101 新しい力
2016.5.10 プロローグから前半を改稿しました。後半部分はほとんど手を加えてはいませんが、もしお時間があれば読み直して見て下さい。
守護者が守護する部屋、テニスコート程の広さの部屋だ。部屋の奥には頑丈そうな扉がある。その周囲には、侵入者を拒む形で聳え立つゴーレム4体。
メタリックカラーのアイアンゴーレムだ。物理攻撃も跳ね返す程の頑強さがありそうだ。
ゆっくりとゴーレム達の方に歩みを進めると、背後から『ゴゴゴゴゴ』と音を響かせながら入口が閉まっていく。
どうやら退路は立たれたようだ。
アイアンゴーレムが守護する部屋だけに、扉も鉄製の分厚い扉だ。
試しに、扉を開こうと試みるもびくともしなかった。流石にこれ程の分厚い鉄の扉だ。開けるには少々骨が折れそうだ。
恐らく、何らかの魔法が施されているのだろう。この扉を開くにはアイアンゴーレム達を倒さなければ開かないのだと思う。
再び、ゴーレム達の元に歩みを進めて行くが、ゴーレム達が動き出す気配がない。
(何だ?何故動かない?)
もしかしたら、何か仕掛けがあるのかもしれないと警戒しながら近付いて行く。
すると、部屋の中央に差し掛かると足元に魔法陣が浮かび上がり、発動した。
咄嗟に腕をクロスさせながらバックステップで後方に飛び退くが、魔法陣は部屋全体に広がる程に大きい。
どうやら、部屋全体に結界が施されたようだ。
何の魔法が施されたか分からないが、体には何の異常も見受けられなかった。
「っ!」
正面から気配を感じ、視線をアイアンゴーレムに移すと動き始めたようだ。
「侵入者には死をっ!」
「侵入者には死をっ!」
「侵入者には死をっ!」
「侵入者には死をっ!」
アイアンゴーレム達から、無機質な機械音にも似た物騒な言葉が発せられた。それと同時にアイアンゴーレム達は一斉に襲い掛かる。
1体は一気に距離を詰め、正面から正拳突きを放ってくる。バックステップで後方に回避するが、2体目のアイアンゴーレムが待ってましたとばかりに回り込んで拳を突き上げようとしている。
体を捩じって拳の軌道から身を逸らして回避するが、3体目のアイアンゴーレムが着地点を狙って蹴りを放つ。
着地点に爆風の魔法を発動して風圧で体の軌道を変える。
「っ!」
しかし、狙ったよりも爆風の風圧が出ていない事に気付いた。
3体目のアイアンゴーレムの蹴りが目前に迫る。思ったよりも体の軌道が変えられず、蹴りが顔を掠める。
「くっ!」
掠めた所から血が滲む。
「痛てぇ、よっ!」
3体目のアイアンゴーレムが放った蹴り足を掴み、転がり滑るように懐に入り込む。
「衝撃音波!」
反撃とばかりに魔法をお見舞いする。
しかし、3体目のゴーレムは受け止めるように後方に飛び退いた。
「っ!」
(まただっ!思った以上に威力が出ていないっ!)
余りに魔法の威力が出ていない事に驚いた。その瞬間、4体目のアイアンゴーレムが突撃開始。
一瞬の隙を突かれて、対応が遅れる。
「神仏の加護!」
咄嗟に神仏の加護で防御力を強化する。
4体目のアイアンゴーレムの体当たりが直撃。俺の体ごと後方に弾き飛ばされる。
「ぐっ!」
弾き飛ばされた後方には、既に回り込んだ他のアイアンゴーレムが拳を放ってくる。
「オオオォォォォ!」
このままでは直撃すると脳内にレッドアラートが鳴り響く。思わず、奇声を上げながら爆風を発動して俺の体ごと真横に軌道をずらそうとするが、またしても威力が出ない。
身を捩って回転を付ける。アイアンゴーレムの拳を受けるが、回転によってアイアンゴーレムの真横に弾き飛ばされる。
直撃するよりかはダメージが軽減しているが、無傷ではない。アイアンゴーレム達の攻撃によって徐々にダメージが蓄積される。
「氷柱砲弾!」
このままでは不味いと反撃に出るが、放たれる氷柱砲弾が急激に小さくなり霧散する。
「何っ!」
驚きで、思わず呟いてしまう。
(まさかっ!まさかっ!まさかっ!魔術が吸収されている!?)
