急に興奮したらむせますよ?
「うわぁ、すごいや…」
「…本、いっぱい」
見渡す限りの本、本、本。
まさしくここは知識の集まる場所だろう。
「ここの管理は私の友人がしているのよ。たぶん、いつもの所で本の解読でもしてるでしょうから…」
入って左手にある階段を降りていく。…三階分ほど降りて、本棚の間を進んでいく。
メイド服を着た妖精と何回かすれ違ったが、そのどれもがこちらをじっと見ていた。
「僕たちが珍しいんですかね…」
「単に見たことが無いからだと思うわ。ま、私が直々に案内しているから心配はしなくていいわよ」
…ああ、そうか。レミリアさんや咲夜さんなどの紅魔館の人たちが居ない状態で僕たちが歩いていたら侵入してきたのではないかと疑われても仕方ないか。
「とりあえず、帰りにここに自由に入ってもいいって許可証みたいなのを作って渡すから、次から来る時はその心配はしなくていいわ」
「ありがとうございます」
「いいのよ。それにしても、まさか人型の精霊と会えるとはね…」
更に少し進んだ所に、本を読むためのスペースと思われる場所に着いた。
そこには、ページを捲る音だけがしていて…紫髪の女性が本を二冊並べて見比べていた。
「…なるほどね、ここはこう解読すれば…」
「パチェ、ちょっといいかしら?」
「ん、何よ。今ちょっと忙し…い…」
レミリアさんに呼ばれた女性ーーパチュリー・ノーレッジはこちらを見て硬直していた。
その視線は、おそらくフラーウムに向いている。
「え、嘘…ちょっと待って!あなた、まさか精霊!?ちょっと良く見せ、げほっ、げほっ!」
興奮してこちらに近づこうとしていたが、急に咳き込んでうずくまってしまった。
「ちょ、パチェ!落ち着きなさいよ…薬は?」
「けほっ、そこの、机…げほっ」
レミリアさんが机にあった筒のようなものを掴み、パチュリーさんに渡す。
筒を口にあてがい、呼吸を繰り返している。
「…確か、喘息持ちでしたね…レミリアさん、パチュリーさんは…」
「ん、このまま少しすれば落ち着くから…そっちに座ってて」
「わかりました。クー、フラーウム、こっちに」
「…はーい」
「…なんでバレたのかなぁ」




