帰る頃にはもう眠くて
紅魔館を後にして、人里まで飛ぶことにした。
クーは眠気に耐えられなかったようで、眠ってしまったので背負っている。
「…メラン、これからよろしくな」
『ほほほ、よろしく頼みますぞ』
「…とりあえず、あの空間魔法…今使えるかな」
『ふむ、どこに繋ぐつもりですかな?』
「僕の主の屋敷だよ」
『ふむ…ではイメージしてください』
「あ、そうそう。空間魔法の入り口出口の形っていじれるかな」
『可能ですが…どのような形で?』
「僕の主…紫様と同じようにしたいんだ」
『…ふむ、あのような形ですか。分かりましたが…内部の空間の模様まではいじれませんぞ』
「構わないよ」
人里の入り口に降り、中心部まで歩く。
「手の動きに合わせて魔法を頼むね。自分でやるのは屋敷に帰って、少し休んでからにするよ」
『分かりましたぞ』
手をすっと上から下に、紫様がするように下ろして…それに合わせて、メランが魔法を発動させる。
「ただいま帰りましたよ、紫様…って」
「しー…昼寝中なんだ…」
紫様は、藍様の尻尾を枕にして、寝息を立てていた。
「そうでしたか…」
「昨日は君の様子をずっと見ていたからな…」
「なるほど…じゃあ僕も…」
「ちょっ…こら…まったく…」
紫様の隣に、クーを寝かせて…その隣に僕も寝転んだ。
「紫様が起きたら、僕たちも起こしてください…」
「…ん、分かったよ…」
藍様が優しく撫でてくれて…そのまま眠りの世界に落ちていった。
区切りの10章はここで終了。
メランはギリシャ語で黒を表します。