さっきも爆風の威力が出ていなかった。魔法が吸収されているから威力が出なかったと言う事か。だとしたら不味い…。魔法使いがが魔法を封じられたら攻撃手段がない。
そう考えている間にもアイアンゴーレム達の攻撃は続く。
攻撃されては回避するが、回避した先には決まってアイアンゴーレムの1体が回り込んで待ち伏せしている。まるで、逃げる先を先読みした動きだった。否、攻撃で回避先を誘導されている節がある。
何故なら、このアイアンゴーレム4体は連携が良過ぎるのだ。
アイアンゴーレム達の攻撃が続く中、注意深く観察しながら回避する。
幸いな事に、このアイアンゴーレム達の動きはあの男に比べれば遅いのだ。
戦闘開始当初はいきなりで不覚を取ったが、今なら分かる。こいつらの攻撃パターンが。
1体目の攻撃は回避する事を前提に攻撃して回避させる。残りの3体が回避先に先回りして攻撃を仕掛ける。また回避すれば、他の3体が回避先に先回りして攻撃を仕掛ける。
これの繰り返しだ。更には魔法を封じて攻撃させず隙を作る。隙が出来たらすかさず攻撃に転じる。
俺に休ませる暇を与えず、疲弊させながら弱らせて止めを刺す…。いい考えだ。4体ならではの戦術だな。
(なるほど…。攻撃パターンは見えた!)
ならどうすればいい?簡単な事だ。相手の攻撃を回避しなければいい。
あれを試してみるか…。
体内の魔力を体全体に漲らせる。そして両手両足に収束、魔力を凝縮させる。
あの男のように…。
アイアンゴーレムの1体が攻撃を仕掛けてくる。始めの攻撃のように正拳突きだ。しかし、今度は避けない。真っ向から受けて立つ。
「どちらが強いか勝負だ!」
右の拳にありったけの魔力を凝縮して、同じ様に正拳突きを放つ。
ドゴオオオオォォォォォン
俺の拳とアイアンゴーレムの拳がぶつかり合う。拳と拳のぶつかり合う衝撃に部屋全体が響き渡る。
ビシッ!と崩れ去る音と共にアイアンゴーレムの右腕が砕け散る。それと同時に3体のゴーレムが背後から襲い掛かる。
1体目は拳を、2体目は蹴りを放つ。3体目は体当たりだ。
「オオオォォォォォッ!」
奇声と共に3体のアイアンゴーレムの攻撃を、胴回し回転蹴りで拳を、足を、体を砕き薙ぎ払う。
ズドオォンと音を響かせながら倒れ込む3体のアイアンゴーレム。
正拳突きを止められ右腕を砕かれたアイアンゴーレムに向き直り、構える。
続いて左手を突き出して『カモンカモン』と挑発ポーズ。
アイアンゴーレムは左フックを仕掛けてくるが、足に魔力を凝縮させた俺は踏み込んで一気に相手の懐に忍び込み、みぞおち付近に正拳突きを放つ。
ドゴオォォォンと轟音を響かせながらアイアンゴーレムを砕き倒す。
「こいつは凄げぇや。アイアンゴーレムが相手にならない程の破壊力。あの男が強い訳だ…」
後を振り返ってアイアンゴーレムに向かって踏み込んだ場所を見ると、バスケットボールほどのクレーターが出来ていた。
あの男の超加速の正体はこれか…。
足に魔力を凝縮させて地面を蹴る勢いで踏み込む、踏み込んだ衝撃で体を前へ前へと加速し打ち出す。これがあの超加速の正体だ。
更に魔力を体全体に漲らせて封じ込める。体内で魔力を凝縮すればするほど防御力も攻撃力も上がるって事か。
これはいい…。
新しい戦い方に酔いしれていると薙ぎ払われたアイアンゴーレム3体がよろよろと起き上がる。
新たな戦い方を身に着けた俺の前には最早、雑魚にしかならないアイアンゴーレム3体をさっさと片付けると分厚い鉄の扉が開き奥へと続く道が姿を現した。
この先にも部屋は幾つかある。まだ守護者達がいるんだろう。この戦い方をじっくり勉強させてもらおうと不敵な笑みを浮かべて進みだした。
仕事が忙しくて中々、更新できません。思うところあってGWを利用してプロローグから改稿いたしました。これからも仕事が忙しくなりますが1週間に1話ペースでも書こうと思いますので応援よろしくお願いします。




