってくる卯瑠璃先輩。もとい澄ちゃん。

「あはっ。すっごい脈打ってる。生きてるって感じちゃうね~」

 はがぅぁぃぉ!!凄すぎる!!絶妙な力加減で手を動かしてくるぅ!!

「ちょ、ちょっと!やめなさいよ!!」

 だがしかし、止められない止まらない。

「別にね~。この子の体をずっと返さないって言ってるわけじゃないのよ?もう少し、もう少しだけゆう君を感じられたら成仏できるからさ・・・ね?」

 そう言うと同時に、後ろからまわしていた腕を離し、俺と直接向き合うように回り込んでくる澄さん。

「えいっ!」

 かわいい掛け声とともに、俺の目の前に広がったのは暗闇だった。


自分としては終着点自体は決まってるのですが、そこに至るまでにどれだけ話を広げるのか何とも定まっていないため、今回も当初の予定とは違いまさかの途中切り…。予定通りとはいかないこの作品ですが、もう少しお付き合い頂けると幸いです!

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