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25    魔法使いを目指して

 アレク、シルヴィ、エマの魔力操作ができるようになった日の翌日、魔法実技棟を借り切って、本格的に魔法の指導を始めた。


「「「「瞑想を(するんですの)?」」」」

「うん。魔力操作ができるようになったから、次はどの魔法系統に特性があるか調べないとね。」


 魔法には、大きく分けて4種類の系統がある。


 攻撃魔法

 治癒魔法

 結界魔法

 召喚魔法


 アレク達が、これらの魔法系統のどれに適性があるのかを調べないと、効率良くどんな魔法の修行を行なった方がいいのか判別する必要がある。

 得意な魔法系統を中心に修行して、不得意な魔法を切り捨てる。言わば、消去法である。先ずは、得意な魔法を覚えさせて感覚を掴ませ、後で、不得意な魔法を習得させるのだ。


「だから、瞑想を?」

「そうです。4人が瞑想している間、俺が魔法で何が得意で何が苦手なのか判定します。」

「そんな魔法があるのですか?ヴェル様。」

「あるよ。とりあえず、やってみて。」

「「「お願いします」」わ。」


 4人から魔力を感じる。魔力総量の大きい順から、エマ、カナ、シルヴィ、アレクだ。

 昨日、魔力操作をできるようにした時にわかった結果だ。

 カナは5歳の時から魔法が使えるようになったし、王宮筆頭魔法士のグランネル子爵の孫娘。その血を引いているから、魔力総量が一般の魔法使いよりも、かなり多い。将来が楽しみだ。

 シルヴィは、10歳にして一般の魔法使いよりも、多い。生まれてくる時にでも、何か祝福を受けて生まれてきたのかな?よく分からないが、個人差もあるだろう。

 アレクは、それよりも少なく、今後に期待と言ったところだろう。

 そんな中で、一際目立つ存在。それが、エマだ。10歳で、カナよりも魔力総量がある。今からでも、王宮の魔法士になれるだけの魔力はあると思う。今後が、非常に楽しみだ。



 瞑想をしている間に、師匠から教えてもらった失われし魔法の1つ、魔法特性探知の魔法を発動する。

 俺を中心とした周囲には、直径1メートル程の魔法陣が4つ出現し、1人ずつ判定を開始した。

 それぞれの魔法陣には、攻撃魔法、治癒魔法、結界魔法、召喚魔法の特性を調べられる魔法陣となっている。魔法特性のある魔法陣が振動して反応すれば、その特性の魔法が扱えると言う事だ。


 まずはアレクの適性を調べてみる。

 攻撃魔法の魔法陣が振動する。攻撃魔法と相性がいいのだろう。


 続いて、シルヴィは治癒魔法の魔法陣が振動する。

 シルヴィらしいな。その屈託のない笑顔が、周囲の人達を癒すような笑顔を持っている。イメージとぴったりだ。


 エマは治癒魔法と結界魔法の魔法陣が振動する。

 治癒魔法と結界魔法の2つに特性があるようだ。しかし、結界魔法の方が振動率が大きいな。結界魔法を主として、治癒魔法も扱えると言う事かな。


 カナは、攻撃魔法の魔法陣が大きく振動する。

 アレクよりも強力な攻撃魔法が使えそうだ。


 それぞれの魔法特性を教え、それぞれの特性に合った指導を行なう事にする。


「皆の魔法特性がわかった。本番はこれからだ。」


 アレクには攻撃魔法を、シルヴィには治癒魔法を、エマには結界魔法を指導する。カナは初級の攻撃魔法が使えるから中級の魔法を指導する。

 詠唱なしでね…。俺は、アレク達をただの魔法使いに育てるつもりはない。折角、魔法使いになれたんだ。なら答えは簡単だ。一流の魔法使いに育て上げる。だから、詠唱なしで魔法を教え始めた。

 魔法とは魔力が重要だが、それ以外にも一つ、重要な事がある。それは、イメージだ。魔力を、イメージによって変化させ、世界の事象に干渉するが基本なのだ。だから、イメージを頭の中で強く描かせて魔法を放つ練習をさせているのだ。


 アレク、シルヴィ、エマ、カナは、それぞれの特性を生かしつつ、入念なイメージを描いては、右手に魔力を込めて魔法を放つ。

 それぞれの右手から魔力のオーラが迸る。アレク、カナは赤色、シルヴィは青色、エマは緑色だった。それぞれが違う色をしているのは、恐らくは魔法特性と関係しているのだと思う。今度、研究してみよう。


 魔法の修行は授業が終わって、放課後に行い。日が沈むまで続く。それを毎日繰り返した。


「今日も、ありがとう。ヴェル。」

「「「ありがとうございました(わ)。」」」

「うん。皆、日に日に上達してきてるね。このままがんばってね。」

「おう。」

「「「はい(ですわ)。」」」


 本当に上達していくのが、分かる。親が子に何かを教え、そして上達していく姿を見ているように感動と興奮を覚える。

 俺も、負けてはいられないな。気持ちが昂ってくる。


「今日も帰ってから、瞑想と魔力操作は入念にやっといてね。」

「おう。瞑想は魔力強化、魔力操作は素早く魔法を発動する為に、だったな?」

「うん。これは、必須だからね。」

「わかってるよ。」


 俺も、昔から行っている。元々の魔力総量が多いと師匠は言っていたが、更に上を目指して行っているのだ。魔法書には10~15歳の間で魔力総量が伸びなくなると書いてあった。まあ、個人差はあるだろうけど、本当かどうかは分からない。しかし、行なっていて損はないだろう。


「それにしても、ヴェルの教え方はわかり易くて助かるよ。」

「そうですね。直ぐに覚える事ができますね。」

「流石は、龍を屠りし者ですわね。」

「うんうん。流石は、僕のヴェル君だ。」


 褒められると、照れちゃうな。アレク達は、本当によくやっている。シルヴィも上達が早い。エマ、それは称号であって関係ないよ。カナ、さらっと俺を自分のもののように言わないで…。シルヴィとエマの視線が痛いから、突き刺さるから…。

 教える事に関しては、師匠の受け売りだし、同じ質問を師匠にした事もあったからね。改めて、師匠の偉大さが分かる瞬間だった。

 師匠の残してくれた魔導書を読み返してみる必要があるな。もしかしたら、まだまだ魔法の可能性が見えてくるかもしれない。とりあえず、今日分かった事は、魔力のオーラは魔法特性のある色になると言う事。俺のオーラが黒いのは、全ての色が混じったからなのかもしれない。いずれ、検証しようとおもう。

 魔法使いが貴重なのは、魔力操作ができないから、諦めて辞めてしまうのではないだろうか?これも、いずれ検証する必要があるな。研究した事を、まとめてレポートにして学校に報告しよう。今後、世に出てくるであろう魔法使い達の為にね。

 そう言えば、俺専用の研究室を用意してくるって国王陛下が言ってたな。明日にでも先生にお願いしてみるかな。

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