特例中の特例
藍さんとお茶を飲み、一服した後。
ある部屋に通された。
「君に貸しておく部屋だ。布団はそっちにあるよ」
「ありがとうございます」
「朝は早めに起こすが…大丈夫か?」
「…どうでしょう?そのあたりも曖昧で…」
「ああ、そうだったね…」
「……」
「…心配か?」
「ええ、少し」
「大丈夫だよ、君なら」
藍さんが頭を撫でてくる。暖かい…。
「…実を言うと、紫様が自分で発見して、ここに連れて来たのは初めてなんだ」
「そうなんですか?」
「ああ、大抵は幻想郷内で活動している勢力の何処かが保護して、博麗神社に連れてきた所で紫様は動くんだけど…今回は異質だったから」
「…詳しく聞いてもいいでしょうか」
「…うん、いいよ。君が来た時、結界に綻びは起きていなかった。だから、誰かが幻想郷内に外界から迷い込む事は無いはず。しかも、妖怪の山は…」
「…結界に面していない?」
「飲み込みが早くて助かるよ。つまり、君が入ってきた時の状況が異質で…しかも、君そのものが異質なんだ」
「え、どういう事ですか?」
自分自身が異質?…訳が分からない。普通の人間のはず、なんだけど。
「君からは、人間が持ちうる霊力、魔力や…妖怪が持つ妖力の類が感じられない。その代わり…違う力が君の中を巡っている。紫様は、そこに興味を持ったんだと思うんだ」