別れ
世の中息苦しい…家族とは、みんなで楽しくワイワイして絆を深め親も子供も成長していくものだと思ってた
しかし、現実は…
「龍華、もう少しで行くから準備してね」
「うん!わかった」
この時は、まだ知らなかった。
家族がとんでもないことになる事を
「行くよ!」
「はーい」
大荷物をもつお母さん、寂しそうにしてるお父さん
二人の様子がおかしく重々とした空気に不安が漂う
「ね、何時に家に戻ってくるの?ここに帰るよね」
質問をしてどれくらいの時間が経ったのだろう。重々しい空気になんの音もしない部屋
不安と緊張感がまして来る一方だ
「今日は帰らないんだよ。これからは新しい家族で一緒に楽しくしていこう」
新しい家族
なんのことだろう
龍華にはお父さんとお母さんの他に兄弟上に二人いた
年が離れてるため、まだ小学生なのは龍華くらいだ。
「新しい家族?龍華の家族は五人だよ?パパとママ、お兄ちゃんお姉ちゃん、そして、龍華だよ」
小さいなりに頭でどんな状態なのか考えて把握し涙くんでる
「龍華、これからは、パパとは別々のくらしになるけど、楽しくやりなよ」
聞きたくなかった言葉
考えてた事が当たったと同時に確実となった。
「パパとママは、離婚と言って、もうお別れするんだよ?けどね、龍華には新しいパパが…」
お母さんの説明を遮り龍華は…
「嫌だ!龍華のパパはパパ一人だもん!なんで…なんで、バイバイなの?ねえー…」
「龍華、お願いだから分かって?ね?」
「分かんないよ!まだ、1年生だし、それに…それに…龍華は、パパが大好きだもん!このままバイバイなのは絶対に嫌!行かない」
泣き崩れ足をバタバタさせる。
「離れてても、龍華とパパは家族だよ。だから泣かないで」
それを言われた途端、動きが止まり泣くのを辞め龍華の心は落ち着き安心したように見えたが
(家族ってなんなんだろう
こんなに簡単に壊れて離れ離れになるものなの?きっと、パパとママは私の事なんてどうでもいいんだよね…もう知らない…どうにでもなれ
こんな簡単に崩れる脆い家族ならいっそうの事ない方が良い)
「…龍華?」
ボーッとしてた龍華に声をかける
「何?」
「大丈夫?」
「…うん」
そう答えるしかなかった。
いくら嫌だと訴えても大人というものは自己中で勝手な生き物だと知ってしまったから。
「じゃ、行こっか。新しい家とパパに会いに」
ママ嬉しそう…龍華が我慢すればパパもママも幸せになれるのかな?なれるよね。きっと、この方が良いんだよね。
そういう思いを胸に龍華は
「パパ、今迄ありがとう。短い期間だったけど、パパと沢山遊んだ時間…すごく楽しかったよ。大好き」
色んな思いを抑え、最後に言葉を放った
「うん、パパも龍華の事大好きだよ。またね」
「…うん」
涙を堪え必死の返事
そんな事、お父さんに伝わったのか分かりもせず龍華の言葉は終わり、新しい家に着くまで喋らなかった。いや、もしかしたら、一週間程言葉を口にしてないかもしれない。