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90    休憩

 「ガァァァァ!」


 勢いよく雄叫びを上げながら、襲い掛かってくるレッドベアー。


「うるさい!」


 刀を抜き放ち、襲いかかってくるレッドベアーの右腕を切り落とす。


「ガァァァァ!」


 レッドベアーの悲鳴にも似た雄叫びを上げる中、一歩踏み込んで上段から刀を振り下ろす。頭から一刀両断されたレッドベアーは二つに分かれて崩れ落ちた。


「キャアァァァアアアァアァ!」


 シャーリーの悲鳴が聞こえた。振り返ると、2体のレッドベアーがシャーリーに襲いかかろうとしていた。


風の刃ウィンドブレイド!」


 すかさず、魔法を発動して2体のレッドベアーの首を切り離して尻餅を付いて振るえているシャーリーを抱き抱える。


「しっかり、捕まっててくれ」

「え?きゃあぁぁぁ!」


 そして、そのまま走り出した。

 他のレッドベアー達も追って来ているようだ。森の開けた所に出ると、シャーリーを地面に降ろして頭を撫でてやる。


「ちょっと、ここで休んでな」

「え?」


 追ってきたレッドベアー7体に向き直り、魔術を発動する。


極寒エクストリームコールド!」


 バキバキと音を立てて凍り付いていくレッドベアー7体。完全に動きが止まり、戦闘はあっけなく終わりを迎えた。


風の刃ウィンドブレイド!」


 しかし、念には念を入れて凍り付いたレッドベアー7体の頭と胴体を切り離しておいた。

 生命力が強そうだから、もしかしたら生きているyかもしれないからだ。俺なら、咄嗟に対応できるが、シャーリーは無理だろうと判断したからだ。


「大丈夫?」

「え?あっ、はい…大丈夫です」

「なら、よかった。簡単だったでしょ?」

「…何もできなくてすみません…」

「気にしなくていいよ。それよりもびっくりしたよ」

「何がですか?」

「すごい悲鳴だったから…」

「あっ、あれはレッドベアーがいきなり襲い掛かってきたから…」

「無事でよかったよ。お漏らしでもしちゃっってるかと思っちゃったよ」

「そんな事しません!ちょっとだけ…はっ!」


 …したのか…。ちょっとだけ、しちゃったのか…。そう言えば、さっきから短いスカートの中から緑の下着が見えているけど、少し染みができている気がする。


「~~~~~~~~~~」


 俺の視線に気づいたのか、耳まで真っ赤に染めた顔で慌てて下着を隠そうとしていた。

 シャーリー、もう遅いよ。しっかり見ちゃったよ…。


「エグッ、ウエェェェン。」


 突然、泣き出すシャーリー。


「ちょっ、ごめん。シャーリー」

「うぇぇぇん」

「そうだね、怖かったね…。もう大丈夫だよ」


 シャーリーの頭を撫でて、慌ててあやす事5分…。

 ようやく泣き止んでくれたが、すごい落ち込んでる…。


「うぅ…もう、お嫁に行けません…」

「ごめん、悪かったって…」


 レッドベアーを倒したその場で、未だに動こうとしない座ったままのシャーリー。

 困ったな。いつまでも、此処に留まっていたくないんだが…。


「うぅ…気持ち悪い…お風呂に入りたい…」


 風呂か…。風呂に入ったら、少しは落ち着いてくれるかな?


「シャーリー、ちょっと待ってね」

「…。」


 土魔法を発動して、石造りの家を建てた。


「え?え?ええ?」

「どうしたの?」

「家が…」

「魔法で作れるよ?」


 口を『ぽかん』と開けて驚いているシャーリー。どうやら、驚き過ぎて放心状態になってるようだ。


「シャーリー、行くよ」

「え?あ、はい」


 シャーリーを連れて家の中に入る。


「ほんとに家だ…」


 何だと思ったの?さっき、自分で家がって言ってたよね?


「あ、そこで靴脱いでね」

「え?」

「土足厳禁だから、靴脱いで上がってね」

「あっ、はい」


 言われるがまま靴を脱ぐシャーリー。

 早速、脱衣所に案内して風呂場の説明をする。


「ここが脱衣所ね。ここで服を脱いで…」

「あっ、はい…。」


 言われるがまま服を脱ぎだすシャーリー。

 襟元のリボンを外し、清楚な白のブラウスのボタンを一つ一つ外していくと、シャーリーのキメ細かい肌が見え隠れする。それと同時に胸元に見え隠れする緑のブラジャーが控えめな胸を優しく包んでいる。

