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心霊研究サークルが行く!  作者: ぼっち
3/7

1章 探索 【心霊写真】

今回も過去話が多いですが、話はちゃんと現在に戻ります

 まぁそれから約半月くらい経ったわけだが、サークルも中々楽しいもんだ。最初からかなり砕けた感じで話せたこともあって、サークルメンバーとは気まずいなんてことにはならず付き合っていけている。まぁ、同級のレイとは会話することはあまりないけど、嫌われてるってことはないと思う。たぶん。

 そういえば、レイは俺がサークルに入る宣言をした時にはいなかったけど、どうやらレイは由那(ゆな)先輩と小学校の時からの知り合いだったらしい。その縁が理由で、俺よりも先に入ってったと言うか、強制的かつ勝手に入れられてたらしい。まぁ当の本人はそこまで嫌そうではない、のかは無表情だから分からないけど、特に文句も言わず部室に居るってことは案外ここが気に入ってるのかもな。

 さて、サークルに入ってからの主な活動内容としては、部室でトランプしたり、アプリで通信したり、それぞれ好きなことしたり・・・いや、何もしてないわけじゃないんだよ。ちゃんとミステリー小説読んでるしさ。あ、ちょうど今黒猫が大変なことに。やっぱり酒癖(さけぐせ)が悪いのは良くないね、うん。

 いねや、話をすり替えたのは悪いと思ってる。けど、実際何もしてないって訳じゃないんだ。そう、俺が入会した少し後、夏季休業中に心霊スポットに行ってみようという計画が立てられたのだ。

 由那先輩の話によると、かつてのメンバーである大先輩方は一度だけサークルで心霊スポットに行ったことがあるらしく、このサークルの伝統みたいなものだそうだ。ただ、その時、由那先輩と卯瑠璃(うるり)先輩は用事があって行けなかったらしく、だからこそ今回はどうしても行ってみたいと言う事らしい。てか、伝統とか言ったけど、このサークルは設立されて1年ちょいだから、伝統もくそもないけどな。

 それにしても、こんなガガ○文庫で連載されていたあの部活ぐらい何もしてないようなサークルが1年も存在できていた上に、かつては5人もメンバーがいたなんて、ある意味それがミステリーである。これもすべて、学長が定めた、4人会員がいればOKとかいう軽い設立条件のおかげだな。学長グッジョブ!

 と言う訳で、俺たちはまず各自でスポットの選定(せんてい)に入ったのだが、調べれば思いの外出てくるもんだ。近いところでも6ヵ所、少し遠いところも含めれば合計13ヵ所も心霊スポットがあった。集めた情報を後日皆で持ち寄った訳なのだが、何やら、卯瑠璃先輩は間違えて事故物件をあの有名サイトから探してきていた。ちなみに、俺の友達の大島の家は事故物件だった、やべぇ。その日の夜、即電話で報告してやった。お前の家事故物件だよってな。

 まぁそれは置いといてだ。3人の情報を大まかに整理(とは言ってもほぼ同じスポットばかりだったが)して場所を検討(けんとう)することになった。

 俺が選ぼうとしてたスポットは、どうやら先輩たちが去年行った所だったらしく、しかも特に心霊現象も何もなかったらしいという事で()え無く廃案(はいあん)となった。場所的にも近くてよかったんだが残念だ。

 その後も近くの場所にしようと俺は(こころ)みたが、トンネルや公園といったものはどうやら由那先輩のお気に召さなかったらしく、結局少し遠いところの廃病院に行くという事になった。どうやら、屋内の方が先輩は好きらしい。

 その廃病院ってのは、数十年前に経営が困難になったとかでつぶれたらしいが、何故か取り壊されないまま町の外れに残ったままになっている。取り壊すお金がなかったってのが妥当(だとう)な気もするが、こんな物件はまさに若者の格好(かっこう)の獲物。解体しようとした業者の作業員が死んだとか、病院に行った奴が帰ってこなかったとか、ソースが何処にあるのかもわからないような噂が広がっちまって、見事心霊スポットの完成。

