表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/41

31話

「うおお!」


 先に動いたのは俺だ。相手の出方を待っていられるほど時間に余裕はない。後ろからさっきの誘拐犯も差し迫ってきている。


 俺は死神男の間合いに入ると死神男は流れるような所作で上段の構えに移行して刀を振り下ろしてくる。


「きえええ!」


 速い。


 速いが宗麟の放った鳴神に比べれば遅い。十分見える。


 俺はそれをかわして横に回り込む。もちろん向こうもそれで俺の姿を見失うことなどはなく首を回して俺の姿をとらえて次の動作のために動き出している。


 俺はすかさずそこで蹴り上げを行う。


 俺の放った蹴り上げは上体を後ろにそらしてあっさりとかわされてしまう。


 だがそれでいい。当たればめっけものだったが俺の目的は蹴り上げた足を当てるためではなく地面の砂を舞い上げるためだ。


「……うっ」


 舞い上がった砂が少し目に入り死神男は目を瞑る。


「今だ! 逃げろ」


「わ、わかったわ」


 俺の声を聞いて少女が俺の後ろを通って駆け出していく。


「させぬ」


「隙あり!」


 少女が駆け出していく音を聞いて意識が少女へと向いた死神男の隙をついて俺は死神男に近づくと死神男を背負い投げる。


 死神男は見た目通り軽く、簡単に投げ飛ばされる。死神男は地面へと叩きつけられるがあまり手ごたえがない。受け身をうまくとったか? さすがに簡単に倒せないか。


 だが俺も逃げるなら今の内だ。


 そう思い少女の後を追う様に逃げ出そうとするがその俺の前にまた別の誰かが立ちはだかった。


「……」


 氷のように冷えきった目で俺を見る女性。背を女性にしてはやや高めで髪は腰まである黒髪の女剣士。


 人形のように整った顔立ちの彼女は人形のように表情を変えず刀を構えている。


 どうやら俺を助けに来たというわけじゃなさそうだ。となると彼女もやつら誘拐犯の仲間か。幸い少女は上手く逃げ切れたようで彼女に捕まった様子はない。


 ……しかしどこかで見たような顔立ちだな。もちろん彼女のことなど一切知らないがどっかで見かけたのだろうか?


「あなたがどうしてここにいるかわかりませんがそれは私の獲物ですぞ白露殿」


「……そう」


 死神男の言葉に白露と呼ばれた女性は興味がなさそうに答える。


 白露? どっかで聞いた名前だな。確か……時雨の姉だったな。亜希を裏切って敵方に寝返ったとか。時雨の姉なのなら道理でどっかで見たことがある顔だ。雰囲気は違うがほんの少しだけ面影がある。


 けどそれよりも今はどうやって逃げるかだ。ちらりと後ろを振り返れば死神男は案の定もう起き上がっている刀を構えていた


 前には時雨の姉である白露。後ろには死神男。


 死神男は不意打ちを警戒しているようでジリジリと近づいてきている。こうまで警戒されると次はさっきのように不意打ちが上手くいくとは限らない。さっきは向こうが油断していたから出来たが次からはそんなのに引っかからないだろう。


 となると逃げるなら前しかない。


 時雨のお姉さんには悪いがここは強行突破をさせてもらうとしよう。


 俺は時雨のお姉さんへ向かって駆ける……前に死神男に牽制として砂を蹴り上げて目くらましをする。どの程度効果があるかわからないが何もしないよりもましだろう。


「……くっ、またしても目くらましですか卑怯な」


 非難の声をあげる死神男。思ったよりも効果があったようだ。宗麟のような強者の雰囲気はあったがこういった泥臭い戦いは苦手なのかもしれないな。顔に反して剣と剣との戦いが好きなのかもな。


 それはともかく俺が接近しても時雨のお姉さんは動く気配はない。


 刀を構えたままジッと俺を観察している。


 何もしてくるつもりがないのなら好都合だが、一応油断はするつもりはない。向こうが何か仕掛けてくるのならすぐに対処できるように意識をする。


 そして彼女の横を通り抜けようとした瞬間。


「――――」


「えっ?」


 彼女が俺の耳元で囁いた言葉に俺は思わず足を止める。


「……っ!」


 その瞬間ガツンと脳が揺さぶられる激しい衝撃が俺を襲う。


 しまった。そう思った時にはさらにもう一発頭に衝撃が走る。時雨のお姉さんが刀の柄で俺を殴りつけていた。


「うぐっ」


 俺は彼女が言った言葉の意味を問おうとなんとか意識を保とうとするがさらにそこから何度も頭を強打される。


 さすがの俺もそれだけ何度も頭を殴られると意識が保てず意識を手離す。


 だけど彼女がさっき言った言葉は本当なのだろうか……。


 もしそれが本当なのだとしたら……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