式は撫でられるのが好きなのか
紫様の能力で出来たスキマを通り、屋敷の前の門に着く。後ろを見てみると、長く長く続く下り階段があった。
「本来なら、妖怪の山の更に上まで飛ぶと階段が見えてくるのよ。私はスキマが使えるし…黄もそのうち直接ここまで来れるようになりそうね」
「そうですね…まだ使いこなせる自信がないですけど」
精霊魔法の修行は、なかなか難航していたりする。
土魔法に関しては、上手くいっているんだけど…闇魔法、特に空間と空間を繋げる物に関してはなかなか調整が上手くいっていない。
かなり集中しないと僕が通れるほどの穴が出来ないことに加えて、繋がった場所が水の中だったり土の中だったり、空中だった時もあった。
『ほほほ、こればっかりは慣れなければいけませんからな』
時間は…一応あるわけだし、もっとがんばらなければ。
「…そう。あまり根を詰めすぎるのもよくないわよ」
「分かってます」
たぶん、紫様は息抜きをさせるつもりでここに連れてきたんだろうなぁ…。
と、門が開いて…妖夢さんが出てきた。
「…あ、紫様。それに、黄さんも」
「妖夢さん、今日はお邪魔します」
「いえいえ、歓迎しますよ」
「……」
「…あれ、この子は…」
「僕の式神です」
「…クー、です。よろしく…」
「ふふ、よろしくね」
妖夢さんに撫でられて、クーは嬉しそうだ。
…ちなみに、精霊の分身は連れてきていない。フラーウムは人里に、メランは紅魔館にいる。
二人が言うには、僕が食事をすれば精霊のエネルギーにもなるし、元々精霊に食事は必要ないとのことだった。
「では、案内します。こちらです」
「あ、紫様を部屋まで案内したら僕も何か手伝いますよ」
「えーと…もう料理は殆ど出来てますけど…じゃあ、配膳を一緒にお願いします」
「わかりました」




