とんでもない
「精霊についてはとりあえずこのくらいね…。そうね、魔力をその身に取り込んでいるなら、貴方自身がその魔力を使って魔法を撃てるはずよ」
「うん、たぶんできるよ。例えばー…」
「あ、床を変な風にいじらないでもらいたいわ。…そうね、レミィ。中庭を使ってもいいかしら」
「ええ。ちょうど花の植え替えをしたいと思ってたから…花壇の一部が何も植えてない状態だったはずよ」
「…じゃ、行きましょうか…」
さっき、咳き込んでたから大丈夫なのかな…と思っていたら軽く浮いて移動していた。
なるほど、浮けるのならあの本棚でも本を探すのに苦労は無いか。
中庭の一角、黒く、土がむき出しの花壇に足を踏み入れる。
「じゃあ…フラーウムだったわね。軽くやってみせて」
「うん、わかったよー」
フラーウムが手をかざし、魔力を地面に向けて放出すると、フラーウムの周りに鋭い土の棘が突き出した。
「おぉ…」
「あとは、このまま土の塊を飛ばしてみたり、武器に変形させたりできるよ」
「土で出来た武器ねぇ…斬れ味はどんなものなの?」
フラーウムが作り出した土で作り出した剣を、レミリアさんが手にとる。
レミリアさんはもう片方の手に薪を持っていて…それを上に投げ、剣を振り下ろす。
薪は綺麗に真っ二つに切断された。
「え、こんなに斬れ味が!?」
「刃の部分は魔力でガチガチに固めて、鋭くしてあるからねー。刀身も折れないようにしてあるから、そのへんの剣よりもずっと頑丈だと思うよ」
「へぇ…じゃあ試してみるわ」
今度は、剣を薪と同じように投げ…レミリアさんは魔力で作った紅い槍を手に持った。
「神槍『スピア・ザ・グングニル』!」
放たれた槍は、フラーウムの創り出した剣に吸い込まれるように近づき、命中したが…剣は形を保ったまま地面に突き刺さった。
「え、無傷!?」
「最上級精霊の中でも更に上の…精霊王クラスの魔力なのよね…また凄い精霊が出てきたものね…」