 シャーリーに似合ってていい感じだ。控えめな胸がちょっと残念ではあるが、小さいのには小さいなりの良さがある。掌にすっぽり収まった時の…。

 ん?いや、ちょっと待て…。俺、まだ脱衣所から出てないよ?いきなり脱ぎだすから思わず見惚れちゃってたよ。


「いや、ちょっとシャーリー待って…」

「え?あっ!きゃぁぁ!」


 シャーりは、まだ驚いて放心状態のままだったみたい。

 俺に気付いて慌てて胸を隠し、しゃがみ込む。

 耳まで真っ赤にしちゃって…可愛いな。…言われるがまま素直に言う事を聞くシャーリーか…。それは、それで見ていたいけど、後でモンロウさんに怒られそうだ。


「まだ、説明終わってないから…」

「あっ、はい。すみません…」


 シャーリーが落ち着くのを待って『コホン』と咳払いをしてから、改めて説明する。


「脱いだ服は、ここの洗濯機に入れてこのボタンを押してね」

「洗濯機?ですか?」

「飛行船でもあったでしょ?汚れた服とか汚れた下着とか入れてボタンを押すと自動で洗濯して乾燥までしてくれるから」

「あっ、はい…」


 何だ?急に顔を朱に染め始めたぞ…。ああ…汚れた服…汚れた下着…お漏らしした事を思い出したのか…。


「そんなに見ないで下さい…」

「あっ、ごめん…」

「…忘れて下さい…」

「…はい…」


 そりゃ、無理だ…。絶世の美女がお漏らしだよ?忘れられる筈がないじゃないか。お漏らし系ヒロインか。それは、それで何かこう…くるな…。


「もうっ!忘れて下さいって言ったじゃないですか!」


 俺が想像していたのを感ずいてかポカポカと胸を叩いてくる。痛くはないが、仕草が可愛くてついくらっときそうだった。


「ごめんって…叩かないで…」

「もうっ!知りません!」

「あはは…」


 拗ねられちゃったよ。しかし、絶世の美女が可愛らしくポカポカと叩いてくる仕草が何とも言えない萌えを感じる。

 まあ、それは置いといて、風呂場の説明をしてお風呂に入ってもらう事にした。


「着替えはここに置いとくから、ゆっくりお風呂に入ってね」

「あっ、はい。ありがとうございます」

 シャーリーがお風呂に入っている間に、やる事をやってしまおうと思う。

 何かって?

 内装やら家具を設置して住めるようにしようと思ったからだ。家を建てた理由は、シャーリーに風呂で落ち着いてもらおうと思ったから建てたのだが、折角作った家なんだ。住めるようにして、持ち運ぼうと思う。

 今回のように遠出して、外で寝泊まりする事もあるかもだからだ。

 エルフの国に来る前は飛行船で寝泊まりすればいいかなって思ってたけど、今回のように森の中とか目立つ場所では飛行船は出せないからね。

 魔法の袋から様々な物を取り出して、内装を整えていく。フローリングを貼り、真っ白な壁紙、白と黒をベースにしたソファやテーブルなど配置してスタイリッシュに仕上げていく。

 内装や家具はこんなものでいいだろう。あとはキッチンも設置するか。アイランドタイプのキッチンだ。使い勝手が良さそうなので、これを採用した。勿論、開発した冷蔵庫も設置済みだ。


「ふう、喉が渇いたな…」


 紅茶でも入れるかな。


「あの…ヴェル様?」

「ん?」


 シャーリーがお風呂から上がったようだ。


「お風呂、ありがとうございました」


 飛行船のお風呂でもそうだったが、お風呂から上がったばかりのシャーリーは…実に色っぽかった。そして、今は俺のシャツを着ている。裸Yシャツだ!シャーリーの着替えが無かったから、俺のを着て貰っていたのだ。しかし、サイズが少し小さいせいか所々大事な部分が見え隠れする。

 見てはいけないと思いつつも、性的好奇心が俺の心に揺さぶりを掛けてくる…。何という試練…何という拷問なのだ!これは辛い…。


「ヴェル様?」

「いっ、いや…湯加減どうだった?」


 危ない危ない…何とかポーカーフェイスを保てたが、ついつい目が言ってしまう…。

 風呂上がりのシャーリーは破壊力がありすぎる。特に乾ききってない髪がなんとも魅力的に見える。

 …あっ、ドライヤーの使い方を教えてなかったな…。まあ、後で教えるとしよう。


「すごいよかったです」

「それはよかった。喉かわいたでしょ?今、紅茶でもいれるよ。座って待ってて」

「ありがとうございます」


 作ったばかりの真新しいキッチンで紅茶をいれる。

 真新しい物を使う時はいつも思うが、新鮮でいい。特にキッチンは、新居に越してきた感があって気持ちいいな。


「お待たせ」

「ありがとうございます」

「これ飲んだら、少し休憩して行こうか」

「はい」


 あんまりゆっくりはしてられないが、シャーリーの気持ちも落ち着いたので、少し休憩してから目的地に行こうと思う。

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