それぞれの家庭の味というもの
食卓に、これでもかという量のおかずが並べられていく。
…本当に一食分なのか?僕たちが入ってるとしても、だ。大食いの範囲を軽々と飛び越えているように見えるが…宴会の時の事を思い出すと、そうも思えなくなる。
「ふふ、今日は妖夢の他に藍も手伝ってくれたから豪勢ね〜。待ちくたびれてつまみ食いしちゃおうかと思ったけど、待ってて正解だったわね」
「…止めるの大変だったんだからね」
嬉しそうな幽々子様と、少々疲れた様子の紫様だった。
「それでは、いただきます」
「いただきま〜す。…ん〜、美味しい〜…」
「…おかずの減り方どうなってるの…」
「幽々子は普段からあの調子よ。あなた達も食べないと取られるわ」
「…それは、ダメ」
幽々子様の食べっぷりに驚いていたけど、紫様の言葉で我に返ってすぐに僕たちも食べ始める。
量を重視したからなのか、おかずの内容は中華料理だった。
「…あふ、熱い…」
「ちゃんと冷ましてから食べなさいな。幽々子は小皿によそったのまでは手は出さないから」
「…わかりました」
「美味しいですね…えーと、こっちの料理は…藍様が作ったんですか?」
「ん、よく分かったな?」
「んー…普段から藍様の料理を食べてると味の癖が分かってきた…ってところですかね」
「ふふ、嬉しいな」
さてと、こっちは…ん、癖が違う。って事は妖夢さんの作ったおかずだな。肉と野菜に絡まったタレがご飯とよく合う。
ちなみに、先ほどの会話の間に幽々子様は既にご飯のおかわりを済ませていた。
「ふふ、箸がどんどん進むわね〜」
「幽々子様…紫様や藍さんが一緒ならまだしも、新しい人だって居るんですから…」
「ああ、大丈夫。僕は宴会の時に一回見てるし」
「………」
クーは、幽々子様の食べっぷりに空いた口が塞がらなくなってた。まぁ、最初はそうなるよなぁ…。
あ、そうだ。妖夢さんに伝えておかないと。
「妖夢さん、食事の後片付けが終わったら、手合わせしましょう。宴会の時に約束してましたから」
「はい、喜んで!」
「妖夢、おかわり〜」
「幽々子様はもうちょっと自重してください…」
「嫌よ〜、我慢してたからね〜」
「…はぁ」
…妖夢さんも苦労してるんだろうなぁ。