 こんな言い方をしちゃいるが、別に俺は幽霊の存在を信じてないってわけじゃない。まぁ人間知らないことはいっぱいある訳だし、幽霊の1人や2人、いたって不思議じゃない気がする。とは言え俺は今まで見たことないけどな。

 それにしても話し合いの時に一番不思議だったのが卯瑠璃先輩だ。いつもおどおどしている感じで、正直心霊スポットとか好きそうじゃなさそうなイメージだったのだが。意外にも、廃病院に決定するかどうか多数決を採った際、嬉々(きき)として賛成に手を挙げていた。ちなみに反対は俺一人だった。だって、病院まで車で行くんですよ。俺が運転するんですよ。免許持ってるの俺だけだし・・・

 心霊スポットに行く時、運転を任されたことがある人ならきっとこの(つら)さが分かるはず!だよね?

 さて、結局その後ある程度の準備を終えて、夏季休業に突入。そして現在に至る訳だが。今どういう状況だったっけな?ちょっと待ってくれ、少し前の話を見直して・・・と。

 なるほど!レイが幽霊を見つけた所か。ちなみに、レイの実家は神社らしいけど、だから霊が視えたりするのかね?まぁ関係ないか。

 そういえば何でレイが視えるってことを疑ってないんだって思う人がいるかもしないな。まぁ信じてる理由は簡単で、レイが嘘ついて得するようなことはないと思うってのと、嘘つくような奴には見えない、まぁ半年くらいの付き合いでしかないけどな。でも、一番の理由は、とある作品内のセリフを真似て言うなら、

「視えると言う前提でこの世界を生きる。それが俺たちミステリーサークルだ」

 って感じか。まぁ簡単に言ってしまえば、そっちの方が面白いから、だな。

 おっと、また話が()れてたな。そろそろ、括弧(かっこ)もない説明ばっかの文章も疲れてきただろうから、話を現場に戻すとしよう。

 そうだな、レイが由那先輩にレントゲンを元に戻すように行った所からまた始めようか


―――

「由那先輩。それ。元に戻して。すぐ」

「え!もしかして幽霊でたの!?」

「うん」

「分かったとりあえず戻しとくね!」

 由那先輩にしては聞き分けいいな。どうやら霊がいることがわかって機嫌(きげん)がいいみたいだな。

「でさレイ!その幽霊さんはさ、怒ってたの?もしかして、私襲われそうになってたとか!?」

 何故そんなに嬉しそうに言うのか。もう少し恐怖というものを感じて下さいよ。

「ん。それは違う。怒ってたんじゃなくて、かなり恥ずかしがってた。体の中見られて(もだ)え死にそうになって床でジタバタしてた。で、可哀想かわいそうだから戻してあげた」

 ・・・なんとも幽霊という奴はかなり人間味のあるというかなんというか。今までの幽霊に対する印象が180度変わりそうだな。

「レントゲン写真見られたぐらいで恥ずかしがるなんて、とんでもなくシャイな霊だね~。これじゃカメラにも映ってくれそうにないな~。後で顔にモザイク処理くらいしたげるから映ってほしいな~」

 そんなTV出演を拒む一般人への対応みたいなのしても意味無いでしょ。

「顔隠してくれるなら、写真だけなら写ってもいいって」

 いいのかよ!案外出たがりだなおい!

