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東方黄明譚  作者: k.Yakumo
9章 精霊の手がかりは館の中に?
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よく分かる精霊入門

「はぁ、はぁ…ごめんなさいね、まさか人型の精霊が居るなんて思わなくてね…」

「はぁ…」

「…ん、人型の精霊がどれだけ凄いか知らないって感じね。もしかしてそれを調べに?」


薬を吸い、顔色は悪いが幾分か落ち着いたパチュリーさんは、深く椅子に腰掛けてぐったりとしている。しかし、その目は輝いていた。


「ええ、そんなところです。精霊についてはよく知らなくて」

「…ん、わかった。小悪魔、精霊に関しての初歩の本をもってきて」

「分かりました」


パチュリーさんは、使い魔として契約している小悪魔さんを呼び、命令する。


「さてと、小悪魔が来るまでの間、ちょっと観察させてね…」

「フラーウム、パチュリーさんの所に行ってあげて」

「はーい」

「…ふむ、土属性みたいね…でも、人型にしては魔力が少ないような」

「ん、元々は黄の中で過ごしてるんだ。僕がそのまま出てたら結界に影響するって」

「ちょっと待って、精霊を体内に取り込んでるの…?」

「そうなりますね」

「…確かに、貴方の得体の知れない力の中に同じ魔力を感じるわね。…普通だったら精霊を取り込むなんてしないわよ」


え、そうなのか…?


「普通は、そのまま召喚して魔法を撃たせるか、召喚した後に宝石なんかに入ってもらって、それを媒体に魔法を撃ったりするのよ。…あ、来たわね」

「こちらですね?」

「ええ、ありがとう。元の仕事に戻ってちょうだい」


パチュリーさんの手元にある本は、表紙に魔法陣の書かれた仰々しいものだ。

文字も書かれているようだが、読めない。


「…どうやら貴方は読めないようね。挿絵も入ってるから、それを見せながら説明するわ」

「はい」

「まず、精霊は基本的に一つの属性に特化していて、他の属性と混ざることは無いわ。…そして、精霊にはランクがあるの」

「ランクですか…下級とか、上級とか?」

「ええ。まず下級精霊。召喚のすると…こんな風に色付きの火の玉のような感じで出てくるわ」


パチュリーさんが示した所には、確かに火の玉が幾つも浮かんだ絵が描かれている。


「次に、中級精霊。これを召喚すると…」

「虫、だとか…小さめの生物の形みたいですね」

「ええ。例えば火属性の中級精霊は火を吐くトカゲだとか、そんな風に知性があまりない生物の形をとるようになる。…この流れだと、上級精霊はどうなるか分かるかしら?」

「…ある程度知性のある大きな動物、ですか?」

「その通り。比較的哺乳類とかが多いわね。しかも大型の…獅子だったり、角鹿だったり」

「…あれ、でも人の形のが…?」

「…上級精霊の中でもトップクラスの魔力を保有しているものは、人型をとるらしいのよ。私も召喚しようとしたけど…難しかったわ」

「召喚の方法が難しかったんですか?」

「魔法陣を何重にも書かないといけないし、詠唱…呪文って言った方がわかりやすいかしら。半日とかかかるのよ」

「…ああ、何と無くパチュリーさんが召喚できなかった理由が分かりました」


喘息の発作が起きて、途中で途切れてしまうとか…そんなところだろう。


「一度召喚して、契約さえしてしまえば…後はその力を自由に使えたりするわ。威力は精霊が自ら放つのとは劣るし、自分の魔力も消費するけど」

「…自分の中に取り込まない理由って、何なんです?」

「考えたら分かると思うわよ。…容量がそれほど無い身体に強大な魔力の塊が入ってみなさい。すぐに破裂するわ」

「あー…」

「貴方の場合は…なんなのかしらね?その力に底が見えない上に、精霊の魔力がこれでもかって凝縮されて包まれている…ふざけた力だわ」


…視線が痛い。嫉妬してるのかな…。

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