「おぉ!じゃあうるりん、こっち来て!幽霊さんとツーショットで撮ってあげるね」

「な、な、何で私だけで撮らなきゃいけないんですか!?」

「もしかしてうるりん・・・嫌がってるの?幽霊さんの好意を踏み(にじ)るの?幽霊さん怒るかもよ?」

 かわいそうに、泣きそうな目でこちらを見ている。しかし、救いの手は差し伸べられないんですよ卯瑠璃先輩。怯えてる先輩の姿を撮影するので僕は忙しいんです。とりあえず家に帰ったら。編集して家のPCの秘蔵(ひぞう)フォルダにデータ入れとこ。

 まぁ怖がりながらもレイの指示する場所にちゃんと立って、フラッシュが()かれること3回。

 スマホの写真にはただただ怖がる卯瑠璃先輩しか写っていなかった。

「あれ?おかしいな。全然幽霊さん写らないな~」

「念が弱いから、かも」

「それってつまり私が写れ!って強く念じられてないからってこと?」

「いや。霊自体に写るほどの力がない、ってこと」

 そんな!?力無き者は写真に写ることさえ許されないのか。霊社会にも案外実力主義的なところがあるのか。何というか世知辛せちがらいな。

「むむむ。じゃあどうしたって撮れないってこと?」

「・・・方法はある」

「あるの!?だったら、試してみようよ!幽霊さんがせっかく許可くれたんだしさ。それで、その方法って?」

維倶(つなぐ)とツーショットなら、いけるかも」

「は!?俺とツーショット?どういう事だ?」

 まさか、俺に振られるなんて予想してなかったぞ。

「この霊は女性。だから、男の人ととなら念が強くなるかもしれない。でも、維倶全然かっこよくないから、無理かも」

「普通にディスるのやめてくれます!?流石に面と向かって言われると傷つくよ!?」

 無表情で冷酷(れいこく)なこと言いやがって、死んだら絶対お前の写真に現れて、ずっと顔に(かぶ)さってやるからな。・・・こいつにそんなことやったら即除霊されそうだな。

「まぁまぁ。善は急げ、命短し恋せよ乙女。何事も挑戦だよつなぐん!」

 どっちも使いどころ間違ってる気がするんですが。

「ふぁいとです!維倶君!」

 卯瑠璃先輩。ありがとうございます。あなたが応援してくれるならそれだけで俺は頑張れます。もし死んだら、今後卯瑠璃先輩の写真には常におっぱいを触っている手が写り込んでいることでしょう。

 カメラを由那先輩に渡した俺はさっきまで卯瑠璃先輩が立っていた場所に(たたず)み、写真が撮られるのを待った。正直、怖い。実際に見えない存在がいると思うと中々怖いもんだ。知らないからこそ怖くないものってのもあるんだぜ。

 シャッター音が廊下に2度響き渡った後、歓声と悲鳴とが(どよ)めいた。どうやら写ったみたいだな。

「この霊は、案外無難(ぶなん)な顔が好みだった、みたい」

「貴様は俺に喧嘩を売らんと死ぬのかなぁ?」

 何というか写ってくれてありがとう。自分に自信が持てたけがそこはかとなくするよ。

 さて、どんな感じに写ったのか。どれどれ。

「・・・何というか、案外幽霊ってのもフランクだな」

 裏ピースとは中々。それ他国でやるとヤバいですから気を付けて下さいね。というか、幽霊って他国とか行けるのか?行けるんだったらすごいな。

 顔はモザイクかける必要もなくほとんど分からない状態というか髪長げー。なんで女性の幽霊って髪が長いんだろうか?幽霊になっても髪は伸びてるのかね?

「いや~、この時点で前の先輩たちには勝ったね!帰ったら先輩に自慢してやろ~」

 心霊写真撮れたのに怖がらず喜ぶとは、この人ほんとに変態だな。

「つなぐん。女子に変態とは失礼じゃないか。流石の私も傷ついたよ」

 ・・・また漏れ出てましたか。


 心霊スポット探索開始早々幽霊に出会った俺たちだが、恐怖に(さいな)まれることなんてなく何とも落ち着いた様子。

 そんな雰囲気の中、探索はより深く、奥へと進んでゆく。


やっと現在に戻れましたが、次は何処か名前の付いた部屋に入りたいと思ってます。さてどうしようか

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